延川和治

定年を迎えられる中高年の皆さん、厳しい現実、アンマッチが多いこの世の中を、これまでよく頑張って乗り越えてこられましたね。 それぞれにご苦労の連続であったのではと思います。 大変ご苦労様でした。 

さあ、定年を控えて、新しい生活、新しいキャリアへの出発です。
今まで面倒をみてくれていた会社はもうない世界へ入っていくことかと思います。
お一人お一人の環境も、またこれからへの思いもそれぞれに違うと思いますが、ただ共通しているのは、これからは、ご自分で、これからを作って行かざるを得ないことかと思います。

もう働かなくていい、働きたくない、という方もおられると思います。 
それが本当にご本心であられるなら、ご自分の後悔のない選択として、尊重されるご決断と思います。 
ただ、今一度、そのご決断が、今までのうまくいかなかった体験、失敗体験をベースにした現在の落ち込んだご自分の思いからのお考えで、これからのご自分の未来へのゆがめられたご決断でないことを、念のためご確認いただくのも、ご本心の再確認として有益ではないでしょうか?

過去と同じ事が、これからに起きることは、ほとんどないと思えます。 
ご自身のお立場も大きく変ります、また以前と同じ年齢ではありませんし、身を置かれる社会もどんどんと変化しています。 この変化のなかのこれからには、過去のご自分ではなく、これからのご自分がおられます。 そのこれからのご自分が、何を求めて進まれるのか。 
奇跡が起きて、今置かれている状況から全て解き放たれるようになったとしたら、何を求められますか? それは何故ですか? そこにどのような喜びをお感じになりますか? 
これからに向かわれるとき、お考えの第一歩はここに有るように思います。

働きたいと思われる方、働かざるを得ない方、ご経験、習得された技術など、今までを生かすことが出来る方もおられれば、別な仕事に就かざるを得ない方々、あるいは望んで新たなキャリアに進もうとされる方もおられるかと思います。
何を目指しますか? それを思われたきっかけは何でしたか? それを達成することは可能ですか? 達成するまでの道筋が見えますか? 強いモチベーションをお感じですか?

これからの新しい道を進まれるときも、何も障害がない、困難がないことはあり得ないと思われます。 乗り越えて行かれることが求められると思います。

ご自分の目標を目差しながら、それを捨てることなく、障害や困難という周囲の状況にご自分を合わせながら、ご自身と周囲をマッチングさせ、上手に変身、目標を達成するために、都度姿を変えていくことも、目標達成には求められるかと思います。

変身変化を受け入れられるタイプの方はともかく、ご自分は、変化を求めない、変化を受け付けないタイプと思われている方もおられると思います。 そのタイプの方々も、実はご自身の自己理解と違い、それぞれの方が、それぞれのやり方で、それぞれの思いをその方なりにマッチングさせ、ご自分の成し遂げられたい思いを忘れることなく、納得を得、それぞれの思いを達成されておられること散見されます。 ご自身が成し遂げられてこられたことを振り返って頂けるとご納得頂けるかと思います。

「健康」がこれから人一倍重要になると思います。
どうかお身体にも十二分にお気を付け頂いて、100年、あるいは125年とまで言われ始めた人生の道半ば、それぞれのご自身の思いの実現を目指して、進んでいかれてください。
かけがえのない、あなただけのキャリアを、マッチングマインドを持ち続けられて。
 

2022年3月9日

延川和治

 

定年をお迎えの皆さん、大変ご苦労様でした。
思い起こせば40年前、学生のころ一念発起して入社して以来、様々なことがおき、様々なことに振り回され、一念発起の思いが実現された方も、されなかった方も、いろいろといらっしゃることと思います。 いずれにしても、40年間良くここまで、大変ご苦労様でした。 

明日から、会社の時間の縛りが完全になくなります。
しばらく今までを振り返り、楽しかったとき、嬉しかったとき、その思いに浸りたく思われる方もいらっしゃるかと思います。

