チョコの花より美男ですね -21ページ目

チョコの花より美男ですね

美男ですね、花より男子、成均館スキャンダルの二次小説、スイーツなど、日々のささやかな幸せについて

「あ、あの…シヌさん、連れて行って欲しいところがあるのですが…。」

暖かくなってきたので、昼食後、ウッドデッキのテラスで紅茶を飲んでいたシヌは、頼み事なんてしてきたことのないミナムの真剣な表情に、どきりと胸を高鳴らせた。

「どうしたの?」

動揺を見せないように、いつもの柔らかな笑みを浮かべ、ミナムの頭をさらりとなでると、心なしか頬を赤らめているように見える。

「実は…カラオケに連れて行って欲しいんです。」
「え?カラオケ?」
「はい…。カラオケです。皆で歌って遊ぶことですよね?」
「まぁそうだけど…。急にどうしたの?」
「昨日、マ室長がスタイリストのワンさんと一緒に行って凄く楽しかったって。私も歌うことだけはできるから…行ってみたいなって思って…。」

内心、カラオケかぁと、ほんの少しがっかりもしたが、でも自分にカラオケに連れて行ってとお願いしてくれただけで良しとしようと、シヌは八重歯を見せて嬉しそうな笑顔を見せた。

シヌさんもカラオケ好きなのかな?良かったー!!

ミナムがシヌの笑顔を見てとんちんかんなことを考えていたら、シヌがスケジュールを確認してテキパキとカラオケの日程を、明日のお昼に決めてくれた。

本当はテギョンさんを誘いたかったけれど、どうせ、そんな下らないところに行けるか!と、怒鳴られるに違いないし、ジェルミを誘えば、ずっとマイクを放してくれなさそうな気がして、シヌさんと二人でならカラオケを楽しめるのではないかという結論に至ったのだった。

ミナムは人生初のカラオケに相当うかれており、その直後から何をする時でも歌を口ずさむようになっていた。
しかもカラオケで自分が歌おうと思っている曲なので、全て女性ボーカリストの歌ばかりなのだ。

もちろんもうメンバー全員に女性だとバレてしまっているので、何ら問題はないのだが、シヌからしらかわいくて仕方なくて思わず微笑んでしまう。

そんな二人を見て面白いはずのないテギョンとジェルミ。

「ねぇテギョンさん…あの二人何なのかな?」

思わずテギョンに耳打ちするジェルミ。

テギョンは、ふんっ俺には関係ないというように、片眉を上げている。

しかし一体何なんだ…何があったんだ…

テギョンは早速自室に戻ると、真っ白な五線譜を取り出し、いつも以上に鋭く尖った鉛筆を持つと、今までの二人の行動を整理し出した。

まず…昼食後から急にミナムが歌を歌いだした。しかも女性の曲ばかり。
次に、そんなミナムを見て、ジェルミは俺と同じで疑問に思っているのに、シヌは楽しそうに微笑んでいた。
つまり…俺とジェルミは知らないが、ミナムとシヌは知っていることがあるということだ。

シヌに聞いても…何も言わないだろうな。ミナムに聞くか?それも何か癪に障るな…。

テギョンは文字の書きこまれた五線譜を指で弾くと、面白くなさそうに足を組み替えた。


そして翌日。

メンバー全員で雑誌の撮影が終わった後、シヌとミナムが楽しそうに談笑しながら自然と二人になっている。

「マ室長、俺とミナムはちょっと出てきますから。」

シヌが嬉しそうにそう言うと、その隣で満面の笑みを浮かべるミナム。心はもうカラオケ一直線である。

そんな二人をやはり目ざとく見つけてイライラしてしまうテギョンとジェルミ。

「一体どこに行くのかなぁ?ねぇテギョンさん、ちょっと尾けてみない??」

ジェルミが目を細めて悪い顔をしている。
テギョンもいつもなら興味のない素ぶりをするところだが、昨日からのミナムの浮かれよう、そしてさっきのシヌのデレっとした顔。気になって気になって仕方がない。

無言で頷くテギョンと、更に悪い顔をするジェルミは、スタイリストのワンの元へと急いだ。

「ちょっと何か変装グッズちょうだい!」
「ジェルミー!どうしたの?」
「い、いや、これからちょとテギョンさんと出掛けるから目立つかなぁって思って…。」
「そうねぇ…今日はあんまり衣装ないのよね…、うーん。」
「おい!早くしろよ!」

テギョンは、いまだ楽しそうにマ室長と談笑するミナムとシヌから目線を外すことなくワンに怒鳴った。

くそっ!早くしないと出て行ってしまうではないか!!

