中国を脅かす巨大なリスク「中国版新幹線」のはてしない無軌道 北京の著名な研究者も警鐘を鳴らした | Hideoutのブログ

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現代ビジネス

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60015

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北村 豊


常識外の建設速度

「我が国の高速鉄道は日本やドイツなどから高速鉄道の関連技術を消化吸収した上にさらなる技術革新を加えて産み出されたものだから、その技術はもはや独自開発のものである」と主張する中国の2018年末時点における高速鉄道の総延長は2.9万kmに達し、日本の新幹線の総延長、約3130kmに比べると約10倍に相当する。


中国は2008年8月1日に北京市と天津市を時速350kmで結ぶ全長200kmの“京津城際鉄路(北京・天津都市間鉄道)”が運行を開始してからわずか11年間で全土に2.9万kmもの高速鉄道を建設して開通させたのである。


日本の新幹線は1964年10月1日に東京・新大阪間の515kmが開通してから54年後の2018年末で総延長が3130kmであることを考えると、いくら国土面積が日本の10倍であるとは言っても、中国の高速鉄道の建設速度は常識外であり、その規模から考えて高速鉄道の運営は採算を度外視したものと考えざるを得ない。


さて、今年68歳の“趙堅(ちょうけん)”は1949年10月1日に中華人民共和国が成立してから14カ月目の1950年11月に北京で生れたから、彼の人生は祖国である中国と共に歩んで来たと言っても過言ではない。


その趙堅の肩書は北京交通大学の経済管理学院教授、博士課程指導教官、“城鎮化研究中心(都市化研究センター)”主任であり、同時に鉄道経営に関する研究者としてもその名を知られている。


中国では高速鉄道を“高速鉄路(略称:高鉄)”と呼び、多くの中国人は自国の高速鉄道は世界一だと誇りにしているが、趙堅は国策である高速鉄道の建設に一貫して反対を唱え、たとえ建設するにしても時速200kmや300kmの高速鉄道は建設すべきでないと主張してきた


その趙堅がニュースサイト“財新網(ネット)”に寄稿した『“謹防高鉄灰犀牛(高速鉄道の灰色のサイを注意深く防ごう)”』と題する記事が2019年1月28日付で掲載されて世間の注目を集め、多くの中国メディアによって取り上げられたことで大きな話題となった。


“灰犀牛(灰色のサイ)”とは「将来大きな問題を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、現時点で軽視されがちな潜在的リスク」を指し、巨体でも普段はおとなしいサイが、ひとたび暴走を始めると止めようがなく、誰も手が付けられなくなることに由来するのだという。


なお、「灰色のサイ」と対比される言葉に、“黒天鵞(ブラックスワン)”という言葉があるが、これは「従前の常識や経験ではあり得ないと思われて来た事象が発生し、その事象が人々に多大な影響を与えること」を意味する。


趙堅が当該記事を執筆したのは、1月21日に国家主席の習近平が共産党中央党校に全国の幹部を招集して講演し、2008年のリーマンショックのようにめったに起きなくても極めて大きなリスクである「ブラックスワン」だけでなく、不動産バブルなど対応が困難なリスクである「灰色のサイ」にも警戒を怠らぬよう訓示したのを踏まえたものと思われ、灰色のサイを警戒する対象に高速鉄道を加えるよう問題を提起したのであった。


2路線以外は休眠状態

さて、その趙堅が執筆した『高速鉄道の灰色のサイを注意深く防ごう』と題する記事の要点を抜き出すと、その深刻さがわかる。


【1】2018年末までに中国高速鉄道の営業距離はすでに2.9万kmに達した。人々は通常中国高速鉄道の営業距離が世界一であることと高速鉄道が速いことだけを見ていて、高速鉄道の債務と営業損失が世界一で、中国の交通運輸構造がひどく悪化していることを見て見ぬ振りをしている。