五年後に定年を迎えられる皆さん、会社での研修も始まり準備を進められておられる方もいらっしゃるかと思います。 準備は順調に進んでおられますか?  こんな研修、自分には要らないと思われておられるかたもいらっしゃるでしょう、 一方会社からは、定年までの残り5年間を今まで以上に、活き活きやり甲斐をもって働いて欲しいと言われている方もおられるでしょう、 ご自分のことを会社は何も理解もせずにと思いながら、これを聞いておられる方もいらっしゃるでしょう。

周りを見てください。 日本は65歳を超えて働いている方が50%になってきました。
皆さんもその中に入ります。
人生100年とか。 あと35年有ります。 いままで40年、これから35年、おおよそ半分、いつまで働きますか? 何をされますか? 働くことを辞めたあと、何をされますか?

何を決心して、どう進んでいくか、皆さんそれぞれと思います。 
これだけの高齢化社会は今までに日本は経験がなく、皆さんお一人お一人のこれからが
これからの社会実績になります。 そしてご自分のこれからを作るのは、周囲の方々のご協力ご支援を得ながら、ご自分で造り上げていかれるしかないのではないでしょうか?

健康上の縛り、経済的縛り、家庭環境の縛り、積み上げてこられた実績・能力等の縛り、
など、言わば100%フリーであった若いときと違う縛りが、我々の自由さを奪います。
そのなかで、ご自分はこれから何をしたいのだろうか、何をしているときが本当に幸せを感じるのだろうか、それは何故そう思うようになったのだろうか、それらをまず掴むのが第一歩ではないでしょうか? ご自分で書かれて見て、ご家族や友達に話されてみて、さあ、どうでしょう、ご自分の思いと、第三者の意見と?
まだ体力的にも働ける間、そして誰しもがいつかは経験する衰えに直面するとき、この2局面があるとも思います。

次に、そのやりたいことが成し遂げられそうですか? どうやって進んでいけばいいでしょうか? これらを考えていかれるとき、思ったより障害が多いことに気がつかれるかも知れません。 それでも、できないことを追求するより、できる可能性を追求する姿勢がベースになるのではないでしょうか?

いろいろとお友達・お仲間がいるとよさそうですね。 職場のお仲間の延長でも結構ですし、地域のお仲間でも、あるいは趣味のお友達でも。年齢が近ければ皆さん同様のお悩みをもっておられるかと思えます。 お悩みを話し合う内に、アイディアが出て、道が開けてくるかも知れません。
お仲間がまだいらっしゃらない方、いまからでも、探して見ましょうか?

これからご自分で造り上げるご自分の世界、新入社員のときに思い描いたタイムスパンに比べれば短い時間かも知れませんが、ご自身の幸せをご自身なりにご自身で造り上げる、まさに絶好の機会に皆様は今いらっしゃると思えます。

お悩みいろいろとご相談頂ければと思います。
ご一緒に考え、ご支援させて頂きます。

 

キャリアにおける定年の意義

令和4年3月9日 大圖健弘

 

 筆者は昨年65歳を迎え、世の中でいう定年年齢に達した。永年勤務していたIT系企業を希望退職に応募して56歳で退職、再就職先を60歳で退職し現在の仕事についているが、振り返れば、最初の仕事についたころ、あるいは若手、中堅社員として勤務していたころ思い描いていた、「定年まで一つの会社にいて、定年が来たらリタイア生活」という、シンプルな図式から随分変わったキャリアになったものだとびっくりする。

 40歳代半ば、あるいは50歳代初めには会社で同じ年齢層の社員が集合で研修を受け、定年後の生活に対する心構えや、これまでの生活を振り返った中での、定年までの会社生活に関する考え方の整理等を行ったが、その時点でも、この時点における会社生活が若い時に抱いていた会社生活と差があることに驚き、また、同期の人たちと色々な差ができていることを改めて認識したところがあった。しかし、それでも、先ほどの「定年まで---」という図式の考え方は揺らいだことがなかった。その意味ではこの時点までは、年功序列で終身雇用というこれまで言い古されてきた図式にどっぷり漬かった会社人生を送ってきたということが言える。

