「自らが何者か」を明かさずに扇動するのは、
『正義だけが正しい』と思う者を同調させ、盛り上げるだけ盛り上げて、
自分だけがそこから消えるためである。
彼の者たちは、
そんな由も知らずに、
『正義のために』たたかう。
たたかう理由も知らず。
その頃には、「自らを明かさぬ者」は消えている。
彼は、それほどに、気長に、狡猾に、それらしく、扇動する。
本当のことを言う。
必要に応じて嘘もつく。
でも嘘は、嘘でないと言えば、嘘でなくなる。
すべてを知る者なのだ。
ただ、自分の手は決して汚さない。
自分の心が痛まぬように。
決して自らの名を明かさず、
いつしか消える。
神さまのまわりにだって、あんなに天使がいらっしゃるのに、
悪魔はひとりでじゅうぶんだ。
人間は、それほどまでに、何かと弱い。
そして、
神さまは、彼を罰したりしない(と思う)。
それでも彼が愛おしいからだ。
元々は天使だったのだから。
悪魔は、
もともと、神さまの御使いとして生まれたのだから。
いつしか、誰かが、彼を悪魔と名付けたのだろう。
神さまは、
「悪魔のすること」に怒り悲しむのではない。
そうされて、自ら考えもせず、自らの意志であったはずの言質すら翻し、やすやすと徒党を組んでしまうものたちを、悲しんでいる、ただ、それだけのことなのだ。
争いを、起こしているのは、
じつは、
神でもなければ、悪魔でもないのだ。
ちなみに。
私は、そんな悪魔が嫌いになれないのだ。
本気で彼にお願いしても、
「絶対ヤだねー!」
とか言われるかもしれん。
彼は、理解されることを嫌うからね。
(あ、言っちゃった☆)
ふるい とかフィルターとかね、
そんな言葉を思い出します。