【2】高速鉄道は安定性と円滑性の要求が非常に高いので、高速鉄道の建設費は普通鉄道の建設費より2~3倍高い。

速度を速くするには、高速列車の重量をできる限り削減する必要があり、普通鉄道の軸重(各々の車輪にかかる荷重)が23トンであるのに対して、中国高速鉄道の軸重は17トンと軽い。ただし、高速鉄道は人の輸送だけで貨物の輸送は出来ず、対戦車ミサイルを運ぶことはできない。このため、人口規模が大きく、密度が高い路線だけが高速鉄道の需要を満足することができ、旅客輸送の収入で高速鉄道の建設と運営のコストを補うことができる。

目下のところ、高速鉄道で輸送能力が比較的高い“京滬(北京-上海)”、“京広(北京-広州)”路線を除くと、その他の高速鉄道の路線は輸送能力が大量に遊休状態にあり、深刻な損失が存在する。 

たとえば、“蘭新(蘭州-新疆)”高速鉄道の運行能力は毎日160往復以上あるにもかかわらず、たったの4往復しか運行されておらず、その輸送収入は電気代を支払うのにも足りないのが実情である。

【3】2015年に中国高速鉄道の中で輸送密度が最高だったのは“京滬”路線で、その輸送密度は4800万人/km前後であった。これに対して、輸送密度が最低だった“蘭新”路線は230万人/km前後であり、全国の高速鉄道の平均輸送密度は1700万人/km前後であった。

しかし、輸送密度が最高の“京滬”路線でも、輸送密度9000万人/kmで世界最高である日本の東海道新幹線には遥かに及ばない。これは500kmの路線上に日本の人口の55%が集中していること、さらには4000km以上の都市交通が東海道新幹線に乗客を供給していることに起因している。

日本の高速鉄道の平均輸送密度は3400万人/kmであり、これは中国の高速鉄道の平均輸送密度の2倍である。

【4】中国が十数年で建設した高速鉄道はすでに世界のその他の国や地域が半世紀以上をかけて建設した高速鉄道の総延長の2倍以上に達している。世界各国の高速鉄道で旅客輸送の収入に依拠して建設や運営のコストを賄えている路線は恐らく1つもなく、大多数が欠損の状態にあるか、政府からの補助金に頼っている。従い、世界最大規模の中国高速鉄道網と低すぎる高速鉄道の輸送密度(運輸収入)は重大な金融リスクに見舞われる可能性を示している。

今後も大規模な高速鉄道の建設を継続すれば、それは中国の鉄道を運営する「中国国家鉄路集団有限公司」(略称:中国鉄路)と地方政府に更なる巨大な債務負担をもたらし、中国経済に出現する「灰色のサイ」と衝突することになるだろう。


膨れ上がる債務の実態

【5】中国の高速鉄道は主として融資による債務に依拠しており、大規模な高速鉄道の建設は中国鉄路の負債を2005年の4768億元(約7兆7720億円)から2016年の4.72兆元(約77兆円)まで急増させた。

中国鉄路の収支は秘密事項だが、その公表された負債と旅客運輸収入のデータから考えると、たとえ高速鉄道の運営コストを考慮しない前提で、高速鉄道の全運輸収入を高速鉄道の建設に関わる借款の利子払いに充当したとしても足りないと判断できる。

その理由はこうなる。2016年末の中国鉄路の負債は4.72兆元だったが、その中の少なくとも3.3兆元(約53.8兆円)は高速鉄道2.2万kmの建設と動力ユニットの購入に投入されたが、これを年利4.75%で利息を計算すると、毎年支払わねばならない借款の利息は1568億元(約2兆5560億円)となる。2016年における高速鉄道の運輸収入は1409億元と推定できるので、1568億元の利息支払いにも不足するのである。


