トメをぶん殴る夢をみた | ヨメトメ戦記

ヨメトメ戦記

2014年10月アルツと診断されて以来、独居を貫いたシュートメと、トメ嫌いな鬼嫁の毒吐き記録。約10年踏ん張ったが、2023年12月頃から急激に進行、ついに2024年6月認知症専門病棟に医療保護入院となる(現在入院中)

イラついたってしょうがない。

期待したって意味がない。

トメは認知症なんだから。

頭では感情をセーブしているし、そういう脳内変換をするのも慣れてきた。

とはいっても、深層心理ってやつはどうにもならない。

 

先週の定期通院で、トメは不穏のちハイテンションだった。

まず不穏。

理由もキッカケも不明だけれど、その日は検査が多かったので

超音波だのレントゲンだので疲れたせいかもしれないと推測。

もしくは、検査室の中で技師さんとなにか揉めたのかも?

ニンチさん対応の上手な技師さんもいれば、そうでない人もいるしね。

 

どっちにしても、トメの不穏&不機嫌は珍しいことではないので

私も夫もスルーしたかった。しようとした。

スルーしよう、心穏やかに、冷静に・・。

だけど、コッチの気持ちなんてトメが察するはずもなく

いろいろやらかしてくれる。

 

例えば、検査後の診察では、患者用イスをクルリと180度反転して

あろうことか先生に背を向けてしまった。

いわゆる「そっぽを向く」という状態だ。

それどころか、「どうしました?」と優しい言葉をかける先生を無視し、

カバンをガサゴソし始めたではないか。

「お義母さん? なにしてるの? 先生がお話したいってよ」

と私もなだめすかしてご機嫌をとろうとしたのだが、なんと

トメはティッシュを取り出し、あふれる涙をぬぐい始めたのだった。

なにが悲しいのか、なんの涙なのかまったくわからないし

先生も私も尋ねてみたが、その後はすっかり貝の口。

もう何も喋るものか、とあからさまに頑固な態度を貫いた。

これも一種の認知症の進行なのだろう。

ものの5分で、貴重な診察時間は終わってしまった。

「誰のために時間つくって、家と病院を二往復してると思ってんだヨ!!!」

と怒鳴りたかったが、そりゃ抑えるしかないんだよね。

 

ところがだ。

帰路の車中のトメの、にぎやかなことといったら ┐(´д`)┌ヤレヤレ

病院でだまりこくっていた反動なのか?

「あら、ずいぶん大きいクルマだなや!」 ← ただの路線バス

「ウチの3倍ぐらいあるな! ハハハハハ」← 何が可笑しいのやら

「〇〇〇って書がったわ。こっちは△△△だど」 ← やたら看板を読む

ひとりごとなのか、話しかけられているのかわからないので、時々

「ん? なに? どこ?」

と運転席から声を張り上げてみるのだが、案の定、返事ナッシング。

 

だったら逆に話しかけてみっか、と

ホラあそこの並木、見て。紅葉しててキレイだよ~なんて教えたらば

「赤いな!」と同調してくれたのち

「赤い靴~、は~いてた~、お~ん~な~の~こ~~」

と歌い始めて、そこからもう止まらない。

紅葉をみて赤いといえば、普通は

「まっかだな~、まっかだな~」と歌いそうなものだけれど

トメの脳内は紅葉と異人さんがくっついたらしい。

なんどでも、「赤い靴~、は~いてた~」を繰り返し歌う。

ただし、歌うのは

「赤い靴はいてた女の子、異人さんに連れられていっちゃった」

このフレーズのみ。あとはリピートオンリー。

勘弁してくれえええええ。

といっても、運転中は逃げられない。

これが美声だとか、そこそこ上手なら、まだ聞けるんだろうけど

トメ宅までの30分、苦行であった。

 

そんな一日を過ごした晩、トメをぶん殴る夢をみた。

 

夢の中でも私は運転席にいて、トメは後部座席にいて、

リプレイよろしく喋る、歌う、喋る、歌うを繰り返していた。

夢の中の私は、全然ガマンしなかった。

「うるさいっ!! いい加減にヤメロっ!!!」

やめて、ではなく、ヤメロと命令形なのが象徴的。

そして、ヤメロといってもやめないトメに対し、

私は運転中にもかかわらず後ろをふりむき、身体を乗り出してまで

トメのほっぺたを「グー」でぶん殴ったのだった。

その後の展開がどうだったのかは覚えていない。

現実世界なら、シートベルトが邪魔しただろうけど

夢の世界はすばらしい。なんの抵抗もなくトメの頬を殴れた。

 

ああ、こわいこわい、自分がこわい。

だけど、夢の中とはいえ、ぶん殴った私はスカッとしていた。

いや、ぶん殴ったのが夢の中だからよかったのか。

 

なんとなく、介護経験者なら似たような夢をみている気がするけど

どうなんだろう?

ちなみに、まだ夫をぶん殴る夢はみたことがないですw

 

 

事務手続きが残っているので、またまた里帰り。

ほんの一週間で峠の色合いもだいぶ変わった。

実家の裏庭では食用菊「もってのほか」が花盛り。せっせと食うべし。