※【病気解説一覧】のリンクを記事の最後に貼ってあります。是非ご活用ください。
10年ぶりに品川に来る機会がありまして。
家族思い出のお店「えん」。
相変わらずいいお店でした。
土鍋ごはんも美味しいですよ。
ちなみに、先輩の腎臓内科A先生は、お刺身には醤油も塩もかけず、なんとお酢のみで食べるそうです。
職業柄とは言えさすがとしか言いようがありませんよね。
あと、シンガポールリパブリック閉店しちゃったんですね。あそこも思い出のお店でした。まあ竹芝に移っただけなみたいですが、品川も様変わりしていくんですねぇ。
さてさて。本題に参りましょう。
健診で「腎機能低下」や「腎障害」を指摘されたら、いやーな感じがしますよね。
「え? わたし透析になっちゃうの?」
「塩分制限しろってこと?」
「薬とかないの?」
色々と不安が過ぎることでしょう。でも大体の場合はそこまで心配することはありません。
健診結果に記載されているCre(クレアチニン)という項目を見てみましょう。
血液中のゴミみたいなもんで、腎臓はお掃除する臓器ですから、こいつが増えれば増えるほど、腎臓の働きが悪いということです。
まあ腎障害ありと指摘された場合でも、大体が1.2とか1.5とか、高くても2とかじゃないですか?
透析になるのはCreが8以上です。よっぽど放置してなければ急に8になることはありません。
ですので「そこまで心配しなくてもいいのか」と安心していただきまして、慢性腎臓病(CKD)についての説明をお聞きください。
これを説明することが「結局どうすりゃいいの?」の答えに繋がると思うんです。宜しくお願いします。
まず慢性腎臓病(CKD)とは、主に高血圧や糖尿病が原因で腎機能が徐々に悪化していく病気です。心筋梗塞や脳梗塞や脳出血のリスクにもなります。
定義は次の通りです。
①蛋白尿
②eGFR<60
いずれかが3ヶ月以上続く。
出てきましたね、なんかどこかで聞いたことのあるような項目が。
eGFRは先程のCre(クレアチニン)から算出する値で、皆さんが行う採血結果や健診結果にも記載してあることが多いです。
ただ書いてない場合もあるんで、親切な人が作ってくれた表も下に掲載しましょう。
【男性】
※出典:日本腎臓財団。
eGFR<60が慢性腎臓病(CKD)ですので、
・男性ならCre 1.0以上。
・女性ならCre 0.8以上。
で慢性腎臓病(CKD)ってことですね。
ただクレアチニンが1以上なんて方はごまんといらっしゃいます。つまりこれくらいならまだ過度な心配はいらないということです。
心配な方は是非腎臓内科を受診していただきたいですが、この近辺の値なら次の対応で慎重に様子をみるように指導されることが多いです。
・リスクとなる高血圧・糖尿病を徹底管理。
・塩分制限して水分をよく摂る。
※心不全がある方は水分過剰摂取はダメです。
・健診などで年1回採血を行い、eGFRとCreを経過観察。
・痛み止めの乱用を避ける。ロキソニン、ボルタレン、イブプロフェン、ハイペン、セレコックス、カロナールなど。
では実際いくつくらいからヤバいのか。
小難しい物言いは分かりづらいんで言い切ってしまいましょう。
・eGFR<30
・男性ならCre 2.0以上。
・女性ならCre 1.6以上。
こうなったらもう後戻り出来ません。
この値に達してる方だけでなく、この値に近づいてる方も絶対に腎臓内科を受診しましょう。
薬物治療を含めたあらゆる方法で、透析になるのを避ける必要があります。
※出典:日本腎臓病協会
この表で言えばG4ってことですからね。G5の末期腎不全にならないようにしなくてはなりません。
そしてもう1つポイントがあります。
尿蛋白が陽性だと慢性腎臓病(CKD)はどんどん悪くなるってことです。しかも心筋梗塞、脳梗塞、脳出血のリスクも増えるんです。
逆に言えば、eGFRが悪くても尿蛋白が陰性なら慢性腎臓病は進みにくいとされています。
つまり、
・eGFR<60
・男性ならCre 1.0以上。
・女性ならCre 0.8以上。
これに加えて尿蛋白陽性の人は要注意ってことです。
Cre値は大したことはなくても、念のため腎臓内科を受診しておいた方が良いでしょう。
Cre正常でも尿蛋白2+以上だけで受診が推奨されてるくらいですからね。
最後に薬物治療を説明して終わります。
①ARB
・CKD治療の主役。
・蛋白尿を減少させることで腎保護作用を発揮。
・一方、糸球体濾過量減少によりCre上昇を生じるんで腎障害が既にある人には要注意です。開始は少量から。
※上昇率が30%以下なら続けて良いとされてますが、自分はCre1.5以上の場合は避けて、腎臓内科の先生に紹介しています。
例:カンデサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、アジルサルタンなど。
②SGLT-2阻害薬
糖尿病の薬です。腎機能低下や透析を遅らせることができます。
例:ジャディアンス10mg。糖尿病のない慢性腎臓病(CKD)に投与可能なのはこれだけです。
③ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
・尿蛋白を減らす効果がある。
例:スピロノラクトン(アルダクトンA)、エプレレノン(セララ)。
・下記の新薬は尿蛋白を減らす効果に加えて慢性腎臓病(CKD)の進行を防ぐ。
例:エサキセレノン(ミネブロ)、フィネレノン(ケレンディア)。
以上です。皆さん、お疲れ様です。
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