チョコの花より美男ですね -20ページ目

チョコの花より美男ですね

美男ですね、花より男子、成均館スキャンダルの二次小説、スイーツなど、日々のささやかな幸せについて

ジュンピョの派手な登場に、ジャンディは慌てて海辺へと走って行く。

思いがけず自分の気持ちを吐露してしまいそうになったのを止めてくれた小さな女の子を、感謝の気持ちをこめて優しく抱きしめた。

「お医者の王子様どうしたの?」
「…早く風邪治さないとね。」

俺はすぐそこまで来ていた親友二人と、海辺へと向かった。

少しづつ見えてくるシルエット。

ジュンピョが、ジャンディに跪いて小さな箱を差し出しプロポーズをしていた。

たまらずに叫んでしまう。

「そのプロポーズに異議あり。」

「俺も意義あり。」
「俺たちの許可なく許さない。」

ウビンとイジョンが、そう続けてくれたから、俺は我に帰って思わず笑みをこぼしていた。

ありがとう…冗談にしてくれて。

俺の気持ちが分かったのであろう、イジョンが肩に手をかけてきた。ウビンもジュンピョとジャンディの二人でなく俺を見ていた。
もしかしたら、イジョンやウビンにとってもジャンディは特別な存在なのかもしれないけれど…。

ジュンピョに肩を抱かれて俺の横に来たジャンディの表情は、眩し過ぎる夕陽のせいで見えなかったけれど、きっと最高に幸せでキレイな笑顔を浮かべているのだろう。

俺はとうとう来てしまったこの日をただ受け入れようと、目を閉じた。すると、ジュンピョが信じられない事を言った。

「お前を諦めねー、そう言っただろう?」

え…どういう意味だ?

夕陽に目を細めてジャンディを見てみると、今にも泣きそうでひどく困った顔をしていた。

嬉しいんじゃないの??

イジョンとウビンも状況がつかめないのであろう、顔を見合わせている。

「どういうこと?」

たまりかねて俺はジュンピョをじっと見つめた。

「聞いてないのか?」

ジュンピョは少し驚いたように目を見開いたが、ふふっと小さく笑うと、ジャンディを更に自分の方へ抱きよせた。

「おい!クム・ジャンディ!お前はどこまで馬鹿なんだよ!」
「なっ!なんなのよ!意味が分かんない!あんたなんかに言われたくないわよ!!」
「まぁ当然か、お前だもんな。」

そう言うと、ジュンピョは泣きそうなのにとても凛々しい顔をして彼女を見つめた。

そんなジュンピョに、ジャンディはさっきまで暴れていたのに大人しくなって泣きそうな顔で微笑んだ。

「YO!YO!お二人さん!二人だけで話してないでちゃんと説明しろよな!」

ウビンがあえて陽気にチャチャを入れてくれる。イジョンも横で何も分からないぞーと、両手を上げておどけている。

俺はジャンディかジュンピョの次の言葉を息をひそめて待った。

「俺からは絶対に言わねー。」

ジュンピョがまたジャンディを腕の中に閉じ込めた。ジャンディはゆっくりとその腕を外すと、海に向かって大声で叫んだ。

「ク・ジュンピョのばかーーーーー!!!!!」

それからダッシュでその場を離れてしまった。
呆気にとられるF4。

いつものジュンピョだったら、何ー!!と、大喧嘩になるはずなのだが、今日は神妙な顔でじっと黙っている。

「おい、ジュンピョ。何があったんだよ?お前ら結婚するんだよな?」

イジョンがしびれをきらして、ジュンピョにつめ寄った。

俺は走って行ってしまったジャンディを追いかけたかったけれど、ここでジュンピョときちんと話をしなければならないと思った。
そんな俺の気持ちをくんでくれたのか、ウビンが俺の肩をぽんと叩いてジャンディの方へ走ってくれた。

あんなにジュンピョのことだけを想い過ごしていたジャンディが、ジュンピョのプロポーズを断るだなんて考えられない。
だとすれば、ジュンピョが何かまた彼女を傷つけるようなことをしたのか、何かの陰謀に巻き込まれたのか、それしかない。

