※【病気解説一覧】のリンクを記事に最後に貼ってあります。様々な病気や検査について語っておりますので、普段から気になってるものを探していただければ幸いです。



大腸内視鏡。


30歳を超えてくるとちょこちょこ耳にするワードです。


「会社健診の便潜血に引っかかった」

「尻から入れるカメラってのをやんなきゃいけないらしい」

「どんなのかちょっと調べてみるか」


そうして『大腸内視鏡』で検索してみると、クリニックのホームページには載ってますねぇ、数々の魅力的な謳い文句が。


専門医が対応。

痛みのない大腸内視鏡。

無痛大腸カメラ。

苦しくない大腸内視鏡。

眠ったまま終わってる大腸内視鏡。


などなど。なんだか楽そうで簡単な雰囲気が漂ってますが......。


ハッキリ申し上げます。

大腸内視鏡は楽な検査ではないです。


どのクリニックも大丈夫アピールに必死ですが、これだけ「楽だ楽だ」って言ってるってことは、要するに楽じゃない検査ってことなんですよ。当院も含めてねw


だからこそ日本中の内視鏡医が、あらゆる方法を用いて、少しでも苦しくならないように日々努力しまくってるんです。


そのため次のように技術と設備をアピールする文言も多いでしょう。


・押してしまうループ法ではなく、苦しくない軸保持短縮法、或いは無送気軸保持短縮法を採用。

炭酸ガス使用だからお腹が張らない。

鎮静剤使用だから眠ったまま終わる。

最新機種を採用してるから小さな病変も見逃さない。

その場でポリープ切除


などなど。なんだか凄いことやってる感が漂ってますが......。


ハッキリ申し上げます。

何処でやってもレベルは同じです。


上記は全て何処でもやってることなんですが、こう書かないと周りと比べてダメっぽく見えちゃうんで仕方なく書いてるんですねー。当院を含めましてw


だって、もちろん内視鏡の上手い下手はありますが、そもそも自信がない医者はクリニックで難しい大腸内視鏡なんか始めませんよね。



とは言え、なんのこっちゃわからんって方もいると思いますんで、少しだけ1つ1つ解説してみます。


軸保持短縮法

従来のループ法は「大腸を伸ばしては短縮する」を繰り返して奥へと進んでいきます。


しかし大腸が伸ばされると非常に痛く辛いんです。


特に、腹膜に固定されていないS状結腸と横行結腸はとにかく伸びまくります。

※出典:近畿大学医学部外科学教室


そこで、吸引と右回転とアングル操作を駆使し、カーブを直線に近づけるようにして奥へと進んでいくんです。


例えばこんな感じに。

※少しチョコチョコし過ぎな感はありますけれども......。


確かにこれが最後まで全う出来れば苦しさは減ります。


ですから内視鏡医全員軸保持短縮法(無送気)で挿入を試みるんです。


しかし、癒着がある人、長い腸管が骨盤に押し込められてる人、内臓脂肪が多くて短縮しにくい人、こういう患者さんは軸保持短縮法が通用しない場合があります。


その時は仕方なく腸を伸ばしては引き寄せるループ法に切り替えるんです。


少なくとも、わざわざ「自分は軸保持短縮をやってる」なんて、そんな当たり前なこと恥ずかしくて言えません。


炭酸ガス・鎮静剤】

これもみんな使ってます。確かに楽になると思います。それでも辛い人には辛いし痛い人には痛いんですよねぇ。


炭酸ガスは吸収が早いだけで、空気を入れた瞬間の張りは変わりません。検査後の腹部膨満感は治りやすいですけどね。


鎮静剤だって効きにくい人がいます。

お酒の酔いが来ない日ってありますでしょ?

緊張がすごいとなかなか眠れないんですよ。


最新機種】

これで小さな病変も見つかるなんて、おこがましいにも程がある。


機械に頼ってる時点で腕に自信がないのと同じです。AIに病変の見つけ方を教えるのは熟練の人間様です。要は腕なんです。


そもそも何処だって導入時点で最新の機種ですし、保守期限が切れたら買い替えなきゃいけませんので、結果いつだって最新機種です。


その場でポリープ切除

これも当たり前のこと。10mm以下で形が明らかに良性ならコールドスネアポリペクトミー(CSP)でとってしまいます。


下図の①ポリペクトミーの方法です。

※出典:エムズ総合内科クリニック


しかし、大きいポリープ、明らかに癌であるポリープは入院施設のある病院へ紹介することになるでしょう。


出血リスクが高いポリープはもしもに備えて入院施設が必要です。


癌は取り切れることが重要であり、そういったポリープはCSPではなく、上図の②内視鏡的粘膜切除術(EMR)、③内視鏡的粘膜剥離術(ESD)が推奨されるからです。



如何だったでしょうか。

しつこいですが自信のない医者はクリニックで難しい大腸内視鏡なんか始めません。


上の方法を全部駆使することで、


「眠ってる間に終わった!」

「楽だった!」

「これなら次もやってもいい!」


こう言っていただけるように、全ての内視鏡医が最大限の努力を尽くしています。


しかし、どんなに努力しても全ての患者さんを100%満足させることは出来ないんです。


有名な先生だって、患者さんによっては痛みを感じさせてしまうことが間違いなくあるんです。


それでも敢えて申し上げたい。


大腸内視鏡をやるべき意義は絶対にある、と。


・便潜血反応陽性。

・下血があった。

・今までなかったのに便秘になった。

・気がついたら貧血になっていた。

・少しの便が1日に何回も出る(渋り腹)。


これらは全て大腸癌の可能性があり、大腸内視鏡を受けるべき状況です。


※大腸癌についてはこちら。


是非、何処のクリニックでも何処の病院でもいいので、必要性がある場合は大腸内視鏡を受けていただきたく存じます。


以上です。

それでは皆さん、お疲れ様です。



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