げんこつ山のタヌキさん


幼稚園に通う女の子が口ずさんでいた。(けっして孫ではない)

げんこつには幼いころに強烈な思い出がある。


その1  


容赦なく照りつける真夏の太陽

柿の木の木陰で行う儀式

イガグリ頭の散発はいつも手動式のバリカンだ

兄からあたまを押さえられ 父が両手でバリカンを持つ

切れの悪いその歯は 容赦なく髪に食い込む

その痛さは何度となく襲い掛かる


いてぇー  思わず悲鳴をあげる


がまんしちょけと バリカンで頭をごつん

その痛みに涙がポロリ

虎刈りになった頭を撫でながら 川にいっちこいと父が言う


小さな川のところどころに 子供の泳ぐ淵がある

水遊びと頭洗いが同時に出来る

子供たちが風呂に入るように水遊びをはじめると

たちまち水は濁ってしまう

それでもかまわず泳ぎ続ける


油蝉がやかましく鳴き 川トンボが飛び交い

午後になると必ず夕立がくる 夏の一こまだ