ぐっと目に力を入れると、じろりとジュンピョを見据えた。

「またジャンディを傷つけた?」

「違う。」

ジュンピョが強い眼差しで俺を見返してくる。

「お母さんか?」

イジョンが眉間にしわをよせて非難するようにジュンピョをにらんだ。

「違う。」

「じゃあ何だよ!きちんと説明しろよ!」

イジョンが声を荒げた。

ジュンピョは悲しげに瞳を揺らすと、何か言いかけた口をぐっと閉じた。

俺は、ふーと大きく息を吐くと、またいつものジフ先輩に戻って冷静にジュンピョに、
「ジャンディ泣いてたよ。早く行ってあげないと。」
と、抑揚のない声で言った。どうせただの喧嘩だろう?そう言いたいのをぐっとこらえて。

その瞬間、ジュンピョの瞳に殺意が宿った気がした。高校生の頃のように。

何が不満?
そういうようにジュンピョをじっと見る。
イジョンも俺と全く同じような顔をしていた。

どれくらい三人でにらみ合っていただろう。

急にジュンピョが砂浜に膝をつけた。そして、俺を今にも焼き殺してしまえるほど熱い瞳でぐっとにらむと、頭を砂に埋めるほど深く土下座をした。

「ジフ、すまなかった。」

「な、なにしてんだ?おい!ク・ジュンピョ!」

イジョンが取り乱して頭を上げさせようとするが、ジュンピョは土下座を続けた。

俺はただその光景をぼんやりと見つめるしかなかった。ジュンピョが何故そんなことをするのか見当もつかなかったから。
でも、さっきのジャンディと関係があるはずで、そう思うと簡単に頭を上げてとも言えなかった。これ以上彼女を傷つける奴は、例え親友でも許せない。

「ちゃんと説明してくれないと分からない。」

俺は努めて冷静に言い放った。

イジュンはジュンピョの頭をどうにか上げさせると、俺を見て大きく頷いた。きっと考えは同じはずだ。

「…ジャンディはお前が好きだ。」

ジャンディはお前が好きだ?全く頭に入ってこない。理解ができない。言葉の意味が分からない。

俺は砂に手をつきうつむく親友を遠い惑星から眺めている気分だった。




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ジュンピョが素敵ですーくま

あれから一年、ともすると、ジュンピョに別れを告げにアメリカへ行ったことを忘れてしまいそうになるほどに、今までと変わらない日常が戻ってきていた。

あれからジフ先輩は私に何も聞かない。興味がないだけかもしれないが。

だから私もその現状に甘んじて何も言わない。いや、言えなかった。
このままの関係で構わない。先輩が卒業するまでは、先輩の心がソヒョンさん以外のあの図書館の女性に動いてしまうまでは。

