日本円は信用が有るのですね。
宮崎正裕メルマより
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)2月12日(金曜日)参
通算第4814号
株安、原油安、世界同時通貨安のなか、投資家が買いを強化しているのは
「日本円」と「金」。もっとも安心できる資産だからだ
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旧正月明けの香港株式市場は暴落で始まった。
2月11日のハンセン指数の終値は3・9%(742ポイント)さがって18545・8。H株は4・9%下落した。
とりわけ下げが目立ったのはHSBC(香港上海銀行)で、5・4%の下げを記録した。H株ではシノペックが6・4%の暴落だった。
「次の数ヶ月、中国からのキャピタル・フライトがひきつづき、中国政府のいうGDP6・5%成長などという数字は市場関係者のだれも信じていない」と香港の市場関係者は言う。
上海、深センの株安はまだまだ続き、人民元安と呼応して、中国経済の沈降ぶりは凄まじい。
「ハードランディングは不可避的である」(ソロス)。
この情況に日本は「マイナス金利」という奇策で対応した。
マイナス金利で何がおきたか。市場では金融株の大幅な下落がおこった。住宅金利の書き換えも各地で行われ、デフレマインドが高まったため設備投資が遠のく。
日銀の長期国債購入による金融の大規模な緩和(黒田バズーカ)は、そろそろ限界が見ていた。
さしあたりマイナス金利効果は、景気を刺激するための銀行の貸し出しを奨励する効果がある(筈である)。たしかに銀行の貸し出し金利がさがりつつあり、個人の住宅投資を呼び込むが、企業の設備投資強化にはまだ繋がっていない。
世界的規模で見ると「マイナス金利」は欧州の数ヶ国で実行されている。スイスは預金金利さえマイナス、スエーデンはマイナス金利が5%もあるがGDP成長率は3・4%である。
しかし中国発の世界不況は想定以上に深刻で、世界に株安が波及し、NYもロンドンも、そしてフランクフルトも下げた。ドイツ銀行は10%以上の暴落。まだ歯止めがかからない。
韓国もシンガポールも、そしてインドも株安となった。
円がおおいに買われた。
米ドルもユーロも豪ドルもNZドル、カナダドルも売られ、人民元はさらなる暴落気配。連動して香港ドルも下落を始めている。
▼ひさしぶりに金の出番がめぐってきた
そして金(ゴールド)価格が不気味な勢いで上昇に転じた。
年初来、2月11日までに186ドルも急騰している。同日は一日だけで4・6%の急騰だった。
1オンス=1100ドル台から、2月11日には1250ドル寸前(1249.5ドル)を付けた。まもなく1300ドル台を突破しそうな勢いをみせており、同時に円・ドル相場は1ドル=110円台を付けた(ロンドンで場中)。
つまり「日本円」と「金」が買われている。日本の国債はマイナス金利でも買われている。日本への信頼がこれほど強い。円がゴールドと同様な価値観で世界の投資家に受け入れられている証拠である。
ならば誰がゴールドを買ったのか?
言わずと知れた中国、そして二番手はインドである。
人民元の先安感が中国人の間に急速に拡がっており、金コインの需要は25%増となった。
2015年の一年間で中国での金は985トン売れた(日本の国家備蓄より多い)。インドは同期に849トン。この中国とインドで、世界消費の45%を購入したことになる。史上空前の「爆買い」である。
このうち各国の中央銀行が購入した金は558・4トンにのぼり、2013年の625・5トンについで史上二番目の記録だ(アジアタイムズ、2月12日)。
ことしは年初来のドル安、原油安、株安がつづいているため、金の購入はさらに進むだろうと予測される。
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(休刊のお知らせ)地方講演旅行のため、小誌は明日(13日)から15日が休刊です
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読者の声 どくしゃのこえ ERADERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)黒田総裁が満を持しての、日銀の「マイナス金利」ですが、市場を激しく動揺させ、むしろ不安を運んだのではないでしょうか?
(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)個人預金は利率が下がりますが、銀行預金がマイナス金利になることはありません。スイスの匿名口座とは違います。
あくまでも銀行が日銀に預ける「当座預金」だけ。しかも新規分からの適用です。冷静に考えれば、それほどの悪影響はなく、むしろ何もしないで日銀に金を預けて利息をもらっていた銀行が狼狽することになります。
当座預金に金利が付くなど、つまり250兆円の余剰資金を日銀に寝かせれば年間2000億円の利ざやですから、言い換えれば、これは「銀行補助金」でしょ?
結果はその通りで金融株が下落しました。
マスコミで「マイナス金利は失敗」と発言しているのは銀行系エコノミストばかりではありませんか。
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(読者の声2)このところ世界同時不況などのニュース、米国大統領選挙のニュースに隠れてシリア情勢が伝わりませんが、トルコが地上軍をシリアへ派遣するという情報がありますが、いかが?
(YK生、横須賀)
(宮崎正弘のコメント)それはロシアが流している情報です。トルコはNATOの一員である以上、欧米に露骨に逆らうような行為には出にくいのではないでしょうか?
EUと盛んに難民流失規制に関して取引を行っている様子があります。エルドアン(トルコ大統領)にとっても、いまは正念場と言えそうです。
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(読者の声3)「呉竹会アジアフォーラム」のお知らせです。今回の講師は小誌にコラムを連載中の樋泉克夫先生です。
記
とき 2月17日(水) 18時30分 (18時00分開場)
ところ アルカディア市ヶ谷(私学会館)
http://www.arcadia-jp.org/access.htm
(地下鉄南北線・有楽町線 市ヶ谷駅 AまたはA1出口 徒歩5分
/ JR中央線 市ヶ谷駅 徒歩5分)
講師 樋泉克夫(愛知大学教授)
演題 「泛亜鉄路一帯一路へ 中国の世界戦略を考える」
コメンティター 藤井厳喜、宮崎正弘
参加費 2,000円 (学生無料)
主催 呉竹会
お問合せ 呉竹会事務局 TEL 03-3556-3880
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日本の株を売り、日本円を買っているのでしょうか?
銀行よ、金貸せよ!