聲の形 | おじゃま荘

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映画「聲の形」を見ました

 

基本的にいじめがテーマの作品ですから、リアルにいじめを経験した人にとっては、客観視できないと言うか、傍観者になれないと言うか、複雑な思いを抱く作品でしょうね。

レビューを見ても、称賛する人と、嫌う人、両極端な気がします。それだけ「いじめ」と言うのが、他人ごとではない深刻な問題なのでしょう。

 

個人的には登場人物の心の葛藤や内面がよく描かれた、素晴らしい作品だと思います。心に刺さるものがありました。

 

さてこの話で疑問に感じるのが、父親と言う存在が一切出てこない事。作者が意図して父親を無視しているとも思われ、本当の理由は本人でないとわからないのでしょうね。さらに有力な見方として、父親が出てきて父性原理で、いじめと言う問題に大ナタを振るってしまうと、話が成り立たないから。

 

言ってしまえば「いじめ」なんてホント小さな世界での揉め事なんですよ。それで自殺を考えるくらいなら、全部放り出して学校なんて辞めちゃえば良い。それは間違いない事だけれど、そう言えるのは私が傍観者だからかもしれません。当事者にとっていじめの構図はそんなに単純なものでも無くて、抜け出る事の出来ない心の縛りがあるのでしょうね。

 

なのであえて問題と正面からぶつかって、傷つき成長する事に、この物語の意味があるのだと思います。自分の心の傷にちゃんとケリをつけるのも、それを乗り越える手段なのかもしれません。

 

だけど、やっぱり本当にどうしようもない時は、全部放り投げて逃げてしまえと思います。もしいじめで悩んでいる人がいたら、この物語みたいに、頑張らなくていいよと思うのでした。