●子供たちは夜と遊ぶ● | 君 次 第 ο

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【子供たちは夜と遊ぶ】

辻村深月


辻村深月さんを読むのはこれで4作目です。

『鍵の無い夢を見る』『本日は大安なり』『スロウハイツの神様』


この作品はその中ではスロウハイツに近い感じかと思います。



いつも通りあらすじを書いて感想、といきたいのですが、

どう書いてもネタバレになりそうで怖い...。


この作品はネタバレを先に読んで良いタイプのものではない。

ということで、あらすじと表面的な感想だけ書きます。

ネタバレ含む感想は次の記事であげますね。





関東のいくつかの大学で海外留学を副賞とする論文コンクールが行われた。

秀才の狐塚孝太と天才の木村浅葱、2人は同じ研究室に所属しており、

留学を手にするのは2人のどちらかと思われていた。


しかし、最優秀賞を受賞したのは『i』と名乗る謎の人物であった。

iは名乗り出ることなく、コンクールは有耶無耶に終わる。



そして数年後、物語は動き出す。



赤川翼という高校生が行方不明になった。

そして浅葱の元にiからメールが届く。


「Θへ

 待っているよ。次は君の番だ。」


そして最後には次の殺人を浅葱に求める文が綴られていた。



浅葱には双子の兄である藍がいた。

浅葱は母からひどい虐待を受けており、藍だけが唯一の支えであった。

しかし2人はやがて離れ離れとなってしまう。


Θは論文コンクールの際、iを探すために使っていたハンドルネームである。

その際に浅葱はiに自分のパソコンのデータを盗まれ、その中には過去を綴った手記も入っていた。


激昂し、恐怖する浅葱の元にiからメールが届く。


「浅葱、浅葱、君なのか」

「自分は木村藍だ」


そんな内容のメールであった。

信じるものか、しかし普通の人間ならば浅葱の過去は創作小説だと思われて然るようなものである。

iは藍に違いない、浅葱はそう直感する。



それからメールのやりとりを続ける2人。

そして赤川翼についてのメールが届いたのであった。


iは浅葱に、共に殺人ゲームをすることを求めている―――。

iは浅葱と会うことを避けていた。

しかしゲームの終わりに会うことを約束した。


iに会いたい。

その一心で浅葱は殺人を犯す。



狐塚や浅葱と同じ大学に通う月子は、教育学部に通う女子大生である。

有名な秋山教授のゼミに所属し、隙無くお洒落をした天真爛漫な女の子。

しかし他人の心を分析してしまったり、繊細な賢さを持ち合わせていた。



狐塚と同居する同級生で自由気ままな恭司。

月子の親友、しかし月子に絶対的な劣等感を持つ柴乃。

月子と同じゼミに所属する白根真紀。



彼らの周りに流れる、ゆるやかな日常。

しかし、ゲームは始まってしまった。


寄生と羽化。

I、愛、i。



これは、彼≪i≫のための物語。





********************************


ずいぶんセンセーショナルなあらすじになってしまいました(´Д`;)

恥ずかしい。


読み終わってすぐに、

「これはすぐ感想を書かなければ...!!」

と思わされた作品でした。


そう思わされたのは【隻眼の少女】以来です。

それだけの衝撃がありました。


読み終わった最初の感想は、ずばり

「疲れた...」

でした。とにかく消耗させられました(´□`。)



辻村さんの特徴なのかもしれませんが、物語の本題に入るまでが長いです.。

かの汰割とベッドで本読むのですが、上巻の途中で何度も寝落ちしました←


しかし上巻の最後からは一気に読みました!!

iとは誰なのか、色々気になって最後まで突っ切りました。

読者を飽きさせない本だったと思います!!



あらすじではずいぶん浅葱寄りに書いてしまいましたが、

狐塚や月子視点で語られる部分もたくさんあります。


どうしても殺人の方に重きを置いてしまいましたが、

もっと日常的で平和なところもありますのです。



私はまだ辻村作品をあまり読めていないですし、

【本日は大安なり】が好きだったりするので確かなことは言えないですが、

こういった作風が辻村さんの持ち味なのだと思います。


私個人的には女性向け、しかも10代後半に響く作家さんかなーと思います。

高校時代に出逢っていたら結構陶酔してた気がします(笑)

思春期に必要な感情を教えてくれる魅力があるかと。


かと思えば【本日は大安なり】や【スロウハイツの神様】は

20代半ばの女性向けな気もしますので、色んなテイストで書ける方なのかしらん。


辻村さんはまだ30代の前半なのですね。

何年か後には恩田陸さんのような存在になってほしいです!!



面白かったです。フェアか際どい伏線もたくさんあって、

どんでん返しを楽しめるし、色々個人で考察して一層楽しめる作品です。


メインのトリックは大体予想通りだったのですが、忘れてた伏線もたくさん。

今度から辻村作品読むときは、伏線になりそうなこと全部メモしておこうかなー(-ω-)




色々書きたいことがあるのですが全部ネタバレにつながるので、

次の感想で一気に書きます!!


次の感想は本作読後に読んでいただきますようお願いします(*’ω’*)