「もう!本当に勝手なんだから!!じゃあこれでも着て行けば良いじゃない!!」

もう嫌ーね!と文句を言いながら、ワンが手渡してくれたのは、以前見たことのある、アフロの鬘と大きなサングラスであった。

「「………。」」

文句の一つも言ってやりたいテギョンとジェルミであったが、背に腹は変えられない。

それらを引っ手繰ると慌ててスタジオを後にし、人気の無い出口付近で装着すると、そのままそこでシヌとミナムが出てくるのを待った。

「テギョンさん…これバレないかな?」
「……。」

確かに…ファンの目は誤魔化せても、服装はそのままだし…二人には確実にバレるだろう。

「とにかく見られないようにするしかないな。それで目的地さえ分かれば、どこか近くで服を買って着替えよう。」
「えっ?どこに行くか見届けるだけじゃなくて、最後まで追いかけるの??」
「当然だ!それが尾行というものだ!!」
「はい!!」

驚きながらも納得したように何度も頷いているジェルミを馬鹿にしたように見下ろすテギョン。

当然ではないか!もし何かあったらどうするんだ!!
ん?何か?何があるっていうんだ?それに…そんなことこの俺様にはどうでもいいことなのに…。

しかし、シヌを見上げるミナムの嬉しそうな顔が頭から離れない。理由など分からないが、とにかく胸がざわざわするのだ。

そ、そうだ!俺はノンフィクション作家と同じなんだ。
真実を追究せずにはいられない、そんな気分なんだ。

訳の分からない理由が見つかったテギョンは幾分か気分が落ち着いたようで、そっと胸をなでおろし、二人が出てくるのを息をひそめて待った。

「先にお昼どっかで食べて行こうか?それとも中で食べる??」
「中で?」
「うん、最近は色々あるんだよ。ピザとかパスタなんかもね。」
「へー!そうなんですね!そしたら私、中で食べてみたいです!!」
「いいよ、じゃあそうしようか。」

楽しげな二人の会話に固まるテギョンとジェルミ。

「テギョンさん…聞いた?」
「あぁ…。」

中で食べる?中で??

「ま、まさかね?そんなことないよね!ははは…。」

ジェルミの渇いた笑い声がやけに響いて、テギョンは焦ってその口をふさいだ。

あいつが?あの豚うさぎが?シヌと…ホテルになんか行くはずがない!しかしあの浮かれよう…シヌなんかは足が地面から浮いているように軽やかに歩いていた…。

どんどん血の気が引いていくテギョン。

もし…もし本当にホテルだったらどうするんだ?途中で止めに入れるのか?無理だろう。そうなると…ミナムが…。

そこで思考が停止してしまったテギョン。とうとうたまらず大声を張り上げてしまっていた。

「おい!お前ら!どこへ行く気だ!!!」
「そ、そうだ!そうだ!」

アフロヘアーに大きなサングラス姿の…テギョンさん!?とジェルミも??

びっくりしてそれから不信感丸出しの表情のミナム。その横でシヌは笑いをこらえきれないのか、口元を隠してうつむいて肩を震わせている。

「おい!何とか言ったらどうなんだ!」

興奮状態のテギョンに一瞬冷たい視線を投げかけながら、でも笑いは止まらないみたいで、シヌがこらえながら口を開いた。

「カラオケだけど?」
「「カラオケー??」」
「うん、カラオケ。どこだと思ったのか知らないけどね。」
「「なっ…」」

口ごもってしまう二人。

「でも…じゃ、じゃ何で僕たちには内緒にして二人で行こうとしたの?おかしいよ!」

ジェルミがもっともなことを口にすると、ミナムがすまなそうに頭を下げた。

「実は…その…私がカラオケに行きたいとシヌさんにお願いしたんです。」

「どうしてシヌなんだ!」

テギョンがじろりとミナムをにらんだ。まだ完全には信用していないようだ。

「…怒らないで聞いてくれますか?」
「早く言え!!」
「は、はい!では…まずテギョンさんに言っても無視されるだろうし、ジェルミと行ったらマイク渡してもらえそうにない気がして…はは…すみませんでした。」

良く分からないが、テギョンとジェルミが相当怒っているみたいだから、一応もう一度頭を下げたミナム。

けれど、ただカラオケにシヌに連れて行ってもらうだけで、どうしてこんなに詰めよられないといけないのか皆目見当がつかない。しかもどうして二人がアフロにサングラスなのかも、全く意味が分からない。

