こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

絶賛連載中の

神武征討記

今回は、外伝です( ・ω・)

 

 
※この外伝は、2024年1月13日に公開されたものです。

 

神武征討記外伝

恋も仕事も~新人ヒムカノナミの一日

 

 

ストーリーテラーのアメノウズメでございます。

「一人ひとりが主人公」の『神武征討記』。

今回の外伝の主人公は、ヒムカノナミです。

ヒムカノナミ(統率78、武勇77、知力92、政治93、魅力96)は、

神武様の軍事重臣アチタケルを父、政務重臣サルメノウズメを母とします。

 

 

神武東征編第5ターン(神武様34歳)の年の4月1日。

出雲大社学宮(イズモタイシャマナビノミヤ)を次席で卒業したヒムカノナミは、

16歳の年に神武勢力に仕官し、9品官の文官として安芸行政府に配属されます。

 

 

広島内・安芸行政府。

ここでは、安芸太守イツクシマオキツシマヒメの指揮の下、

安芸(広島県)の内政にかかわる様々な事務が行われています。

おや。ヒムカノナミが出社してきたようです。

様子を見てみましょうか。

 

 

ヒムカノナミ「おはよう~」

 

アキノカナ「おはよう。ナミちゃん。」

 

ヒムカノナミ「カナは朝早いね。

私は、朝は苦手なのよねぇ。」

 

アキノカナ「いろいろ覚えないといけないことが多いから、

早めに出社して予習・復習してるの。

私はナミちゃんみたいに出雲大社学宮出身のエリートじゃない、

庶民の娘だから…」

 

ヒムカノナミ「出雲大社学宮で勉強してなかったのに、

一般公募の採用試験に合格したんでしょ。

競争倍率108倍って話じゃない。

十分、優秀だよ。」

 

アキノカナ「ものすごく頑張って勉強したの。

神武様は、身分を問わずチャンスをくださる大王様だから。

神武様にお仕えするのは、私たち神武勢力の民たちの憧れよ!」

 

ヒムカノナミ「ふ~ん。神武のおじさんって、

民からはそういう風に見てもらってるんだ。

いっつも、( ・ω・)な顔してる楽しいおじさんだと思ってた。」

 

 

ヒムカノナミ達9品官の吏員の一日は安芸行政府の執務室の清掃から始まります。

行政事務が始まるのは朝9時からですが、新人たちは8時30分には出社して掃除をする。

その後、各国からの行政文書(郵便物)の仕分け、行政文書(郵送物)の発送作業。

書類の作成補助、記録の整理、上司であるイツクシマオキツシマヒメのスケジュール管理、

来庁者の対応となかなか多忙です。

そのような補助的業務を行いながら、様々な情報に触れ、国政の運営を身につけて行くことになります。

お昼になりました。

正午から午後1時までの一時間は、お昼休みです。

 

 

ヒムカノナミ「やっとお昼休み…今日は文書が多かったわ。」

 

アキノカナ「ナミちゃん。お昼たまには一緒に食べる?」

 

ヒムカノナミ「ごめん。私、お昼は…」

 

アキノカナ「また宰相府のウラワツキノミヤさんに会いに行くのね。

短いお昼休みに毎日マメねぇ。」

 

ヒムカノナミ「恋も仕事も全力投球!

それが、ヒムカノナミちゃんの主義よ!」

 

 

同じ広島の町の神武王宮内宰相府の前に行くヒムカノナミ。

 

 

ヒムカノナミ「ツッキー。お昼食べよ~。」

 

ウラワツキノミヤ「ナミか。すまない。今日はダザイテンマン様と

お昼はご一緒することになった。」

 

ヒムカノナミ「え~!!!お昼休みに上司とお昼~!?

休憩できないじゃない!

そんなのパワハラよ~!!!」

 

ダザイテンマン「ふむ。ヒムカノナミ。

私はパワハラ上司だと言うのか。」

 

ヒムカノナミ「げっ!ダザイテンマン!」

 

ダザイテンマン「宰相である私を呼び捨てにやるヤツがあるか…

宰相府は忙しいのだ。打ち合わせを兼ねて、食事をしながら、

ウラワツキノミヤと情報交換をするのだ。」

 

ヒムカノナミ「え~!やだ~~~!!!

お昼休みは、自由時間なのよ~!!!

