私の子供の頃の実家では、2月の旧暦の小正月にだったと思うが 団子を作って小枝に刺す行事があった。
たしか「だんごさし」と呼んでいたと思うが、団子を刺すのだから「団子刺し」だろう。
おふくろが米の粉を蒸してくれて それを兄弟みんなで丸めて月見団子のような団子を作った。
その団子をミズキの枝の各小枝の先端に刺した。
2,30cmの1本の枝に団子は10個前後刺しただろうか。
ミズキの木は田舎でもあまり見掛けなかったが、わが家の畑の土手に1本だけ生えていた。
つるつるした赤い木肌の綺麗な小木だった。
この団子さしの枝は、玄関の軒先や風呂小屋,トイレ,鳥小屋,牛小屋、物置小屋などの軒下にくくり付けた。わが家の風呂場やトイレは屋外にあったのだ。
話は違うが、女房を初めて実家に連れて行ったときに、「夜中にトイレに行くのが怖かった」とあとで言われた。そういえば夜中に私がトイレの入口まで女房を連れて行って見張った記憶がある。
親父の「ズーズー弁が全く理解できなかった」とも言われてこっちがびっくりした。
九州出身の女房が福島の田舎で驚いたと聞かされたことは、このブログでもぼちぼち紹介して行きたい。
団子さしでとくに思い出すのは牛小屋だ。
当時、実家は主に田んぼを耕すために和牛を飼っていた。
牛は目玉が大きくて可愛い。手を差し出すと大きな舌で舐められたが とてもざらざらした感触だった。
その牛が 小屋の木枠から長い首を思い切り乗り出して 本当に長~い舌をベロ~ンと伸ばして 団子をもぎ取っておいしそうに食べた。
団子さしにも いわれがあるのだろうが 私は知らない。
実家の町は養蚕が盛んだったから、蚕の良いまゆがとれることを祈ったのだろうか?
団子は数日後に回収して食べた。
蒸したか煮たかしたのだろうがよく覚えていない。
とくにおいしかったという記憶もないが、ただ懐かしい。