「べ、別にカラオケくらい連れて行ってやる。」

テギョンが少し顔を赤らめながらそっぽを向いた。
そんなテギョンを不思議そうに見つめるミナム。

「僕だってちゃんとミナムにマイク渡すよ!」

ぷくーっと頬を膨らませているジェルミ。

「じゃあ皆で行こうか?ミナム。」
「はい!」

元気良く返事をするミナムに、シヌは、ふーっと大きく息を吐いた。

何となく予想はしていたものの、ミナムと二人っきりのカラオケが夢に終わってしまったことがとても寂しかった。けれど、自分の横でさっきよりももっと嬉しそうな笑顔でテギョンを見つめるミナムを見ていたら、またいつものように仕方ないなぁと思ってしまうのだった。

テギョンは、カラオケに行きたかっただけのミナムに思わず笑みがこぼれていた。

やっぱり豚うさぎは豚うさぎだな。しかし、俺にまだ怯えているのか?そこは問題だな、なんて考えながら、カラオケで声が出ないといけないと、あー、あー、と発声練習を始めた。

「四人でからカラオケなんて楽しそうー!!」

ジェルミがミナムの肩を抱いて歩き始めると、テギョンとシヌはべりっとジェルミを引き離し、ミナムの両隣に立った。

「もー!いっつもそうなんだからー!!」

ジェルミが後で騒いでいるのを、三人は笑顔で振り返った。

最初から皆さんでカラオケ行こうって言えば良かったな。

ミナムは、何と言葉にしたら良いのか分からないくらい幸せな気分を感じていた。




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読んで下さってありがとうございますお星様
今日も良いお天気ですねぇ。でも明日からまた1週間が始めるかと思ったら気が滅入ります…でも頑張るぞー!!!

ジフ先輩はどうしているかな。

さっきまでジュンピョと一緒にいたというのに、嫌になるくらい正直な私の心。

ジュンピョが、お前が遠慮するから、自家用機じゃなくて普通のファーストにしたぞなんて言うから、開いた口がふさがらなかったのが、まるで遠い昔のような気がしてしまう。

でも…普通の航空会社のはずなのに、どうしてか周りに誰もいないのが不気味だけれど。

ちゃんと帰ってくるってジフ先輩と約束したから、だから…韓国に着いたら連絡してもいいだろうか。
それとも、こんな私が連絡するのは卑怯なことだろうか。ジュンピョはジフ先輩に何か言ったかな…。これからどんな感じでジフ先輩に会えばいいかな。いや、会ったらいけないのかな…。

先輩の顔を一生懸命思い出そうとするのだけれど、どうしてかジフ先輩の顔はいつも思い出せない。

いつも頭に浮かぶのは写真の中のジフ先輩で、ウェディング写真コンテストのかっこいい先輩や、おじい様が診療所に飾っている釣りに行った時の楽しそうな顔だけだ。私の横で実際はどんな顔をしているのかあまり直視できていないせいかもしれない。
でも、もう気軽に会えないかもしれないから、今度先輩に会うことができたらきちんとじっくりこの目に焼きつけておこうと思う。色んな表情の先輩を。

胸がきりっと痛み、私は眉間に皺をよせた。

もう…診療所へも行かない方がいいのかもしれない。

それでも、少しだけでいいから先輩の存在を確かめておきたいから、だから大学に通うことだけは許して欲しい。先輩なしではもう笑顔になれそうにないから。


ジフはようやく飛行機の座席にゆっくりと腰を下ろしていた。

調べさせたところ、ジャンディは一便早く帰っているようで、それよりも更に遅い時間に到着する自分が、彼女の家へ行くのはためらわれた。

それでも、家の前までは行ってみようと決めていた。

重くなる瞼の裏にはジャンディの笑顔。でもそれは写真の中でウェディングドレスを着て微笑んでいる彼女で、実際に動いて笑う彼女の姿は浮かんでこない。
それはあまりに眩しくて、記憶に残しておくほどに見てはいけないものだと思っているからだろうか。

でも、もう彼女なしでは、毎日の生活をまともに送ることさえできない。


ジフはアメリカに来ていて、俺からのメールでまたすぐに帰ったようだ。

俺からのメールの意味が分かったのか、何を考えているのか…ジフからの返信はなかった。

アメリカでの自宅で、俺は久しぶりに暴れていた。
自室のクローゼットをぶちまけ、サイドテーブルをひっくり返し、間接照明を窓ガラスに投げつけた。

パリーンというガラスの割れる音を聞きつけたチョン室長が、慌てて俺を抱きしめて止めた。
ちらっと見てみてみたら、俺と一緒に涙を流してくれていた。

「坊ちゃん、大丈夫です。大丈夫です。クム・ジャンディ様はきっとお戻りになられます。とにかく一刻も早く韓国へ帰れるように尽力致しますから。」

俺は叫び声を上げ続けるしかできなかった。

神話グループは一体俺にとって何なんだろうか。この手で守り抜き発展させることがジャンディへの近道だと思っていたのに。

もうジャンディなしで、俺は生きていけそうもない。



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読んで下さってありがとうございます三日月
ジュンピョーくま 実際は幸せいっぱいの人生のはずなのに、ジフ先輩の幸せのためにごめんねーくま

