今から書くのは、私が2008年にした
世界一周旅行の旅の記録です。
当時の日記も膨大な写真もそのまま保管してあったのですが
今この時期に整理するにあたり、せっかくだからこのブログにも
書き記しておこうと思いました。
ここに書くのは完全に自分の自己満足ですし、今読み返すと
世界中で色々な方から優しさをもらうだけもらいながら旅をしていて、若かりし頃の自分の無邪気さに恥じ入る気持ちにもなりますが
あの旅があって、バングラデシュにご縁が繋がり
今のわたしがあるのは間違いないので
あの時、世界一周のきっかけとなった動画の女王のプロジェクトに関わっていたすべての方々
世界一周を全力でサポートしてくれたHISの行方さん、ボビーさん、スタッフの皆さん
わたしを快く送り出してくれた母や友人たち
そして世界一周を共にしてくれた、わたしの盟友のちよみんに
心からの感謝と愛を込めて、この日記を書き記していこうと思います。
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三月二十三日
結局、支度をしているうちに朝を迎えてしまった。
昨夜は高校時代の友人たちが壮行会をしてくれて、
夜遅くに帰ってきてそれから準備を始めて…
気が付いたらもう朝に。
世界一周に行く、というととても大仰なことのように思ってしまうけれど、HISの優秀なスタッフさんたちが入念にルートを考えてくださり、わたしよりもずっと頼りになる相棒も一緒という事で、心配は全くない。
「世界一周をしながら、色々な国の動画を撮り配信する」という
今回の旅の使命でもある動画の更新に必要な道具…
ビデオカメラ、テープ、デジカメ、パソコン、充電器などなど
素人カメラマンながら、機材だけでけっこうな荷物である。
よって持っていく衣服は必要最小限にした。
現地でその国のお洋服を安く買って着よう!という気満々だったので、汚れてもいいようなお古の服を何枚か詰めた。
空港には母たちが見送りに来てくれた。
ずっと一緒に暮らしているので、こんなに長く離れるのは初めて。
色々心配はあるだろうに「世界一周なんて、わたしのできなかったことだから家の心配はしないで、思いっきり楽しんできてね!」と笑って見送ってくれた。本当にありがたい。
それぞれの家族とのお別れを済ませて、旅の相方・ちよみんと飛行機へ。
たくさん旅をしてきた私たちだから、ふたりで飛行機に並んで乗っているとなんだかいつもの旅行みたいで実感がまだないけど。。。
いよいよ世界一周が始まる!
ちよみんの表情からワクワク感が溢れ出てる。
わたしもこんな表情、しているんだろうな。
昨年、動画の女王コンテストで優勝してから、
主催者の方にやりたいことは何ですか?と聞かれて
なんだかもう遠くに行きたかったわたしは
「世界一周です」とダメもとで言ってみた。
生まれて初めて企画書というものを書いて、プレゼンをして…
ありがたいことに旅をサポートしてくださるスポンサーさんが現れて
本当に夢のように、この企画が実現した。
今年に入ってから、何度も主催者さんやサポーターであるHISのオフィスにも通い、打ち合わせを重ねてきて
今日やっと…その旅が始まる!
香港國際空港へ着く4時間の間、旅の途中でこんなことがあったら、あんなことがあったら、
と二人でワイワイ話していたら、あっという間に到着してしまった。
世界的な金融都市として知られている香港は、思ったよりも空港もトイレもどこもかしこもすごく綺麗。
その複雑な歴史を感じさせないくらいの、熱気と人口密度に圧倒されてしまう。
“香る港”なんて、なんだか浪漫があるなあと思って日本にいる時にHISのスタッフさんに聞いたら
香木の集積地となっていた湾や村がこの名前に由来しているようですよ、と教えてくれた。
香木の香りって、どんな香りがするのかな。
二階建ての市営バスに乗って、まずは市街地へ。
こういう大きな二階建てバス、日本ではなかなかないので
これに乗ると、海外に来た!というかんじがする。
張り切って子どものように、ふたりで二階の一番前に座ろうと走ったら、そこには先約が…。
二列目に座ろうとしたら、わたしたちのただならぬ勢いを感じたのか、座っていた現地のお兄さんたちが「どうぞ!」と席を譲ってくれた。
なんだかはしゃぎすぎている自分たちが恥ずかしく、大丈夫です!ここに座るので!と伝えると、「いいからいいから!トラベラーファースト!!」と言って立ち上がってくれて。
トラベラーファースト!
