中学時代の思い出
夕がた5時を過ぎると 猛烈に腹がすく
部活で疲れた足を引きずりながの下校
昼に食べた 麦飯の弁当も 育ち盛りの少年には
とうの昔の出来事に過ぎなかった
我が家へたどり着くのには かなりの時間がかかる
いつ終わるともしれない 永遠につづく坂道
その坂道が終わるところに 柿園があり
たわわに実る 柿が 待っていた
食べたい・・・ 食べたい・・・ 食いたい
食わなかったら命が持たないかもしれない・・・
いま 思いっきり この実をかじる事が出来たら
どんなにシアワセだろう
どんなに胃袋が喜ぶことだろう
どんなに元気が出ることだろう
いや この柿は 人のもの
人のものを盗ったら どろぼうだ・・・
どろぼうには なりたくない・・・
しかし 家までは まだ時間がかかる
それまで 命が 持たないかもしれない
命がなくなったら 終わりだ
何百もあるんだから 一つぐらい いいだろう・・・
柿も言っている
そんなに ぼくを食べたいのなら 食べてください
あなたの お命を 救うことができれば 本望です
その誘惑を 断ることなど 誰ができよう
翌日 校内放送で 数人の生徒が職員室に呼び出され
先生にキツクお叱りを受けた
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いま田舎に行くと、真っ赤に熟した柿がカラスの餌になって、誰も取ろうとする者もいません。少年の頃を思い出すともったいないことであります。