ども、三枚刃を探すつもりの岡田達也です。

 

 

 

鳥取の地震はとても心配だ。

が、それに負けないくらい父親・隆夫さんの頭の中が心配だ。

 

 *

 

地震が起きたあとも余震が続いていると聞いたので、ひょっとしたら不安がってるかと思い、夜、もう一度父に電話した。

 

「もしもし、達也だけど」

 

「ああ!なんだ?どうした?(ザワザワ)」

 

「余震は大丈夫か?」

 

「ああ!よう揺れるなぁ!ちぃさいけどなぁ!(ザワザワ)」

 

「……なんか後ろが賑やかだな」

 

「ああ!今な、ホルモン会に来とるだ!」

 

「……なんだ、それ?」

 

「俺が通っとる囲碁の仲間らとなぁ、10人くらいで何ヶ月か一回にホルモンを食べに来るだが!」

 

「……」

 

「それが今日だっただが!」

 

「……なかなか呑気だな」

 

「いや、まぁ、前から楽しみにしとったけなぁ」

 

「……うん。まぁそれは良いけど、余震に気をつけてな」

 

「まぁ、だけどこればっかりはな!揺れるときは揺れるけな!」

 

「……まぁ、そうだな」

 

「あ!それとな!」

 

「なに?」

 

「ヒゲ剃りがな――」

 

「ヒゲ剃り?」

 

「電気シェーバーだが!」

 

「シェーバーがどうかした?」

 

「長いこと使っとるけなぁ、髭が引っ掛かるようになってなぁ。どうもダメになったろうやぁ」

 

(……父よ、なんで今その話なんだ?)

 

「この間、テレビ見とったら「ジャパネットたかだ」のCMでなぁ――」

 

(……たかた、ね)

 

「三枚刃のシェーバーをやっとっただけど、気が付けば終わっとってな。メモができんかっただが!」

 

(……そうだろうな)

 

「東京には良いシェーバーがようけ売っとるだろう?」

 

(今はね日本全国どこにいても同じ商品が手に入るよ。まぁ、アマゾンを説明してもわからないだろうしな)

 

「そっちでシェーバー、買って送ってくれんか?」

 

(は?)

 

「できれば三枚刃がええなぁ!」

 

「……」

 

「最新型がええなぁ!」

 

「……」

 

「よう剃れるやつがええなぁ!」

 

「……」

 

 *

 

心配事ばかり並べてもしょうがないので、脳天気な話を書いてみた。

ひょっとすると、この人の脳みそは地震すら寄せ付けないかもしれない。

 

お父さん、シェーバー送るからくれぐれも気をつけてな。

 

 

 

では、また。