休憩時間を与えないのは違法よ~!!!」

 

ダザイテンマン「ぐぬ!最近の若いもんは…

わかった。ウラワツキノミヤ。今日は、このうるさいのと食事してやれ。

また今度な!」

 

ウラワツキノミヤ「はい。せっかくお誘いいただいたのに、

申し訳ありません。また別日に。」

 

ヒムカノナミ「べぇ~だ!」

 

 

一緒にお昼を食べるヒムカノナミとウラワツキノミヤ。

 

 

ウラワツキノミヤ「安芸行政府の仕事は慣れた?」

 

ヒムカノナミ「なんか雑用ばっかだわ。

ほとんど行政文書の取次と管理ね。

ツッキーの方は?」

 

ウラワツキノミヤ「宰相府には神武勢力全体の動きが入って来るからね。

神武軍団の各国だけでなく、トサノリョウマ軍団、ヒヨシマル軍団、

オワリノブヒメ軍団、エツノケンシン軍団。

今は、大和勢力のセゴドンノキチノスケ軍団の進出で、九州が大変なことになってる。

筑紫(福岡県)には、肥後(熊本県)から避難してきた人たちが数十万人いて、

避難者の衣食住をどうするかが大きな問題になってるね。」

 

ヒムカノナミ「そっか。私の方は、安芸(広島県)の民の生活関連のことが多いかな。

あと伽耶国の商人との取引のこととか。」

 

ウラワツキノミヤ「マクロな視点は宰相府の方が身に付くけど、

ミクロな視点は安芸行政府の方が身に付くかもね。

どっちも大事。だから情報共有しながら役割分担する必要があるんだね。」

 

ヒムカノナミ「あっ。もうすぐお昼休み終わっちゃう。

ツッキー、またね。」

 

 

お昼休みが終わり、午後の業務が始まります。

安芸行政府の執務室に太守のイツクシマオキツシマヒメがやってきました。

 

 

イツクシマオキツシマヒメ「広島の町の視察に出ます。

誰かついてきてください。」

 

ヒムカノナミ「はいは~い!ヒムカノナミ!

行きま~す!」

 

イツクシマオキツシマヒメ「ヒムカノナミさん。

『はい』は一回。あと言葉を伸ばさない。

言葉遣いは大切ですよ。では付いてきてください。」

 

 

イツクシマオキツシマヒメは月に一度、広島の町に視察に出ます。

民たちの生活を太守であるイツクシマオキツシマヒメが直接見聞きする。

民の声を聞き、民のために必要な施策を検討、実行するための大切な業務です。

 

 

イツクシマオキツシマヒメ「やはり保育所が不足しているわね。

それに老人の介護をする人達の賃金が低すぎる…

その改善のためにもっと資金を投入する必要があるけど、

経済も疲弊してきている。民たちの税負担を増やすことは難しそうね。

むしろ減税を求める声も強い。

さて、どうするか?」

 

ヒムカノナミ「行政の運営って、いろいろな要素を

考えないといけないんですね。」

 

イツクシマオキツシマヒメ「こっちを立てれば、あっちが立たない。

なかなか難しいでしょう?

でも、それをなんとか調整していくのが私たちの政治の役割よ。」

 

ヒムカノナミ「はい。勉強になります!」

 

 

イツクシマオキツシマヒメの様子をうかがっている不審な男…

突然、その男がイツクシマオキツシマヒメに向かって走り出します!

その手には小刀が!

 

 

イツクシマオキツシマヒメ「はっ!」

 

ヒムカノナミ「危ない!」

 

 

とっさにイツクシマオキツシマヒメを押すヒムカノナミ!

イツクシマオキツシマヒメは倒れ、それにより男の小刀をかわすことになります!

 

 

ヒムカノナミ「この~!」

 

刺客「ちっ!この小娘!邪魔なんや!

死ねや!イツクシマオキツシマヒメ!」

 

ヒムカノナミ「戦いの舞!武闘戦舞!」

 

 

ヒムカノナミの攻撃力が倍増した!

 

 

ヒムカノナミ「からの~!」

 

刺客「うおっ!」

 

ヒムカノナミ「ナミちゃんの美脚キ~ック!!!」

 

 

刺客の男を倒した!

 

 

ヒムカノナミ「イツクシマオキツシマヒメ様!

お怪我はありませんか!?」

 

イツクシマオキツシマヒメ「大丈夫です。

助かりました。ありがとう。ヒムカノナミさん。」

 

ヒムカノナミ「こいつ!あっ!」

 

 

刺客の男は自害した。

 

 

ヒムカノナミ「死んだ…の?どうして…?」

 

イツクシマオキツシマヒメ「この男の言葉は関西の訛りがありました。

おそらくは、大和勢力…ヘイケノキヨモリの刺客。

我らに捕らわれないよう自害したようですね…

衛兵!この者の遺体を片付けなさい!