 しかし、現実にはそこから筆者の会社人生は大きく展開していくことになった。それも、個人の意思とは無関係に事態が進むことになっていく。(確かに最終的に意思決定したのは筆者だが、そういう意思決定をせざるを得ない状況に追い込まれたのである。)最近、ある方が、「定年近くなって、自分はもっとこういうことができたのにと悔やむのではなく、ある程度の年齢になれば定年後こういうことで活躍したいから、ある時点でそれに向けての行動指針を作って行動しよう」といった意見を述べておられた。確かに、そうした目標を作り、ある意味で定年を一つのゴールのようにして、その後はこうあるべきとか、と目標設定して精進していくことも一つの生き方であると思う。しかし、人生は自然科学の世界とは全く違う世界である。こうと決めたからと言って一義的に答えが決まるわけでもなく、ある意味一寸先は闇のような事態も起こりうる。こうした時に柔軟に対処していけるように定年後にタイトな目標を持つことはあまり得策ではない。丁度認知行動療法のように「定年後はこうあるべきと決めつけるのではなく、定年後はこうありたいが、だめなら違うことを考えよう」ぐらいの柔軟な考え方をもって対応することが重要だと最近つくづく感じている。

 筆者は、若い時の思いとは異なり、65歳になった時点でも結局働き続けており、もう少しフルタイマーとして勤務を続ける予定である。その意味では60歳、65歳の定年という年齢は筆者のキャリアにとって目指すべきゴールではなく、キャリアの中の一里塚のような存在になっている。こうした感じ方で定年年齢を過ごしていけば、一義的なこうあるべきというキャリアのとらえ方から、多様性のあるキャリアに対する考え方にシフトできるのではないだろうか。

 

                                                                                以  上

定年ビフォーアフターのカギ

2022-03-05 鈴木 友之

 

先月で昨年度の再就職準備講座を終えた。講座では真剣かつ興味深い質問もいくつかあった。質問の背景には、年金生活で悠々自適という言葉は存在しないという明確な認識、現在の年配者たちの姿は参考にならない、加えて社会・産業構造が急激に変革していく中で自分の姿を見通せないことからの漠然とした不透明感がある。

 

翻って、自分がかつて直面した年金改革や定年延長、早期退職制度といった変革の中で定年を迎えた時はどうだったろうか。やはり定年前に見ていた先輩たちの姿と、実際に過ごしてきた定年後の生活は別世界であり、いまもその延長線上にあると思う。見通せない中での身の処し方を思い返えすと、一つの理論に思い当たる。クランボルツ博士の「プランドハプンスタンス(計画的偶発性)理論」。要は「キャリアの8割は当初予想してなかった偶発的なことで決定される。偶然を設計することでキャリアをより良いものにする」という理論。

 

私が50歳を前に社内研修で受講したのが、昨年度に私が務めたような再就職を念頭にしたセミナーの先駆けだった。その時は年金と健康に視点を置いたセカンドライフ、今から思えばのどかな内容だった。特に定年後に意識が広がること少なく、変わらず目の前の仕事に意識があるままに役職定年を迎えた。子会社に移り人事制度改革にも関わるようになったのが、思い起こせば重要な転機だった。新しい人事制度にコンサルタントの協力を得て取り組む中で、定年後の姿も否応もなく考えることになった。

 

人事コンサルタント会社から、偶々キャリアカウンセラーの養成講座を始めているとの案内があり、生来の好奇心から自ら体験してみようと受講して資格を取得。何か、自分の興味と価値観にヒットするものを感じて、更に産業カウンセラー、コーチング、と受講して資格を広げた。定年後は迷わずキャリアカウンセラー(現在のキャリアコンサルタント)のフリーランスへと歩みだしていた。冒頭の理論に照らし合わせると、偶然との出会いも、予め偶然を受け入れる心の準備があることが重要に思う。それを「計画的な偶然性」と理解する。

 

偶然との出会いでは、興味と価値観を梃子に学びや仕事を広げるだけでなく、学びや仕事を通して広がる知人や友人との出会いが重要に思う。新しく知り合う人々とのアイデアの刺激と信頼関係が新しい仕事への連鎖になっている。例え人から「素晴らしい人物」と紹介されても、実際にその人の仕事ぶりや知見の発揮を目にしなければ、一緒に新たな仕事を、ましてや人に紹介は難しい。定年前の仕事関係と同様に、定年後のフリーランスでも「信頼」が新しい偶然につながるカギと考える。