【6】中国鉄路の旅客輸送収入は2018年上半期には1693億元(約2兆7600億円)に達したので、通年では3400億元(約5兆5400億円)が見込まれる。

しかし、2018年9月までの中国鉄路の負債総額はすでに5.28兆元(約86兆円)に達しており、目下のところデータはないが、地方政府が高速鉄道の建設で抱えている莫大な金額の債務を考えると、巨額な高速鉄道の債務はすでに形成され、国家的な金融リスクが誘発されているのかもしれない。


事業としての発展性なく

【7】2018年の中国鉄路の営業距離は13万kmに過ぎす、その中の2.9万kmは人を運ぶだけで貨物を運べない高速鉄道である。米国の鉄道営業距離は22.5万kmであり、中国は高水準の普通鉄道にはまだ発展の大きな可能性があり、その営業距離は26万kmに達することが必要だと考えられる。

しかし、中国の高速鉄道にはもはや発展の可能性は少ない。その理由は、高速鉄道の輸送能力が使用されずに大量に余っている一方で、鉄道の貨物輸送能力が大きく不足しているという併存する問題をいかに解決できるかが課題であるが、これは解決困難である。

なお、2016年時点における、中国鉄路の普通客車保有量は7万1000両であるのに対して高速車両保有量は2万688両で、普通客車の数は高速車両の3倍以上である。


【8】中国鉄路は貨物輸送の運賃を絶えず値上げして高速鉄道の深刻な損失を穴埋めしようとして来たために、荷主は運賃が高い鉄道を止めてトラック輸送に切り替えている。鉄道の貨物輸送運賃は2004年以来11回の調整を行っており、運賃はトラック輸送に比べて2倍以上になっている。

国際的な貨物運賃は一般に鉄道輸送が0.1元/トン・kmであるのに対してトラック輸送は0.3~0.5元/トン・kmで、鉄道輸送はトラック輸送よりも貨物運賃が安いのだが、中国は国際的な貨物輸送の価格体系とは正反対の状況を呈している。 

このため、中国国内には貨物を輸送するトラックがひしめいている。ディーゼルトラックはPM2.5を大量に放出するし、天然ガストラックが排出する酸化窒素物の量はディーゼルトラックのPM2.5よりも多い。

政府は行政的な手段で「トラック輸送から鉄道輸送への切り替え」を実施しており、2017年の鉄道貨物輸送の取扱い量は貨物輸送全体の17.5%で、2016年より0.4%上昇した。


【9】灰色のサイとブラックスワンは同一のものではなく、灰色のサイは確率が大きい高リスク事件であり、ブラックスワンは確率が小さい高リスク事件である。後者は予測が難しく、前者は往々に見て見ぬ振りをされる

長期間にわたり、中国は大量のディーゼルトラックで石炭や鋼鉄などの基礎原材料を輸送してきたが、過積載は何度禁止しても減少しないし、数千kmの長距離トラック輸送では深刻な交通事故が度々起きているが、人々はこの現象を見慣れてしまっている。

これは中国の交通運輸構造がすでにひどく硬直していることを示しており、鉄道の貨物輸送能力が深刻に不足している明確なサインであるにもかかわらず人々は見て見ぬ振りをしているのである。


【10】中国鉄路の急増する巨額債務に対して、人々はカネの有る中央政府が支払ってくれるものと関心を示さない。地方政府の高速鉄道建設による債務はブラックボックスで、地方政府の各種負債と一緒に混ざり、統計によれば18.29兆元(約298兆円)に上っている。

債務は積み上がるのに収益が増やせないならば、中央政府はただ貨幣を発行して債務を相殺することになる。そうなれば、深刻なインフレーションを引き起こし、巨大な金融リスクがもたらされる

一部の人は中国高速鉄道の営業距離は世界一だと自慢しているが、高速鉄道の債務が世界一であることによる金融リスクについては見て見ぬ振りをしているのだ。


それでも計画は止まらない

この【4】の中で、趙堅は、「今後も大規模な高速鉄道の建設を継続すれば、それは中国鉄路と地方政府に更なる巨大な債務負担をもたらし、中国経済の灰色のサイと衝突することになるだろう」と述べていた。