神武様に報告に行きます。

ヒムカノナミ、ついてきてください。」

 

 

イツクシマオキツシマヒメに同行し、神武王宮に報告に行くヒムカノナミ。

 

 

神武「関西訛りの言葉の刺客…

おそらくは、神戸出身のヘイケノキヨモリからの刺客だろうな。

直接の刺客を送り込んでくるとは…

ヘイケノキヨモリも手段を選ばなくなってきたな。」

 

チチブカネビメ「神武様。要人の警護を強化すべきかと。」

 

イツクシマオキツシマヒメ「刺客は私の名を呼び襲ってきました。

おそらくは、狙われる可能性が高いのは、安芸(広島県)太守である私や

宰相のダザイテンマン殿ではないかと思います。」

 

カムイ「まあ、俺たち十将軍に刺客を送っても返り討ちに遭うことは

さすがにわかるだろうしな。」

 

ショウリュウキ「戦闘能力の低い文官が機能停止になれば、

戦争の継続も困難になるということね。

警戒が必要ね。」

 

ツチミカドヒメ「戦で勝てないから、文官に刺客を送るとは、

ヘイケノキヨモリも見下げ果てた男ね。」

 

神武「まあ、それだけ必死なのだろう。」

 

アチタケル「ナミ!怪我はしてないか!?

よくやったぞ!」

 

ヒムカノナミ「うん。パパ、私も怪我はしてないよ…

でも…」

 

サルメノウズメ「ナミ?」

 

ヒムカノナミ「目の前で…私が倒した男が、

私の目の前で…死んだの…自分の喉を小刀で突いて…

死んだの…私の目の前で…」

 

サルメノウズメ「ナミ…」

 

神武「ヒムカノナミ…嫌な思いをしたな。

だがね…我々は戦争をしている…

戦争をしている限り…

人は死ぬのだ…残酷だがな…」

 

ヒムカノナミ「神武おじさん…」

 

イツクシマオキツシマヒメ「神武様。

甘いとお叱りを受けるかも知れませんが、

ヒムカノナミさんは、まだ16歳の女の子です。

目の前で人が死んだのを目の当たりにした衝撃は大きなものです。

今日は、私の権限でヒムカノナミは早退させ、休ませたいと思います。

ヒムカノナミさん。安芸行政府に戻ったら、今日は帰宅していいわよ。」

 

ヒムカノナミ「はい…イツクシマオキツシマヒメ様…

ありがとうございます。」

 

サルメノウズメ「ナミ…ママはまだ帰れないから、

一人でも大丈夫?」

 

ヒムカノナミ「うん。心配ないよ…私、大丈夫だから…」

 

 

ヒムカノナミはイツクシマオキツシマヒメとともに神武王宮を退出しました。

 

 

神武「ダザイテンマン。すまんが頼みがある。」

 

ダザイテンマン「なんでしょうか?神武様。」

 

神武「今日だけは、ウラワツキノミヤを定時に帰らせてやってくれ。

ナミもツキノミヤも、俺にとっては赤子の頃から我が子たちとともに

育てた大事な子だ。

不公平かな?」

 

ダザイテンマン「了解いたしました。

仕事は大事ですが、仕事をしている者たちもまた人間…

人間の心を守ることが一番大切です。

ヒムカノナミやウラワツキノミヤを特別扱いするのではなく、

これは他の者たちにも平等にそのようにいたします。」

 

神武「タケル、カネビメ。異存ないな?」

 

チチブカネビメ「御心のままに。」

 

アチタケル「異存など…神武様のお気持ち、

ありがたく思います。」

 

神武「うむ( ・ω・)」

 

 

早退し、自宅で休むヒムカノナミ。

17時になり、定時で仕事を終えたウラワツキノミヤがヒムカノナミの自宅を訪れます。

 

 

ウラワツキノミヤ「ナミ。今日は大変だったみたいだね。

大丈夫?」

 

ヒムカノナミ「ツッキー…今日は定時あがりなんだ。

珍しいね…」

 

ウラワツキノミヤ「ダザイテンマン様が…

ナミのところに行ってやれって。」

 

ヒムカノナミ「ツッキー…

私の目の前でね…

人が死んだの…

私が倒した刺客が私の目の前で自害したの…」

 

ウラワツキノミヤ「ナミ…」

 

ヒムカノナミ「あの人には家族はいなかったのかな…?

あの人には、愛する人はいなかったのかな…?

大切な人がいても、役目として命を捨てさせられたのかな…?

戦争してるって…いったいなんなの!?

なんで、人を殺そうとして、自分も死ぬの!?

なんで!?」

 

ウラワツキノミヤ「僕にもわからないな…

どの書物にも、納得のできる答えが書いてあるのを

読んだ記憶は無いね。

ヘンだね。戦争とか暗殺とかをする人間って…」

 

 

新人ヒムカノナミの過ごしたある一日の出来事。

誰にも答えがわからないまま、

それでも、明日は続いていく…

 

 

【本外伝直前の本編】

 

【本外伝直後の本編】