以上

新しいキャリアに経験をどう生かすか

                                         2022-02-19 鈴木 友之

 

今までの仕事とは別の、例えば製造現場から営業職へ、といった別の職種に移るような転職はハードルが高いと言われる。そのようなときには、自己理解のプロセスを通して引き出せる自分の興味、強みを、或いは価値観を、今までに経験してきた仕事との結びつきを一旦切り離して考えることを勧めたい。では、どの様に考えるか。今までのキャリアコンサルティングで対応してきた事例の要素を組み合わせて、ある仮想のクライエントを「その人」と設定して、次のようなフィクション仕立てで紹介してみる。

 

その人に私がキャリアコンサルタントとしてお会いしたのは、部品設計のエンジニアとして再就職したが、2度目の会社も倒産して半年が過ぎる頃だった。持参した職務経歴書は、最初の会社でのリストラに応募した際の再就職支援会社の指導を受けて作成した職務経歴書を基に、2度目の勤務経験を書き加えた3ページにもなる職経経歴書だった。まずは職務経歴書の構成の見直しを一緒に検討して宿題にした。

 

次の面談で書き直した職務経歴書を基に勤務経験を話していただいた。傾聴に徹して聴きながら、時に聴いた話の要約をし、ここはという時には「どんな?」といった質問もし、聴き込んでいった。気が付いたら話しは1時間を超えたが、その人には話し切れたという落ち着きが感じられた。話し終わったところで「今お話しされたところで、どんなことを感じていますか? 感想でも話し足りなかったことでも、何でも」と促した。

 

少し考えた後に「そういえば、2度目の会社で設計から工場の応援に異動させられました。少し経って工場の人たちと一緒に赤提灯で一杯やって帰ることが重なったことがありました。帰宅して妻に『今日も遅くなった、済まない』と言ったら、妻が『私は、あなたが工場の人たちと飲んで帰ってきたときの顔が好きよ。設計のころは気難しい顔だったわね。何かホッとするの』と言われたのを思い出しました」。私は「何かホッとするの、と言われたのですね。奥さんは、仕事とは別の面からご主人を見ておられたのですね。」と返した。

 

それから2週間後に3度目の面談を約束していたが、2日前にキャンセルになった。理由は、就職先が決まったため。設計の仕事ではなく製造現場の管理職とのこと。就職が決まったことを祝し、新たな職務分野での活躍をお祈りしますとお伝えした。

 

自己理解と職業理解は、自分で分析したあとに人と話すことで広がり深まると実感した。

 

以上

キャリアチェンジに求められるもの

 

R4.2.15 大圖 健弘

 

 ゴールドキャリアクラブでは主として中高年層のキャリア拡大を支援していくための情報提供等の支援を目的としている。昨今、テレビCMや各種広告(ネットから電車の中吊り広告に至るまで)では就職支援会社のコマーシャルであふれており、あたかも転職が大きなトレンドのようになっているかに見える。これに従って多分転職志望者も増えてきていると思われるが、筆者が今まで、いくつかの職種で中途採用をするために集めてきた転職希望者の情報を見ると、その希望者がなぜ転職を希望し、どんな仕事を望んでいるのか、不明確なものが結構見受けられる。入社して間もないのに、転職を希望する者や筆者の所属する会社が望んでいない職務経歴の者など、とても真剣に転職を考えて情報提供があった者と考えられず、なぜと首を傾げたくなることも多い。

