ども、砂丘の砂の温度は60度近くになることを知ってほしい岡田達也です。




昨日のつづき


 *


子供たちだけじゃないけど
 

来館者の方に楽しんでもらえる
 

『砂丘に生息する生き物たち』のジオラマ作り。

 

レベルの低い話で申し訳ないが、
 

自分自身の不器用さを理解しているからこそ
 

「まずはギブアップしないで、どんなに不格好でも最後まで作ろう」
 

「ダメならOさん(依頼者)のせいにしてしまえ!」
 

という、前向きなんだか後ろ向きなんだかわからない気持ちで作成を始めた。


まずは土台作り

砂丘をイメージして段ボールをカットし、和紙を載せていった。

うん、わるくない

舞台は整った。

次に砂丘に生息する生き物たちを教わった。

Oさんは言った。

「ラクダ、タヌキ、キツネ、カエル、バッタ、ウサギ、イノシシ、それからーー」

……もしもし?

……もしもし?

そんなに生息しているの??

ただの砂地に??

いや、ね

そりゃ砂丘の生態系なんて勉強したことないし

みんなが生きていることについては文句ないよ

だけどね

それらをこれから折るって時点で目の前が真っ暗になり

「おまえら全員砂丘から出ていけ」

って思ってしまったのは正直な気持ちだったよ


Oさんに尋ねた。
 

「あの~」

「なんでしょう?」

「テキストはあるんでしょうか?」

「ユーチューブにありますから(笑)」

Oさんは優しい方で、常に笑顔を絶やさないで仕事をし、私ごときにも気遣いしてくださる人で、

だからこそ‟こういう人の注文に応えられなければここに居場所はない”ということがわかる。

それは、私の嗅覚、あるいは長年の経験(?)で理解している。


タブレットで調べて折り始めた。

まずは簡単そうなウサギから。

ウサギと言えば白か黒だろう。

だけどそんなリアリティなんて必要ない。

子供たちが喜ぶのは色とりどりなウサギじゃないのか?

うん

うんうん

うんうんうん

いいよ

いこうよ

行ってしまおうよ

ポップでカラフルな世界に

そう、

これは舞台であって

非日常であって

だからこれから私が作る生き物たちは

みんなこの舞台の登場人物なわけだから

演出家の私が「この衣裳がいい!」と言えばそれでいいじゃないか?

……あれ?

昨日は舞台美術家だって言ってたのに

今日は「演出家」って名乗ってるな……

と、まぁ、

さっきまでは及び腰だったにも関わらず

得意の自己肯定感満載で一歩前に出た。

ウサギ、キツネ、バッタ、カエル、

なるべく簡単そうなものから手を付けて、そこそこの数が仕上がってきた。


スタッフのYさんが話しかけてきた。

「岡田さん、けっこう揃ってきましたね?」

「はい」

「まだ貼り付けないんですか?」

「まだです!」

「?」

「キャストが全員揃ってから舞台に上げたいと思います」

「……キャストですか?」

「はい(笑)」


折り紙たちを「キャスト」と呼んだ自分に笑ってしまった。

そうだよ

 

こいつらみんな大切なキャストだよ

 

演出家の手腕一つで、

 

お客さんから愛される存在になるかもしれないし、

 

見向きもされない存在になるかもしれない。

 

自分の実力に合わせて慌てないでいこう……

 

 

作成を始めて2週間ほど経ち、ほとんどのキャストが揃った。

 

 

 

 

つづく