これはSAPIX保護者会で絶賛された方法である。

いや実はそんなに難しい話ではない。

  復習どうやってますか?

という話から始まったと思う。

春先くらいかな。

新学年の3ヶ月くらい、

だいたい4月か5月、6月くらい。

するとみんな険しい顔をしている。

私は過敏なのですぐ気づく。

(そりゃ悩むよねぇ)

「特に理科なんて時間割けないじゃないですか」

私は口に出して言った。

理科教師が「理科なんて」と言う。

でもこれ副教科長だった先生に言われた、

「理科はでしゃばってはいけない」に沿ってるのだ。


  理科という科目の特殊性

教育の適宜性というものがある。

その年齢でそれを学ばないと困るということ。

例えば算数は適宜性が高い。

面積図やてんびん図が使えないと、

理科の濃度計算もできない。

したがってまず、算数>>理科は確定する。

ここで頭悪い講師は

理科をやれば算数もできるようになるだろ!

というが、ならない。

問題の数と質が全然違う。

実験問題の計算問題が出てくるのは

5年後期や6年頭。

まともに解くのは9月になる。

こんなの一周まわせばすぐわかる。


次に国語である。

国語におけるチカラのうち、

お子さんが一番苦手とするのは説明力である。

普通は起承転結や事実と感想を分けない。

情景として主観的なものから言う。

夏休みどうだった?

お花がきれいだった!

これが普通で、

大人側が会話できてると思うのは補完してるから

文章にするといつ、どこで見た、なんの花が、

何色で、どうきれいだったなどかけらもない。

しかもきれいと言っても対象がイネの場合もある

「きれいな田園風景」の場合。

一個持ってきて「どこがきれいだ?」と聞いても

間違えてないのだ。

きちんと色が揃ってればきれいだし、

秋の山は色々な色がまざってきれいなのだから。

したがって国語>算数>>理科となる

ここは諸説あるだろうが

国語は急がないとどうにもならんので

私は算数より国語を真面目にやったほうがいい

サザエさんアニメ版を見せるといい

子どもは節句を知らない。

タンゴの節句と言われるとこうなる。

「なんで節分にイワシを飾るの?」はマシな方。

「そもそもイワシ飾るの?」が都内では普通

歩けばわかる。飾る家なんてないから。

てことでやはり国語は大事だ。

さらに社会も大事だ。

塾によりカリキュラムが違うが、

地理→歴史→公民タイプが多い。

これだと4年で地理ちゃんとやらないと

6年でまったく解けない。

したごって今社会やるしかないから今やる。

だからこれで序列が決まる。

国語>算数>>社会>>理科

理科なんぞどうでもいいのだ。

理科はでしゃばっちゃダメなんですよ。

最初の副教科長の話は論考しても合っていたのだ

てことで4科目でもっとも家庭学習を減らして

負担を少なくして指導しなければならない。

自然と授業ですべて教えきる必要がある。

最近、個別相談受けたり巡回すると、

あれ?これわかってない講師多くない?と思う

思ってたから理科から教材まとめを作った

講師の力量に差がありすぎるのだ。


  分野別の悪魔

理科というのは分野別の悪魔がいる。

例えばほとんどが

算理セットなので、物理か化学になる。

割と悲惨。

そうなると

酵素がタンパク質だと知らなかったりする。

もっと悲惨なのが地学。

柱状図の傾斜がわからない講師は多い。

タモリさんの方が上。

必然的に理科講師はムラが多い。

面白くなかったりわかりにくいのは講師が

面白いと思ってなくてわかってないから。


  限られた時間の中で

そうした事情に鑑みて、

「理科の勉強の仕方ですが」

チョークを持って私が板書したのが以下である。


「半返し縫いです」

ドッと受けた。

基本的に私の話はウケるのだけど、

この話はすごかった

3コース全員の母親が笑った。

「だってそうですよ。全部やるのに時間がない。

でもやらないとテストできない。

効率優先なのは半返し縫いです。

結果こうなった



授業の日の夜はご飯食べながら様子を聞く。

すると私はアンカリングしかけてあるので、

「あのね、面白いんだよ」と話すだろう。

すると初めはバカボンのパパの話など

言い始める。

親としては雑談多いな、と思うかもしれない。

だが話してるうちに気づく。

「パパのハサミはね、大きいの」

あれこれてこの支点からの距離じゃん!

「だからね、植木屋さんのハサミは大きいんだよ!」

聞きかじりの〇〇ちゃん先生が受け売りを話す

保護者会で聞けと言ってあり、

授業で言えと言ってある。

これで脳から思い出して口に出して耳で聞く。

はい。復習おわり。寝ろ。と。

翌日、思い出しながら解けばいい。

なんか言ってたなー、と。

当たり前だが

予習の時に練習問題解いてあるので、

そのヒントはノートと言葉で伝えてある。

だから理科はすぐ終わる。

難問はやるなと指示で伝えてある。

これの繰り返しなんだよ、と。

それが「らせん式」なんです。と


保護者会の終わりに

「うちの子先生のファンで」は聞き飽きた。

このときは別。

「私もうちの子も先生のファンです」

と言われた。

あんなに笑顔で帰っていく

たくさんの保護者たちを見たことがない。


この季節になると時々懐かしくなる。


©️お受験のお医者さん