熱狂!ビートルズ!
1978年 監督/ ロバート・ゼメキス
驚いたのは本作がゼメキスの初監督作品であること。しかし、それよりもっと驚いたのは本作が興行的失敗を喫していたこと。
1982年に日本公開されたロバート・ゼメキス監督作品『抱きしめたい』の存在は認知していましたが、VHSビデオソフト発売以降長らくDVD化されておらず、今日まで鑑賞の機会を逃していました。だから6年前の2019年に本作のBlu-rayが発売された事はちょっとした事件でした(と言いつつこの日まで購入しておりませんでしたが…)。
1964年に初渡米したビートルズを追いかけ回す熱狂的ファンの騒動を綴った青春グラフィティ。ゼメキス監督の作品は『ユーズド・カー』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』などでそれなりに作風を知っているつもりでしたが…
まさかデビュー作で既にそのタッチが完成されていたとは思いもしなかった!!
ゼメキス恐るべし!!
熱狂的ビートルズファン、スクープを狙うカメラマン、ビートルズコレクター、そしてアンチビートルズまで多種多様な若者が繰り広げる騒動劇。
随所に散りばめられたユーモアを始め、追っかけ少女3人の独立したエピソードや、スラップスティックな見せ場の連続で早くもゼメキス流を確立しており、予想を遥かに上回る面白さでした!!ダレ場ゼロのハイテンション極上エンターテインメントです!!
【この映画の好きなとこ】
◾️ロージー (ウェンディ・ジョー・スパーバー)
感情の振り幅が広い熱狂的ビートルズファンであり、物語を激しく突き動かす存在。ファンになったのに2005年に47歳という若さで他界していたなんて…。
◾️熱狂
デジタル配信でいつでも好きな音楽を聴くことが出来る現代とは熱量が違う。人が集うことにより生まれる熱気は、時にアーティストや楽曲の質すら上げるのだ。
◾️覚醒
ビートルズのスイートルームに事故的に侵入したパムは、メンバーの楽器や使用済みグラス、ブラシに残った髪の毛を撫でる、舐め回すなどのフェチぶりを突如発揮。
◾️悪魔の理髪店
ビートルズのマッシュルームカットを真似た男子が強制的に連れ込まれた理髪店。さながら処刑場のように描くセンスはさすが。ゼメキスのブラックユーモア全開。
◾️ジャニスの50ドル
エド・サリヴァン・ショー会場に潜入する為、必死に作った50ドルでカメラマンとして千載一遇のチャンスをモノにするか?それとも友人を助ける為に使うか?
◾️破壊
全米女子をビートルズに横取りされる妄想に憑かれた男が、テレビ放映を阻止すべく電波塔破壊に挑む。雷鳴轟く電波塔は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を予期していた?
◾️エド・サリヴァン・ショー
ついに始まったビートルズライブ!!ロージーやパムを始め、熱狂するオーディエンスには続出する失神者も。この凄まじい爆発的パワーは本物のライブと見違えるほど!
◾️パムの目覚め
涙を流しスカートの裾を絞り震えるパムの姿はオーガズムに達した様に映るが、単なる性的意味合いに留まらない深みと感動がある。この僅かなカットで絶大な演出効果!
◾️エンディング
ビートルズのステージを見逃したジャニスらにとんでもないサプライズが!ハッピーエンドって文句無しにいいね!
『抱きしめたい』は10代の頃、熱狂したアーティストへの思いを呼び覚ましてくれる作品です。ボクは追っかけではありませんでしたが、レコードを買いコンサートに行き、テレビ・ラジオへの出演チェックはもちろん、さらには雑誌の切り抜きをスクラップする熱中ぶりがかつてのボクにもありました。そんな熱い熱い気持ちを再び呼び覚ましてくれる作品なのです。
つまり、推しのいる(いた)音楽ファンであれば誰でも楽しめる作品というとことです!
本作の若者たちは、ビートルズという台風の目に乗り、人生の鬱屈した思いを晴らすかの如く騒動を巻き起こします。しかし、どのエピソードにも清々しさが漂い、胸がすく思いですらあるのです。
今回初見の『抱きしめたい』を心から堪能しました!演出については言わずもがな、構成や脚本の妙に唸らされましたよ!いったい誰の脚本なのかと思えば、なんとゼメキス本人だったのですね!これだけよく出来た演出と脚本の妙を味わえる作品が、まさかデビュー作だとは改めて感心させられましたよ!
さらに調べてみたら、ゼメキスはなんと本作以降の『ユーズド・カー』も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズも書いているんですね!ゼメキスは作家性皆無のエンタメ職人と思っていましたがとんでもない!一流の映画作家ですよ!
そしてもう一人忘れてはならないのが、本作含むほとんどのゼメキス作品を、共同執筆してきた脚本家ボブ・ゲイルも同等に讃えてあげたいです!
こうなればゼメキス作品まとめて観直してみようかな。『ユーズド・カー』も、『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』も、『バック・トウ・ザ・フューチャー』シリーズも。どれもこれも単なる娯楽映画ではないような気がしてきた。




















