めっきり肌寒くなった。
そろそろトメにも秋支度、というか冬支度?をしなければならない。
ただでさえ東北の秋は短いのに、今年はなんだかせわしない。
過日は対面ケアのターンだったので、夫と3人、
まずはいつも通りランチへと出かけた。
珍しく、トメが「あったかい麺がいい」とリクエストしてきたので
某店に連れて行ったら、まだ11時過ぎだというのに駐車場が満杯。
仕方なく、麺類「も」選べる別の店に入った。
でも、そこでトメが選んだのは「海鮮丼」だったというオチ。
なんでやねん! あったかい麺はどこいったんじゃーーー!
最近はそんなことで呆れたり怒ったりしなくなったけど、
胸の中では舌打ち「チッ」なヨメである。
ただ、あとになって判ったことがある。トメがなぜ
「あったかい麺」を食べたかったのか、それには理由があったのだ。
それは追い追い、読んでいただくとして。
ともかく冬支度だ。
帰宅して、まずはエアコンのフィルターを掃除。
年季の入ったエアコンだが、とりあえず暖房が機能することも確認した。
続いてコタツのセッティングにとりかかる。
といっても、普段使っているものが「コタツテーブル」なので
コードをつないでコタツ布団をかけるだけ。あっという間で簡単。
あとは、衣替えだが、まだ寒暖の差があるので総入れ替えにはまだ早い。
それなりに厚手の服を出してハンガーラックにかけ、
同じくパジャマも、秋冬物をベッドの上に揃えておいた。
ニンチさんケアは「見える化」が大事なので、
口でいうより見て気づいてもらうほうが有効だしね。
ふと、一段落して台所を見渡すと
電気ケトルの置いてある「位置」が気になった。
どうしてここにあるんだろ、という場所に置かれていたせいだ。
元々は茶の間で使っていたのに、台所にあるという違和感。
しかも、その場所ではとてもじゃないが電源(コード)が届かない。
ケトルが「ワタシ使われてません」と訴えているかのようだった。
電気ケトルは、昔から愛用のティファールちゃん。
「あっという間にすぐに沸く」の、アレである。
少量ならホントにすぐにお湯が沸くので、
一人暮らしのトメにはちょうどいいし、重宝していた。
それが今年の夏、接触不良なのか電源が入らないことに気づいた。
「修理するより買った方が早いだろ」と夫がいうので、
買い替えることにしたのだが、母のあれこれもあって購入したのはつい最近。
ニンチさんに配慮して、同じシリーズの同じ形状、同じ色である。
ところが、台所に置かれたティファールに、使った形跡がまったくない。
もしや、ちょっと間があいたことで、ケトルの使い方を忘れたんだろうか?
水を入れて、スイッチポンするだけなのに?
いやいや、まさか。それくらいできたよね?
・・確かめたい、と思ったのは当然である。しかし。
「なあ、このポット使ってないのか? お湯、どうやって沸かしてる?」
夫がトメを問い詰めた時の反応は、意外なものだった。
「お湯? お湯沸かす時はな、コレをこうして・・」
なんと、トメが指さしたのは電子レンジ!
コップに水を入れて、チンしてお湯を作っていたのだ。Σ( ̄ロ ̄lll)
「どうせ夏の間はあまり使わないだろうから」と、
すぐに買い替えなかったことを大後悔。
しばらくケトルを使わなかったせいで、「使えなく」なっていたのだ。
言われてみれば、カップ麺やカップしるこがあまり減っていない。
たまに、開封して上蓋をあけたまんま放置されているのを発見するが
おそらく、あれはお湯を入れようとして断念した痕跡だったのだろう。
きっとランチに「あったかい麺」を望んだのも
カップ麺すら食べていなかったから、なんとなく食べたくなったのかも。
でも、「使えない」と決めつけるのも、なんだか怖かった。
例えば、頭では覚えていなくても、「手」が覚えていて
実際にやらせたら自然とケトルをセットできちゃうんじゃない??
なんていう微かな期待を込めて、トメにわざとらしく頼んでみた。
「お茶飲みたいから、お湯沸かしてくれない?」と。
ところが、トメはやっぱり電子レンジの扉を開けてしまう。
「違う違う、これ使って!」
とティファールを渡したら、なんと、それをレンジに入れようとした。
(もちろんサイズ的に全然入らない)
ああ、もうダメだ。無理なんだ。
故障がわかってすぐ買い替えなかったのが悪い。後悔先に立たずだ。
ただ、ティファールの使い方がわからない、というよりは
「容器に水をいれて→蓋を占めて→スイッチを押す→湯が沸く」
という手順がわからなくなっていることに愕然。
認知症症状の典型、いわゆる「実行機能障害」というやつだ。
物事を進めるとき、どういう順番で、なにをしていけば
望む結果を得ることができるのかがわからなくなっている。
今までだと、トメの認知症で目立っていた中核症状は
「記憶」や「見当識」の障害だったけれど
ついにというか、やっぱりというか、進行しちゃったなあと実感した。
なんども書いていることだが、こんな状態では
どう考えても自立生活なんて難しいに決まってる。
だいぶ前からレトルトカレーの類を扱えなくなっていたが、
お湯を沸かしてカップ麺を食べるとか、お茶を飲むとか、
そんなこともできなくなったトメに一人暮らしを継続できるわけがない。
ああ、一日でも早く、ちゃっちゃとスパッと入所させたい!!!
「もうお湯も沸かせないんですよ~」と、
あの強気発言で私を驚かせた元・ケアマネに報告したい気持ちだ。
さすがに「いやいやまだ大丈夫! おひとりで暮らせます」
とは言わないだろうけど(言わせないけど)
あの御方がどんな顔をするか見てみたかった気もする。そして、
「こうなるのは時間の問題でしたよね?
だから、早く入所させたいと言ったんですよ!」
と、イヤミの何発かぶっかましてやりたかったなあ。
息抜きは大切。
久方ぶりに出張で来県した大学時代の先輩と、なつかしや~~
次々登場するひやおろし、あれもこれも吞みたくて追い付かないぞ。