 基本的に多くの方は学校から社会に出るときに就職活動を行い、企業等に職を得られていることと思う。そして、いづれかの理由から、その仕事に区切りをつけて転職しようと考えられたことがキャリアチェンジの始まりだと思う。この時、まず、考えていかなければならないのは、新卒で入社することはその後の転職活動で入社するよりはるかに簡単であるということだ。確かに、学生時代の就職活動で苦労したという人もいらっしゃると思うが、新卒採用は多くの企業が複数以上の人材の確保を希望しており、時期的にも各社同時の採用ということで、全体としての競争もそんなに激しくはない。ところが、転職となると話は別で、各社せいぜい数人の応募枠の中に大勢の希望者が集中する、また、募集時期も一律ではないので転職を希望する者の選択肢も限られる。この為、その転職が成功する確率は非常に低いものと考えていなければならない。こうした中でキャリアチェンジを成し遂げるのであるから、自ずからそこには覚悟が必要であり、その為の準備が必要となる。 ここでキャリアチェンジに是非必要なものは、自分理解と職業理解と考える。

 ここで、自己理解とは、勿論、自分のこれまでの経歴や職歴、この中から自分ができる仕事ということを理解するということもあるのだが、それ以上に必要なのは、自分がどうしてキャリアチェンジを望んでおり、どうなりたいかということに対する明確な理解である。ただ、今の仕事があっていないから、だとか、会社がつまらないからだとかで離職を決めるのではなく、①自分は現在どのような状況に置かれているのか。②その状況は本来自分が望んでいるあり方とどのように異なっているのか。③その相違は、現職内で解決できないのか、あるいはその相違は現状で我慢できない状況なのか。また、今の環境下で打破できないものなのか。をよく判断できるだけの理解を行っていくことが重要である。

この中で、先ほどから述べている、危険性の高い転職というチャレンジを行うに値する大変の状況に置かれているのかどうかを理解することが重要だと考える。

また仕事理解については、①社会において自分が活躍できる分野の仕事はどのようなものなのか、例えば、募集している会社で必要とされている経験、知識は何でそれを満たしているのか。②今まで行ってきた仕事がどんなもので、社会のどのようなところなら活躍できそうなのか。③自分が持っている資格はどんなもので、それが募集している会社に合っているのか。といった自分が活躍できるかどうかを明確に理解しておくとともにさらに、④転職しようとする仕事の内容で自分は満足できるのか、⑤転職しようとする仕事からの報酬で自分が暮らしていけるのかなど、せっかく転職した仕事で失敗しないための仕事理解を行っていく必要もある。

こうした入念な準備をしたうえでキャリアチェンジにチャレンジしたいただきたいものである。

かく言う、筆者は、2度ほど転職を行っているが、必ずしもこうした自己理解、仕事理解を万全にできたわけではなかった。そもそも、筆者が自分の仕事についてそんなに不満が無かったこともあり、転職など、真剣に考えることなく、暮らしてきたのであるが、最初の転職はたまたまある意味でのパワハラを受けたことがきっかけであり、次の転職は、勤務していた会社の定年という外的要因だったため、自発的な転職とは少し意味が異なっている。しかし、最初の転職にあたっては自分の置かれている環境、状況を先ほど自己理解で述べたような内容を良く分析し理解したものである。

そして、その転職活動は必ずしも平坦なものではなかった。人材募集の情報に基づき、募集内容を分析し、先ほど述べた仕事理解の分析を行って応募したものの、なかなか結果を出すこともできず、それぞれ半年近い転職活動の上職に就くことになった。しかし、結果については、必ずしも満足がいくものではなかったものの、だからキャリアチェンジなんてやめておいた方がよかったじゃないということにはなっていない。それは、やはり転職を考えた時点での自己理解、職業理解の分析を入念に行った結果ではなかったかと思う。

そうした意味では、このような自己理解、仕事理解をよく分析することがキャリアチェンジに重要であると考えており、キャリアチェンジにチャレンジされる方には是非考えてもらいたいものと思っている。

 

以  上

キャリア再考

令和4年1月27日 大圖健弘

 

 私たちゴールドキャリアクラブでは主として、中高年齢層のキャリアについて考えたり、新しい知見を紹介したりしている。しかし今回は、新しい年に当たりキャリアについて考える中で、キャリアに対する最近の社会風潮について考えてみたい。つい最近、「人生100年時代の人生、行動計画」に関してある週刊誌で特集が組まれ、これまでの、終身雇用制あるいは就社意識から、キャリアシフトへの考え方の切り切り替え等の考え方が示されている。

