先日、語学教育研究所(語研)のオンライン研修会に参加しました。同研究所が提供する「パーマー賞」の受賞者である秋田県立秋田南高等学校中等部の吉澤孝幸先生の授業をご本人の解説付きで拝聴できる贅沢な会でした。パーマー賞は語研の創立者である Harold E. Palmer の名を冠した賞で、優れた英語授業の実践者に贈られます。審査基準が厳しく、「該当者なし」の年も多々あります。

吉澤先生とは数年前に一緒にお仕事をしたことがあるのですが、なかなか授業を拝見する機会がなかったので、念願がかないました。

期待通りの素晴らしい授業でした。いくつもポイントがあるのですが、とても書ききれないので、今回は1点だけ。それは教科書本文を丁寧に扱っていたという点です。ときどきですが、公開授業などで、ターゲットとなる文法項目などは導入から言語活動まで時間を取って丁寧に扱うのに、教科書本文の確認の段階になると、TFやQAなどで概要や要点を確認し、語句や文構造などにあまり注意を払わずに済ませてしまうという例が散見されます。このやり方で本文が頭の中に残るのだろうかと心配になります。

日本のように教室外で英語に触れる機会が極端に少ない環境では、教科書の本文は極めて貴重なインプット源となります。なので、本文をしっかりと理解し、音読などで頭に英語をためていく過程が重要になります。それなのに、本文をさらっと扱うのみという授業が目立つ気がします。もっと本文に直接かかわる活動が増えると嬉しいです。

ちなみに、吉澤先生の授業の大きな柱は①本文の内容に関する生徒との英語でのやり取り、②リテリングでした。

教科書本文の「復権」が成るといいですね。