ども、本日は雨のため墓掃除を延期することにした岡田達也です。
昨日のつづき。
*
12日の朝9時
僕はダッシュで吉成簡易郵便局へ出かけた。
相手してくれたのは
父・隆夫さん(87)に負けないくらい、ご高齢の男性職員の方だった。
「お忙しいところ恐れ入ります。一昨日、携帯電話の忘れ物はありませんでしたでしょうか?」
「あぁ、岡田さん?(笑)」
……えっ?
名前も覚えてるんだ
「はい!」
「預かってますよ」
「ありがとうございます!」
「あそこでね、書類を書いておられたときにね、お忘れになったんでしょう(笑)」
「おそらくそうだと思います」
「良かった、良かった(笑)」
「本当にありがとうございました!」
「どういたしまして(笑)」
なんてできた方なんだろう
隆夫さんとは大違いじゃないか
僕は携帯電話を受け取って、お礼を言い、帰宅した。
「やっぱりなぁ、郵便局だったか!(笑)」
「……うん」
「それしかないけなぁ!(笑)」
「……」
「ありがとなぁ!」
*
僕は、
隆夫さんの携帯を探している間中、
頭の中で陽水が流れっぱなしだった。
こんなふうにーー
*
『夢の中へ』
作詞 井上陽水
作曲 井上陽水
心の声 岡田達也
探しものはなんですか?
「父の携帯電話です」
見つけにくいものですか?
「コンタクトよりは見つけやすいと思います。でも、落とした場所次第ですかね」
カバンの中も 机の中も 探したけれど見つからないのに
「カバンは持って行かなかったそうです。Tシャツだからポケットがないということを必要以上に主張した上で、手に持っていたと言い張っていました。それなのに無くなったから不思議だと仰ってました。だからカバンの中は確かめませんでした。それと、我が家には引き出しのある机はないのです」
まだまだ探す気ですか?
「そりゃ探しますよ。なんせ本人が探す気0なんですから。家来が頑張るしかないでしょう? 悪意ある人にでも拾われたらどうするんですか? 責任問題ですよ」
それより僕と踊りませんか?
「申し訳ない。今は踊ってる場合じゃねぇっす」
夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか?
「陽水さん、何言ってんすか? 夢の中へ行ってる場合じゃないでしょ? 今、行くべきはコンビニと、郵便局でしょ?」
2番
休むことも許されず
「私、休んでないっす。速攻で探しに行きました。父上は扇風機の風を浴びながら休んでおられましたけど」
笑うことは止められて
「そこは止められてはいないんですけどね。でも、笑ってる場合じゃないですから自粛しています」
はいつくばって はいつくばって いったい何を探しているのか
「這いつくばるのが私の人生なんです。そこに関しては慣れたもんです」
探すのをやめたとき 見つかることもよくある話で
「そうですよね、仰っりたいことはわかりますよ。探しものって、フトした時に出てきますもんね。でもね、携帯電話は見つかるまで待ってるわけにもいかんでしょう」
踊りましょう 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか?
「だ・か・ら! 踊ってる場合でも、夢の中へ行ってる場合でもないんですって!!!」
*
すみません
僕は陽水さんのことが好きなんです
本当です
この歌だって大好きです
信じてください
では、また。
追伸
隆夫さんが携帯を無くしたシリーズです。
よかったら読んでみてください。
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