レディーファーストの旅行者版みたいなかんじ…??
そんな言葉が、世界にはあったのか!!となんだか感動し、ありがたく一番前に座らせてもらう。
この旅であった、初めての親切だ。
嬉しくて、日本から持ってきていたお菓子をお礼に渡す。
(大阪のあめちゃんおばちゃんみたいな私たち(笑))
自然と会話が始まって、香港のことを色々教えてもらう。
こちらでも、海外テレビシリーズ「Lost」が大人気らしい!しかもテレビで日本ではまだ見られないシーズン4が流れているらしい!!
ロストシリーズにはまっている私も嬉しくなって、中心地に着くまで香港の情報を集めなきゃと思いつつ、ついついずっとロストの話で盛り上がってしまった。
そのお兄さんたちによると、ロストのサン役で出演しているキム・ユンジンさんは韓国の有名女優さんで、こちらでも大人気とのこと。
「ジン、ケンチャナヨ…?」と私たちがサンの真似をすると、「すごい!似てる!!」と笑ってくれた。
ロストが繋いでくれたひと時の和やかな時間。
カタコト同士で会話をしているうちに、もうネイザンロードの尖沙咀(チムサーチョイ)へ。
ここは、香港の全てが手に入ると言われているほどお店が集まっている大繁華街。
今日はこの街に泊まり、一日しかいない香港を満喫する予定。
優しく親切なお兄さんたちと笑顔でGOOD LUCK!と別れて、ネットで予約をしたラルゴスホテルへ。
そして到着したホテルは、、、
外観がなんとボロボロで大変なことになっている!!
竹がいたるところから飛び出し、緑のビニールで適当に包まれているホテルは、一見ホテルに見えず、わたしたちは何度その周りをぐるぐるしたことか。。。
通行人に訪ねて、ここだよ、と言われても、ただの工事現場にしか見えないので
「本当にここ…?」と疑ったほど。
確かにお手頃な価格ではあったけど(ひとり18ドルくらい)、低価格層のホテルの写真の中では良いところを選んだつもりだったのに。。。
でもなんだかそのボロボロさ加減がおかしくて、ちよみんと二人で「これ作りかけでしょ!!」と、ひとしきり路上で大爆笑。
こんなとき二人で本当によかった。
ひとりでは道で大爆笑できないしね…。
廃墟のような部屋を想像したけど、入ってみると中は普通で一安心。
単に外観の改装中だったのかもしれない。
腹ペコだったので、とりあえず香港の街を歩きながら夕食に入るお店を探しに行く。
外に出ると…香港の町は平日なのにまるでお祭りのよう。
喧騒が凄まじく、本当に世界一周が始まったんだ…
とこの時に実感が沸きあがってきた。
気分は沢木耕太郎さんの深夜特急の世界にいるよう。
がやがや異国の言葉が音楽みたいに心地よく響く。
そして街を歩いてるといきなり大道芸に遭遇。
わ!なかなか本格的なパフォーマンス!
謎の筒を持ってきてお座りになる芸人さん…
何が始まるのだろう?
わっ!入っちゃった!!
ほ、骨は大丈夫なのだろうか…??
歩き始めた!!