 こうした、風潮はマスコミ等では最近よく取り上げられてきており、あたかもキャリアチェンジを前提にした就職が今後のトレンドのように語られたれることも増えていている。また、雇用についてもジョブ型雇用が春闘の話題に上がり、そのジョブ型雇用についても、同じジョブについている間、給与の見直しがない等の、極端な理解が載せられたりして、これまでの雇用慣行を大きく変更する動きのように伝えられている。こうした風潮が本当であろうか。若者がこうした風潮がすべてととらえて方向を見誤らないよう気を付けていく必要があると筆者は考える。

 確かに、企業もインターンシップを増やしたりして、学生に会社の仕事に対する理解を得る機会を増やそうとしている。しかし、学生時代にプロとして会社でやっていけるだけの技量を身に着けられる人材はどれだけいるだろうか。今から10年ほど前、筆者はある団体でIT系企業に就職する人材育成を支援する仕事についたことがある。ここでは主として修士課程に在籍する学生に対しインターンシップ等の機会を提供し、学内の授業でもPBLを中心に企業出身の教員が指導するなど、IT企業における職務実践の経験を積ませることに大きく主眼を置いた。しかし、こうした経験が企業社会に入っていい経験であったことは間違いないといえるが、この短い年限だけで企業のプロ人材として足りるだけの経験を積めたかとはなかなか言いづらいところがあった。それから10年余りたち大きく状況が変わっただろうか。筆者の子供が最近IT系の企業に就職したが、インターンシップはおろか、その会社の仕事についてもあまり知識がないままに就職したが、入社して間もなく企業の中で専門的な知識を教育されて比較短時間で一応不自由なく成長している。

 ここで筆者が言いたいことは、いたずらに世間の風潮に流されて、新しいキャリアの考え方だけにとらわれて社会にはばたくのではなく、仕事をするということが何であるかを見極めながら、個人個人が行動を行うことの重要性である。よく、欧米の就職は経験者採用中心でそれこそジョブ型採用だといわれるが、必ずしもそれに限ったことではなく、筆者が訪れた大学では、それこそ日本の大学と同様に卒業予定者に対し就職支援を十分に行い、求人情報の提供も入念に行って、その学校の就職実績を確保するような活動を行っているなど、大学によってもいろいろなやり方で若者の就業に力を入れている。

 昨今、確かに、巷に転職サイトも多くみられるようになり、キャリアシフトも容易になってきた感がある。しかし、筆者が人事担当者としてそうしたサイトで転職希望者の情報を見るにつけ、特に若い転職希望者(入社2~3年ぐらいの方)の情報を見ると、安易に転職を考えているのではないかと感じる例が少なくない。仕事ということの本質を理解しながら就職活動を行っていただくとともに、一度ついた仕事をまず大切に遂行し、その中kら自分の専門性を培い能力向上に努めていっていただきたいものである。

 そうした結果、自分の仕事に自信がついたのちはキャリアシフトなりキャリアアップなりを考えるのは個人の自由である。そこまでは是非大事に育ってほしいものである。

 

                                                                                   以 上

2022-01-26

新しいキャリアへの転機

鈴木 友之

 

新年を迎えた孫たちに倣って書初めをしようと「菜根譚」を紐解いて、「真味只是淡」という言葉に出会った。「醸肥辛甘は真味にあらず 真味はただこれ淡 神奇卓異は至人にあらず 至人はただこれ常」とある。私がこの言葉に惹かれたのは、いままでの仕事でのモットーの一つ「Simple is best」につながると思ったから。そして、書初めの題にしたが、書体とバランスが難しく、なんとか納得できるまでに3日かかった。

 

書体や配置を考えながら思った、このプロセスは少しもシンプルでない。「酸肥辛甘」の極みではないかと。しかし、仕上げたとして終えたときの基準はスッキリ感につながる「淡」にあったと。「至人」ならスムーズに「淡」の書体と構成で表現できるだろうが、俄か書家には「酸肥辛甘」の試行錯誤のプロセスは必要だった、と思い当たった。

 