「ジャンディ、今日もバイト?」

そんなことを考えながら、大学のベンチでぼんやりパックの牛乳を飲んでいると、ジフ先輩が目を細めて優しく微笑んで声をかけてくれた。

この顔好きなんだよねぇ…なんてぼけーっと見惚れていたら、先輩に頭をくしゃっとなでられた。そうそう、この頭をくしゃってされるのも好き。

「ジャンディ?」

心配そうに私の顔をのぞきこむ先輩。あーーーこの顔も大好きだなぁ。

そう、ただ一つ決定的に変わってしまったのは私の心だ。

ジュンピョに自分の気持ちをぶつけてから、罪悪感が完全にないとは言い切れなかったが、少しだけ自由になった心は全部ジフ先輩へとむかってしまっていた。

そんな自分が身勝手に思えてとても嫌いで、そしてこれ以上に先輩のことを好きになってしまうのが怖くて、おじいさんの診療所での時間をお粥屋のバイトに充てていた。

ジュンピョにはあれから連絡はしていない。
ただ、返事はいらないからと、たあいないメールが定期的に届いてはいるが。

ジフ先輩が、ふーっと大きく息を吐いて、私の隣に腰を下ろした。

いけないいけないと、自分の頭を二、三回叩くと、先輩が少し驚いたように笑った。

「今日は良い天気だね。」

先輩がきれいに歯を見せて笑った。

し、心臓が爆発する…。こんなに先輩の笑顔が体に悪いなんて…。

「そ、そうですね!きょ、今日はお粥屋さんでバイトです!カウルももちろん一緒です!」

かみまくりながら何とか先ほどの先輩の質問に答え、聞かれてもいことまで言ってしまう。
きっと顔が真っ赤になっているに違いない。

顔は熱いのに、手足は緊張で冷えてしまって痛いくらいで、何度も手をすり合わせていると、先輩がぐいっと私の手を両手で包んで上からさすってくれた。

診療所で冷えた先輩の手をさすった自分を思い出す。
あの時はこんな気持ちになるだなんて思ってもいなかった。

「ジャンディ、今日は眠いの?」

またぼんやりしている私に先輩が大きく瞬きしている。

「いいいえ、そんなことはないのですが…あっ!もうバイトの時間!行ってきますね!!」

この胸のどきどきが先輩にバレてしまうのではないかと、慌てて先輩の手から自分の手を引き抜いて立ち上がると、顔も見ずに一礼して走り出した。



ジフはまたふーーっと大きく息を吐きだした。

怖くて何も聞けないまま、ジャンディがアメリカから帰ってきてから一年が過ぎた。ジュンピョとの約束の四年が経ってしまったのだ。

ジャンディはあれからすぐにお粥屋のバイトを再開し、診療所へ寄りつかなくなった。

俺があまりに寂しそうにしていたのだろう、おじい様が、「お前は患者を放りだすのか!無責任だぞ!!」と、お粥屋へ怒鳴り込みに行ったみたいだが、ジャンディは、「留年してしまいそうでお金が必要だから…。」と、歯切れの悪い言い訳をしていたみたいで、帰ってきてから、おじい様の方が俺よりも寂しそうに、「もうお金には困っていないはずなのに…。」と、こぼしていた。

そんな感じだから、もう完全に避けられてしまうのかなぁって覚悟を決めないとと思っているのに、学校や街で偶然会うとジャンディは必ず一瞬だけだけど、凄く嬉しそうな笑顔を俺に見せてくれるようになったのだ。今までジュンピョにだけ見せていたあの幸せそうな顔だ。
でも結局は、今日みたいな感じですぐに俺から離れてしまうのだから、俺の大いなる勘違いだろうが。

頭が混乱する。もう振りまわすのは止めてくれ。そう思うのに、やっぱり俺の心の全部はジャンディへむかってしまう。

きっとこのまま、気がつけばジュンピョがジャンディをさらいに来てしまうのだ。正確には迎えに、だが。

だけど今ジュンピョはジャンディの傍にいないから、彼女を守ってあげられない。だから、俺が今できる精一杯のことをしてあげたくて、彼女のクラスまで足を運ぶ。たまには一緒に大学へ進学したウビンや復学したイジョンも連れて。
そうやって彼女に誰も手出しができないように細心の注意を払っている。

いや、ただ自分が彼女を一目見たいだけだ。
たまにこうしてほんの少しの時間を共有することしかできないのだから。

それに、彼女はモテるから。
彼女だけがこの事実に気がついていない。そこが大きな問題だ。
ジュンピョ以外の男にやるなんて考えられない。あいつだからしょうがないと思えるように努力しているのに、そこら辺の知らない奴に連れ去られてしまったら、俺は死んでしまう。

そして、医療ボランティアの日がやってきたのであった。




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読んで下さってありがとうございます三日月
すぐに長くなってしまって、なかなか話が進まなくてすみません♥akn♥
やっと冒頭の場面に戻ります。

