【ケース2】ライトロッド2.4mの場合。

カーボンテープ編

 GODマダイのリメイクをほったらかし状態だった時に、「竿が柔らかすぎるから硬くして~」という依頼が舞い込んできた・・・。2本まとめてリメイクならやる気もでるし、試してみたいことがあったので、快諾(笑)。
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伊○名人作のきれいな竿ですが、60号のオモリをぶら下げてみると根元から曲がり込む超軟調子・・・。60号でこれほど曲がり込んじゃうと、80号ビシを使ったノーマルのコマセ真鯛釣りでは使いにくい・・・。っていうか、そもそもライト用ロッドですよね?
 
「コマセを振ると手元から曲がって折れちゃいそう。でも80号ビシでも使いたい」ということなので、ロッドの剛性アップにチャレンジです。
 
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▲この竿に使うアイテムは「カーボンテープ」です。極細カーボンをテープ状にしたもので、竿の補修等に使われるそうです。今回は、10m購入したので、思う存分巻き付けられます(笑)。
 
※「カーボンブレードホース」は、ブランクスがかなり太くなってしまうので、このライト用の繊細な竿には不向きと判断し、カーボンテープを使うことにしました。ホースの方がかぶせるだけなので作業が楽なんだけどね・・・。
 
カーボンテープはかなりデリケートな素材で、扱いが悪いと繊維が折れたり切れたりします。竿に巻き付けるのがかなり難しく、前回の試みではあえなく敗退・・・うまく巻けませんでした。

巻き付け器を作成。

前回の反省点を生かし、今回は巻き付けるための道具を工夫してみました。

何事も段取りが大切ですからね(笑)。
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糸巻き器(リサイクラー)を総巻きマシーンの移動テーブルに取り付けました。

この装置があれば、テンションを掛けつついろんな角度でテープを巻き付けられるはず。「いろんな角度」が重要なのは、今回、テープを0°と45°で巻き付ける予定だからなんです・・・。

ガイドを外して、作業スタート。

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▲まずはガイドをはずし、サンドペーパーで竿表面の凸凹をならします。

 カーボンテープの巻き付け。

次に、カーボンテープを45°の角度でラッピングしていきます。
 
最近の高級ロッドネジレやツブレを抑えるために、カーボンテープを45°に巻きつけた構造になっています(ダイワは「X45 」、シマノは「スパイラル」という名称)。
 
ネジレとかよくわからないけど、剛性がアップするので真似してみます(笑)。
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▲斜め45°を下向きと上向きのダブルで巻き付けます。テンションを掛けつつボンドで密着させていきます。前回はうまくいかなかったけど、今回は自作巻き付け器のおかげで上手く巻けました。
 
この状態で曲がりをチェックすると、かなりシャキッとしてきましたが、まだバット周辺が弱い・・・。
 
なので、
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▲竿の根元から数十cmのバット部分に、今度は0°でテープを巻き付けます。この密なカーボン層でバットパワーが格段にアップするはずです。
 
カーボンテープを、切れないぎりぎりのテンションで引っ張りつつ、ボンドで密着させていくのはかなり難しい作業でした。

全体をかなり入念に接着剤で貼り付けたけど、これだけだとずれたり繊維が切れたり見た目も悪いので、さらに総巻き糸で巻きます。
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総巻きマシーンで、隙間ができないよう、糸が重ならないよう、注意しながら総巻き作業・・・疲れる~(笑)。
 
総巻きが終わったら、
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金粉を使って飾り付け。あまり派手にすると下品と言われそうなので、ド派手にならない程度で(笑)。
 
しかしまあ手間がかかります・・・。でも、カーボンホースとテープを使ってみたかったので良い経験になりました。

 曲げてみると・・・、

カーボンテープで入念に巻き付けたおかげで、バットパワーが明らかにアップしました。まあ、剛性アップしない方がおかしいですけどね。

一応、重量も計測してみたけど、数十g程度しか重くなっていないので許容範囲内です。
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▲ここまで来たら、後は塗って削っての繰り返し。この画像はウレタンクリアで塗り3回目。まだまだ表面が凸凹なので、さらに塗りを重ねます。
 
ブランクスの凸凹が消えたらガイドを取り付けて、さらに塗り重ねて完成です。

趣味を兼ねないと、やってられないほど時間と手間がかかる作業です(笑)。
 
プロに依頼すると、ガイド取り外し&取り付け2000×10、カーボンテープ貼り付け&総巻き&しずくOPで、数万円・・・。高級竿が買えるほどの金額になります(笑)。
 
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苦労の甲斐あって、完成した竿を曲げてみるとかなりいい感じです。マダイがヒットしたらどんな曲がりになるか、今から楽しみです。

ちなみに、作業前の曲がりは、
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▲竿の元周辺の張りがアップしてるのがわかるかな・・・。持ってみると全然違うのがわかるんですけどね。

ただしですね・・・。

※あくまでもライト用のブランクス(芯材)なので、ノーマル船乗船時でも60号ぐらいの軽いコマセカゴの使用がおすすめ。80号ビシが標準でも、道糸を3号にすればオマツリしませんので。道糸2号なら、40号のライトビシでも大丈夫です。

※イナダやワラサが多発する時は使わない方がいいかも。曲がりすぎてかわいそうなので。青物がヒットしたら、竿を下に向けて曲げないやり取りをするなどケアしてやってほしいですね。
 
このライト用ロッドは、剛性アップのために色々と巻き付けたので自重が230gから50gアップ280gになりましたが、それでも抜群に軽い竿なので一日手持ちでOKです
 
あとは使ってみてもらって、経過を見守るという方向で(笑)。
実釣後の感想は、後日アップします。

 結果として、

カーボンホース・テープなどのカーボン系部材を使うことで、竿の剛性はアップさせられるということがわかりました。

各部材の特徴は以下の通りです。

カーボンブレードホース。
・竿にかぶせるだけなので加工が簡単。
・カーボン特有の模様がかっこいいので、塗り・総巻き不要。
・竿全体の剛性がアップ。
・竿が太くごつくなる。
・低反発・低弾性化するため、シャープさや軽量感は削がれるかも。

カーボンテープ。
・それ自体が数gしかない超軽量素材なので、軽量感が削がれない。
・剛性アップさせつつシャープさも残る。
・上手く巻き付けるのが非常に難しい。
・0°と45°の巻き角度で、剛性を調整できそう。
・最終的には総巻き化しないとならないので、手間がかかる。

それぞれ、上記のような長所・短所があるように感じました。
自分のようにへたった竿の剛性アップに効果があるのはもちろん、新しく竿を作る際にも役立ちそう。
・グラス無垢材にカーボンホースをかぶせる。
・カーボンチューブラー素材にテープを巻き付ける。
等々、いろいろな使い方ができますね。

竿作りのベテランの方々からも、カーボン部材を使った話は聞いたことがなかったので、自分が人身御供となって色々やってみたというわけです(笑)。

これから竿を作ってみたいという人の参考になれば幸いです。

バイバイ