映画のエンドロールが流れ始めた。

ジュンピョとの時間の終わりを告げている。

この映画は、現代版人魚姫のお話だった。
ジフ先輩が私に、『人魚姫はだめだよ。』そう言って励ましてくれたことをずっと覚えているから。だからどうしても観たかったのだ。

ジュンピョはこのことを知らないはずなのに…やっぱり何でもお見通しなのかな。

そんなことを考えながら、隣のジュンピョをちらりと見ると、分かってるからって感じで、乱暴に頭をぽんぽんっとなでられた。

「さぁ、もう行かないと時間がないぞ。」
「ジュンピョ…。」
「俺も空港まで行くからな。」
「うん…ありがとう。」

何だか断れなかった。申し訳ないとかではないから、多分自分ももう少しだけ一緒にいたかったのかもしれない。
もうここに来るのは最後だと思うから。

私の手をぎゅっと繋いでいるジュンピョを見上げたら、泣きそうな顔をしていた。こんなに大きい男の人なのに子供みたいに見えて、力いっぱいにぎり返したら、驚いたように私を見下ろしてくる。

「ジュンピョ。ごめんね。ありがとう。」
「べ、別に、何もしてねー。」
「ふふふ、それとね、ジュンピョのお父さんが夕食に誘ってくれてたでしょう?きちんと謝っておいてね。お姉さんにも。それから…お母さんにもよろしくね。」

にっこりとジュンピョを見上げたら、短く「おぉ。」とだけ言ってそっぽを向いてしまった。

そんなジュンピョを眺めていたら、何だか笑いが出てしまって、私は隣でくすくす笑っていた。

空港に着いたら、出国の時刻ギリギリになっていた。

すっと右手を出してジュンピョに握手を求めたら、ジュンピョも迷うことなく私の手を取ってくれた。

「俺はお前が好きだからな。」
「ジュンピョ…。」
「お前は馬鹿で鈍感だから、もう一回ちゃんと言っておきたかった。」
「…。」
「絶対にずっと好きだからな。これからは容赦しねーからな。覚悟しておけよ!」

困ったように目じりを下げたら、真剣な顔でぐいっと抱きしめられた。
私は流れる涙を止めることができずに、心の中で、ありがとうを何度も繰り返した。


俺は最後まで、ジフにちゃんと想いを伝えろとは言えなかった。

あいつのことだ、本当に俺様が納得するまで何も言わずにそっと近くに居るのだろう。つくづく馬鹿な奴なんだ。
ジフも同じで、結局勘違いに勘違いを重ねて、今ではもう諦めようとしているかもしれない。

けれど…俺はそこまでできた人間じゃないから、それでダメになるようだったら、まだまだ俺につけ入る隙があるなどと考えてしまうのだ。ジャンディを失ったら一生後悔することになるから。ジャンディでなければ俺は幸せになれないんだ。

でも、友情も捨てるわけにはいかない。だからヒントだけは出してやないとな。
俺はつないでいたジャンディの手の感触を確かめるように、手のひらを閉じたり開いたりした後に、嫌々ジフにメールを送った。

   ジャンディはもう帰ったからな。

それだけ送ると、俺は携帯の電源を切った。

これ以上、お前ほどお人好しにはなれないからな。


ようやく別荘に辿り着くと、辺りは真っ暗になっていた。

韓国の家と同じく、使用人たちは俺がいる時には姿を現さない。
完璧に掃除された部屋に入り、大きなソファにコートも脱がずにうつぶせに倒れた。

メールが来たようだ。
そんなはずないのに、微かに期待してしまう自分がいる。ジャンディからじゃないかと。

ドキドキしながら画面をタッチすると、そこにはジュンピョからで、ジャンディが帰ったと知らせるメールだった。

昼間に見た仲睦まじい二人の姿が脳裏にフラッシュバックする。
意味が分からない…。
どうして俺にそんなことを?しかもどうして日帰り??

さっきまで眠くてたまらなかったはずなのに、急いで次の便のチケットを手配している自分がいる。

ジャンディの非常ベルを聞き間違えるはずがないのにおかしいなって思っていた。
今は何も分からないけれど、この何かを逃してはいけないような気がした。

さっきまでジャンディから離れた方がいいだなんて思っていたのに、そんなのはやっぱり…無理かな。

苦笑いをこぼすと、俺は疲れも忘れて急いで車に乗り込んだ。



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読んで下さってありがとうございます三日月
今日は良いお天気ですねぇ。それなのに、昨日から眠くて眠くて…
とてもお出掛けできませんくま