ジフ先輩、もう眠ってるかな。

翌日の明け方に韓国に到着したジャンディは時差など考える間もなく、想うことはただ一つだった。

最後に泣き顔を見せてしまったことを思うと、もしかして心配してくれているのではないかなどと、自分の良いように考えてしまい、独り苦笑いを浮かべ、携帯に電源を入れる。
ジフ先輩からの連絡はなくて少しがっかりするものの、弟のガンサンから目を疑うようなメールが入っていた。

え…ジフ先輩が…私を探しに家まで来てくれていたの?
それで空港まで追いかけてきてくれたんだ…。

にわかには信じがたい。けれど、ガンサンがこんな嘘をつくはずがない。

ジャンディは溢れる涙を止めることがでず、その場にしゃがみ込んだ。

先輩が先輩が…。

やっぱり先輩の声が聞きたい。そして変な心配をさせていないか謝りたい。

今が何時だなんて考えられなくなって、衝動的にジフに電話をかけるジャンディ。しかし、ジフは今、機上の人であり、電源が入っていない。

つながらない…。もしかして避けられてる?

ジャンディは、とうとう嫌われたのか、面倒だと思われた、などと最悪の事態を想像して、小刻みに体が震え、その場から動けなくなっていた。

こんなにも、こんなにも先輩のことを好きになってしまって、私は一体どうしたらいいんだろうか。


ジフはかなり無理をして韓国への路を急いでいた。

いくら個人所有のジェット機とはいえ、アメリカから韓国への道のりは変わらない。それでも彼女が眠りにつく韓国へどうしても早く帰りたいのだ。

ジャンディに早く会いたい。

着陸すると同時に、出国ゲートまで全力疾走する。そして待たせてある車へ向かおうとしたその時、ジフの心の中全部を占め続けているジャンディがしゃがみ込んでいるのが目に飛び込んできた。

心臓が自分でも驚くほどに音を立て始める。

「ジャンディ!!」

出国の時と同じおかしなニット帽をかぶったジャンディが立ち上がり、泣きはらした真っ赤な目を丸くしている。

そんなジャンディを見たジフは、体中に安心が広がっていくのを感じた。

「ジャンディ。」

もう一度名前を呼んで、彼女をぎゅーっと抱きしめた。

「お帰り。」

鼻をすする音が聞こえて、それから小さな声で、「ただいま。」と、聞こえた。

ジフはにやけてしまう顔をどうすることもできなかった。

もう彼女に何も聞かないでいい。そう思った。

泊まりもしないで帰ってきてくれた、ただそれだけで十分だから。


ジフ先輩が出国の時と同じように、全速力で自分のところへ来てくれた。

ジャンディは泣き顔を隠すのも忘れて、ジフに見入っていた。

先輩はそんな私を抱きしめてくれて、「お帰り。」そう言ってくれた。それがどんなに嬉しかったか、先輩は分からないだろう。

そして何も聞かないでいてくれた。
そんな先輩がずっとずっとずっと好き。絶対にこの気持ちは変わることがない。そう確信できる。

嫌われてしまっただなんて思ってごめんね。先輩。

心の中で謝って、先輩を見上げたら、うっとりしてしまうような美しい笑顔で私を見ていた。

し、心臓が…死んでしまいそう。

息が止まりそうになって、ごほごほっとむせてしまうジャンディの背中を、声を上げて笑いながらさするジフ。

「さぁ、車で送るよ、お姫様。」
「ああああありがとうございます!!」

真っ赤な顔で深く頭を下げるジャンディを見て、ジフはまた面白そうに笑い声を上げた。

焦らなくてもいい。いつか…、いつか彼女の気持ちがまた俺に、俺だけに向いてくれるように。


先輩は私を突き放したりしない。だから、もう少しだけ。先輩が卒業してしまうまで、邪魔にならないように傍に居させてもらおう。
図々しいのは庶民の特権よね!!少しも…ちょとも離れたくない。

頭には図書館の女性が浮かんでいたが、先輩の口から聞くまでは、何も考えるのはよそう。そう思った。
今、この瞬間自分を抱きしめてくれる先輩だけを見ておきたいから。




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気がつけばもう夜ですね。皆さまにとって幸せな1週間になりますようにきらきら