観衆も大盛り上がり!!だけどなんだか身体をはった芸が多くて
無料で観させていただいてることに申し訳なさを感じるくらい、
高度な芸ばかり。
それにしても人間ヤドカリ。。。衝撃的だったなあ。
ひとしきり、街歩きを楽しんだ後は、せっかく美食の街にいるのだから、初日だし奮発してご馳走を食べよう!と
香港美食大賞金賞受賞という聞くからに美味しそうな炒飯があるルングイェン(香港金域假日酒店)というお店に入ることに。
海老のうま塩炒め
カニ入り卵麺
そして噂の黄金炒飯。。。
…どのお料理も、感激の美味しさ!!
さすが美食の街、香港。
世界一周の幕開けに相応しいご馳走でふたりとも大満足。
しかし旅の予算は限りがあるし、お高いヨーロッパが後半控えているからなるべくアジアでは節約しなければ…。
ご飯の後は、腹ごなしへアベニューオブスターズへ向かって歩く。
せり出す看板が、異国情緒を感じさせてくれる。
わたしを見て!と言わんばかりにあっちこっちからカラフルに伸びる看板は、もはや看板アートのよう。
ちょっと新宿東口あたりと色彩が似ている。
大好きな銀だこがあって嬉しくなった。
たこ焼きは、美食の街でも認められているのかな。
そして、香港100万$の夜景。
有名なこの言葉を
「100万$くらい価値のある宝石のような輝き」
と、勝手に思っていた。
ちよみんと、「綺麗だねー!!」としばらく見とれていたら
たくさんの観光客や現地の方々が夜景を見に来ていて、お隣のご夫婦と写真を撮りっこした後お話したら
「100万$の夜景っていう言葉あるでしょ??それってね、一晩で100万$の電気代の金額っていう意味なのよ!ほんとすごいわよね!!」と教えてくれた。
そうなのか。。。
100万$の価値は同じでも、なんだか電気代と聞くと一気に現実的で、夜景という響きに宿るロマンチックさが消えてしまった。。。
そして、わたしはその電気代の光を見ながら、なんだか東京の景色に似ているなあと思った。
人工的な光。人工的な美しさ。
わたしが育った東京も、こういうネオンで夜も明るい。
東京の夜景は何万ドルだろう。
そしてその光の下には、人の欲望が渦巻いていて、毎晩様々な人間模様が繰り広げられている。
きっとこの香港でも、お金のもとに、美しいものに、人々が集まってくるのだろう。
わたしは、この旅でいろんな光を見たいと思っていた。
東京で、日本で、見ることのできない光。
うまく言葉にできないけど、そんなものを動画に撮って、伝えられたらいいなあと思っていた。
100万$の夜景から始まったこの旅、
終わるころにはもっと何倍もの価値のある光をたくさん集められていたらいいな。
そう願って眠りにつく 一日目の夜。
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こんなかんじで、自分用に書いた日記なのとなんだかんだ12年前なので諸々稚拙さがあり、人様にお見せするような文章で書かれていないのですが、その点はどうぞ小娘の独り言ということで、寛容な眼差しで読んでいただきご容赦いただければと思いますm(__)m
五十日分あるので、間に今の日常のブログも挟むことになると思いますが
外出できない今、心は自由にあの時のことを思い出しながら世界一周を追体験していきたいと思います。
このブログを読んでくださっている皆さんも、旅に出た気持ちになっていただけたら嬉しいです(^^)
それにしても、、、当時はスマホなんてなくて、一回一回動画を撮っては、パソコンにデータを入れて、それぞれの国でインターネットにアクセスしてサイトにアップしていたんですよね。
今はどこからでもネットにアクセス出来て、SNSでみんなに共有できる便利な時代になったなあ、、、としみじみ思います。
日記に出てきたボロボロのラルゴスホテルも、懐かしくて調べてみたらとても綺麗で立派なホテルになっていて時代の流れを感じました。
そして今バングラデシュで住んでいて、竹が突きでていて工事現場のような建物を見慣れてしまったため、「そんなのアジアで安宿なら当たり前だよ!まったくもう日本基準で考えちゃって!」と昔の自分に叱咤している今のわたしです(笑)
マイペースにこちらの世界一周記、更新していく予定ですので
どうぞごゆるりとお付き合いいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m