翻って、キャリアコンサルタントとしてキャリア形成の相談対応やガイダンスでは、自己理解と仕事理解を基本として話を進める。キャリアの転機ともいえる転職・再就職では、仕事に限らずいろいろな人生での出来事の棚卸しを通して自己理解を進める。その時に利用するツールの一つに「ライフイベントチャート」がある。今までの山あり谷ありの人生を、横軸に年齢、縦軸に達成感を設定した曲線グラフに表現する。特に山や谷に起きた出来事の事実を客観的に記述し、その時の想い、発揮した能力や課題、周囲の人々との関係、等々を振り返って、やりたかったこと、やれたこと、成果を支えた能力や資質、取り組みの軸となった価値観、等に整理する。このプロセスがキャリアコンサルタントの表現で「Will、Can、Must」の3要素に整理する「自己理解」の概要。更に3要素それぞれの内容を広げ深めて、新たな仕事への可能性に結び付けていきキャリアプランとなる。

 

自己理解における「ライフイベントチャート」の利用では、達成感を縦軸にして考えているが、「酸肥辛甘」という味の視点で考えることで、より深く自分の究極の「淡」がどうありたいかを考える流れになっていると思い当たった。実際のところ、キャリア相談対応では、まず達成感があったかどうか話してもらったあと、「手ごたえを感じた瞬間はどんな状態だったか」、「一応達成はしたが今一つ物足りなさと感じた、その感情の背景には何があったか」など深く掘り下げていき、「Will、Can、Must」の3要素が明確になる。「達成感」という尺度はあくまでも手掛かり。早い時点から「酸肥辛甘」の視点で振り返り、夫々のありたい転機を支える真の「淡」を傾聴することが肝要と改めて思った。

以上

キャリア形成の統合的な支援

 

2021.12.15 鈴木 友之

 

現在、中高年のキャリア支援の一環で、再就職セミナーの講師を務めている。章立てとしては、就職活動の進め方を概観した後に、自己理解の具体的な方法として自己分析の進め方に重点を置いている。ガイダンスとしての説明だけでなく具体的なワークも交えて実践への手がかりを引き出すようにしている。一方、参加者が苦戦していると感じる点は、第一に職務経験の棚卸しの中でイベントを思い出して客観的に記述すること、第二に記述した経験を人に話して聞いてもらうこと、第三として逆の立場で人が話すのを聞くときの傾聴と共感が中々難しい。

 

3点目の改善策として、聴く姿勢やうなずきといった非言語コミュニケーションにまず意識することから始めて出来る様になったら、共感の感度を上げて相手にも確実に伝える方法に進み、言語コミュニケーションの要約と質問を交えるようにしてもらう。特に質問は意見を言うのではなく相手と共に考えるスタンスの質問にポイントを置く。これによって、話す人の思考が途切れることなく進む効果が期待される。例えば3分間の対話ワークでも思考が深まることが感じられるようだ。

 

しかし、このようなグループでの対話から思考の深まりをある程度は期待できるが、思考をさらに深め重要な課題等への気づきを引き出して行動に展開するには限界がある。特にキャリア形成に関わるいろいろな分野の情報を収集する方法をピンポイントに知ること、或いは収集した情報と思考を結び付けて整理し新たなキャリアの方向性に収束させるといったことには、個人キャリアコンサルティングが有効に思う。

 

改めてキャリアコンサルタントの役割を整理してみると、①ガイダンスでの情報提供と理解のための演習、②複数の相談者がお互いの相談をテーマにしたグループセッションのファシリテーション、そして③個人キャリアコンサルティング、この3つを統合して最適な支援につなげたいと考えている。そのようなトータルキャリアコンサルティングサービスの場を、企業といった組織内に或いは独立した民間組織として提供できるようにしたいと思う。その中で、私としては後者に力を入れていこうと考えている。

 

以上

                                                   延川和治

コンサルティングのスタートは、傾聴と共感と思います。
クライアントに寄り添い、感情を共にし、質問をし、状況を理解し、そして理解共感していることをクライアントに伝え、感情面も含め、クライアントから初めの一歩の信頼を得る、これがスタートと思います。