それを裏付けるかのように、2018年11月21日付の証券業界紙「上海証券報」は、「国家発展改革委員会が多くの高速鉄道プロジェクトを承認、投資規模は1000億元を超える」と題する記事を掲載した。そこには、一向に衰えない高速鉄道プロジェクトへの投資の中身が詳細に記されている。


(1)近いうちに、中国政府の国家発展改革委員会は「包頭(内モンゴル自治区)-銀川(寧夏回教自治区)路線の銀川-恵農(寧夏回教自治区)区間」、「上海(上海市)-蘇州(江蘇省)-湖州(浙江省)区間」、「重慶(重慶市)-黔江(重慶市)区間」の高速鉄道プロジェクト3件に関するフィージビリティスタディ(FS)を承認する。総延長は529kmであり、総投資額は1032億元(約1兆6820億円)である。


(2)今年の第1から第3四半期までで、国家発展改革委員会は固定資産投資プロジェクト147件、総投資額6977億元(約11兆3725億円)を承認した。また、10月に国家発展改革委員会は固定資産投資プロジェクト9件、総投資額918億元(約1兆4963億円)を承認した。これは今年すでに承認された固定資産投資プロジェクトの規模が8000億元(約13兆400億円)に近いことを意味する。


(3)国家統計局のデータによれば、1月から10月までの全国固定資産投資は前年比5.7%増大しており、その中のインフラ投資は3.7%増大し、増加幅はある程度回復した。10月単月のインフラ投資の増加速度は今年初の反発を示した。記者が中国鉄路から聴取したところでは、今年1月から10月までの全国鉄道固定資産投資の累計完成額は6331億元(約10兆3195億円)で、今年通年で完成予定額の7320億元(約11兆9316億円)までわずか1000億元(約1兆6300億円)まで迫っている。


高速鉄道は普通鉄道に比べて建設費用だけでなく、開通後の保守管理費用も割高である。2.9万kmもの高速鉄道を問題なく運行させるために必要な人件費、設備費、消耗品費を考えると、中国鉄路が抱える債務は増大する一方だと思えるし、地方政府の債務も同様だと考えられる。


したがって、上述した趙堅の見解が正しいなら、高速鉄道に「灰色のサイ」が出現する可能性は予断を許さないと思われる。


わずか3130kmの日本の新幹線でさえも採算に問題があるのに、中国の2.9万kmの高速鉄道で採算を取るのは至難の業である。2018年4月末に発表された中国鉄路の「2017年度財務報告」によれば、2017年末の負債総額は4.99兆元(約81.3兆円)で負債率は65%に達したという。


2017年における高速鉄道の乗客数は延べ17.13億人で、総人口を約14億人と考えれば、国民1人当たり高速鉄道に年間1.2回乗車した計算になる。


一方、人口が1.2億人の日本で新幹線の乗客数は延べ3.3億人であることを考えると、国民1人あたり年間2.75回新幹線に乗車したことになり、中国の2倍以上でその差は大きい。


果たして中国の高速鉄道に「灰色のサイ」が出現する日は来るのか。


万一にも出現するようなことになれば、それは中国鉄路に止まらず高速鉄道に多大な投資を行っている地方政府をも巻き込むことになり、その影響は中国を揺るがす甚大なものとなりかねないのである。

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    高速鉄道が地方政府にも関係あるとは知らなかったよ‼️


    僕は前から地方政府が金が無くて破綻し、ゴミだらけの風景が現出するだろうと思っていたけど(清掃員を雇えない)。


    必要不可欠と思われないところに金が回らない社会だろう、支那畜社会って‼️


    鉄路のために学校まで有るそうだ。鉄鋼作るために必要以上の工場建設?鉄路の社員を養い、工場の従業員も養い、コンクリートの社員養う。そりゃ止めるに止められないよな‼️


    食えなくなったら何が起こるのやら‼️