この世に生まれて35年と約6ヶ月。もう免許を取得することなんて、ないだろうと思っていた。
ところがこの度、訳あって免許を取ることが必要となった。
免許のない身の僕にとっては、歩道と車道の間には、此岸と彼岸くらいの隔たりがある。
あくまでも、免許のない身の僕にとってだけど。
バスやタクシーや誰かの車の中で過ごすといったことを除いて、いまいち車道にいる自分の姿が思い浮かばない。
関係ないけれど、エムキチビート・若宮亮くんの運転するバイクの後ろに何度か乗せてもらったことがあるが、その時は、
「あひぃ〜!死ぬぅ〜!あひぃ〜!」
と、半泣きで叫び、「うるさいよ!」と言われていた。
車道を走る自分の姿に現実味を帯びていないものの、兎にも角にも免許を取ることが必要になったので、教習所に説明を聞きに行くことにした。
免許の"め"の字も知らない僕には、サイトに書かれている内容が何一つ分からず、直接聞くのが手っ取り早いと思ったのだ。
教習所に辿り着き、案内の女性の方の前に腰をかける。
「どういったご用件でしょうか??」
さて。
何から聞いたら良いものやら。
ん〜、
「あ……あのぉ……ど……どうしたら免許取れますか??」
質問が、稚拙過ぎる。
でも、右も左も分からないのだから、直球ど真ん中の質問を投げるしかない。
「第1段階があって、終了検定があって、仮免試験があって、第2段階があって、卒業試験があって、卒業証書をもらった上で、試験会場で試験を受けて合格したら免許が取れます。」
険しぃぃやぁぁぁ…!!
そんなに行程があるの!?
ゴールまでの道のりが、遠過ぎて遠過ぎて。
まさに、Road to 運転免許だ。
ごめんなさい。
免許を持っている人からしたら、
「当たり前のこと過ぎる話だ。」
と、お思いのことでしょう。
でも、聞くこと全てが初めての僕には、
「はぁ〜」「ひぃ〜」「ふぅ〜」「へぇ〜」「ほぉ〜」
と、声を漏らすのがやっとだった。
だって、教習所で免許まで取れるものだと思っていたもの。
お金の説明などをされ、最後に、
「以上になりますが、他に何か質問はございますか??」
聞きたいことは、山ほどある。
学科??技能??
何を教わるのですか??
先生は、怖いですか??
心、バキバキに折られますか??
聞きたいことがぐるぐる回る。
「こ…こ…こんな僕でも、免許は取れますか??」
と、聞くのがやっとだった。
「…何とも言えませんが、とりあえず今の時期は学生さんで混み合いますので、4月から通うのをお勧めしますよ。」
………。
4月になったら、運転免許への道のりを歩き始める予定です。