自分自身のキャリアを振り返るとき、まず学校を卒業し、初めて就職するとき、第一希望は全て落ちたことを思い出します。 「海外とつながりのある仕事したい」と商社、海運、航空会社など回りましたが、皆落ちました。
一生懸命書いた志望動機を、多くの他の人のものと重ねて、5~6cmの束にまとめられ、机のうえでドスンドスンとその束を整えられながら、「ご苦労さまでした」と一言言われて、落ちました。 自分は、その他大勢と一緒に、捨てられる身と思いました。  自分は世の中ではそれぐらいの人間と思いました。

会社に入って17年目、海外に子会社を作ってもらえました。 年商12億円のちっぽけな会社、でも自分の営業活動が会社に通じ、将来性を理解頂き、作って頂けました。 そこの現地トップとして着任、4人の事務所から始めました。 初めて会社に認めてもらえ、うれしかった。  ついた希望の火を大きく燃やそうと思いました。

22年目会社が倒産しました。 その時海外に駐在していました。 二週間前に日本本社に出張していたのに、何もわからず、突然でした。 駐在先の取引先と面談中「なにか変な記事が新聞に出ているぞ」と教えてもらいました。 その日から手のひらを返したように周りが冷たくなりました。 その日の前までは一緒に飲んでいたのに。 個人の口座まで瞬時にクローズし、預金が一瞬にして一切引き出せなくなりました。 会社の状況が個人の生活に瞬時に影響を与えた一瞬でした。 ポケットには数千円のみ。 これから何がどうなるのか、恐ろしかったです。

その後、仕事で関係していた方々に、拾って頂きました。 うちでやらないかと。 
スーパーで元気に買物をする周りの人を見て、普通に買物ができる日はいつ来るのかと
悲しがっていた家内を安心させることができました。 とても有りがたかったです。

そして突然、外資系企業にヘッドハントされました。
日本支社のトップとして。 オーナー・役員面接のため、海外の本社まで飛んでいきました。 もう一人候補がいたと聞きます。 何を言ったか覚えていませんが、指名されました。 それからは死に物狂いでした。 赤字会社を2~3年で建て直さねばならなかったです。 ヘッドハントされ、厳しい環境に放り込まれ、改善できねば交替させられる、これが外資ヘッドハントの意味と理解しました。 やはり世の中は甘くないです。

58才で職をさがしました。 自分には、経歴もあり、実績もある、誰にも負けない自信もあり、自分を生かせる道がまだあると主張を続けました。
けれど、当時の60才定年まで、あと2年を切る人間とみられました。 採用してもすぐ定年、もっと若い人を採ろうよと。 不況もありましたが、年齢の壁をもっとも強く感じさせられた時でした。 自分が通じない世の中があることを知りました。

世の中にある第三の目。
自分とクライアントと、もう一つの目。
クライアントと面談中、自分に常にこの第三の目があることが、コンサルティングに重要と思います。
傾聴し、質問し、共感し、クライアントに寄り添って面談をし、その共感を自分から相手に伝えながら、同時に自分の第三の目から、客観的に、そのクライアントが置かれている環境、そのクライアントの思い・考え方を捉え、いろいろな視点からクライアントが抱えている問題を把握し、その解決策を提案していくこと、これがコンサルティングに重要と思います。

同じ経験のクライアントに出会えば、その心情を察しやすく、痛みはよくわかるように思えます。 上に書きました私自身の転機についても、同じように感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、クライアントが同じ痛みかどうか、早合点して、わかったつもりになってはいけないと思います。 
私の転機について、私とは別の感情や反応を感じる方も多いと思います。
「アホやな、こいつは、そんなこともわかっていなかったのか、すぐに定年になる人など、どこが採用するか、別の方法をまず探すべき」、などと。

第三の目で客観的に把握し、クライアントがそのなかのどこに位置されるのか常に把握していることが、コンサルティングにはとても重要と思います。
私自身のなかでは、上記その他、日本・海外でいろいろと感じ思いをもった、さまざまなキャリアの転機の実体験をうちに秘めながら、クライアントに寄り添い、常に第三の目を持つコンサルティングを行って、クライアントの支援を続けて行きたく思っています。