昨日英語授業研究学会(英授研)で中島利恵子先生(新島学園中学校・高等学校)の授業を拝見しました。また、11月初めにELEC同友会で宮崎貴弘先生(神戸市立葺合高等学校)の授業を拝見しました。

お二人とも素晴らしい授業で感銘を受けました。そのことを少しお話しします。

どちらもビデオによる授業研究でしたが、オンラインではなく対面での研究会でした。オンラインでのビデオによる授業研究は生徒さんの映像をネット上に載せる難しさなどがあり、減っていた気がするのですが、約3年のブランクを経て、対面の講習会や研究会が戻ってきました。

私も今年度から再び可能な限り参加するようにしています。私はコロナ前がかなり忙しかったので、さらに長いブランクを感じています。

そのためか、公開されている授業にある変化があると感じています。

それは、教科書の内容について教師と生徒、あるいは生徒同士が英語で話す機会が増えたということです。

教科書の内容を確認して音読をしてリテリングをして終わり、ではなく、内容に関する意見を先生が求めています。

そのため、生徒は「内容」について考え、自分の英語で考えを述べています。こういう授業が増えていると感じました。

この点は以前ご紹介させていただいた吉澤孝幸先生(秋田県立秋田南高等学校中等部)も同じでした(参考:「教科書本文を丁寧に扱う」「2023年度の英授研の全国大会に参加しました」)。扱う教科書のテーマについて、より深く扱っていました。

私が学生あるいは若手の教員だったころは、オーラルイントロダクションから始まり、内容の確認をしっかりやって、最後は音読という授業がスタンダードだった気がしますが、いまはそれに「思考」が加わったという印象があります。

私はこれをとても良い傾向だと思っています。英語は「学ぶ」と「使う」の両者が必要だと思っていますが、教師と生徒、あるいは生徒同士の、内容に踏み込んだやり取りは「使う」段階に相当すると思います。生徒の英語力、特にアウトプット力の向上に繋がると同時に思考力の向上にも資すると思います。

自動翻訳ソフトや生成AIが一般的になる社会において、英語教育や学習がどう位置づけられるかが大きな話題となっていますが、一つのヒントになるかもしれません。