観たいもの全部観せてやる!
1987年 監督/ ジャック・ショルダー
いったいどれだけこの作品が凄いのかといえば、第16回アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭で、グランプリが確実視されていたポール・バーホーベン監督の超人気作品『ロボコップ』から、その栄冠を奪ったと言えば伝わりますよね?ユニークな発想とスタイルで製作された『ヒドゥン 』は、映画製作の方程式や既成概念をも破壊する勢いと、馬鹿馬鹿しい程の面白さに満ちたSF映画…いや、アクション映画…いや、ホラー映画…いや、これはジャンルの垣根を超えたエンターテインメント作品です!
作品はエイリアンが人間の体を乗っ取るボディ・スナッチもの。それまでにも同じテーマを扱った作品は、『SF/ボディ・スナッチャーズ』『遊星からの物体X』などの傑作がありましたが、もうこれは比較にならない(すべきでない)新しさです。
重病患者、ストリッパー、犬(!)、警察官らの体を乗り換えながら、最終的に大統領候補議員を狙うエイリアン(大統領になったその後の物語も観たかった!)。
作品自体がジョークのようでありながらも、真面目に命を懸けて戦うカイル・マクラクランと、ふざけたエイリアンの対比が見事な化学反応をおこし、唯一無二の眩いセンスを放っています!
監督は『エルム街の悪夢2 フレディの復讐』を興行的に成功させた(が、何故か評価は低い)ジャック・ショルダー。この名前だけで興奮!もう観なくてもわかるでしょ、傑作だって。
【この映画の好きなとこ】
◾︎ヒドゥン
人間の体を次々乗り換えるが、とりわけ序盤に登場するジョナサン(写真1枚目)が突出している。ハードロックとフェラーリ、そして地球人女性まで大好きなエイリアンってなに?
◾︎ロイド・ギャラガー (カイル・マクラクラン)
◾︎逃走
フェラーリで逃走するヒドゥンを追う警官隊。お気に入りのハードロックをガンガンに鳴らし、通行人(車椅子の老人まで!)を跳ね飛ばしながら警察の包囲網に突っ込む非道ぶり!
◾︎ボディスナッチ
人体乗り換えシーンの特殊メイクが鮮烈!ゴキブリを連想させるようなグロテスクさと、コミック調の演出が融合。ホラー映画に特殊メイクの存在は不可欠である事を証明した。
◾︎放たれたヒドゥン
カセットテープ、ラジカセを(万引き)入手し、レストランでお気に入りのハードロックをかけながらご機嫌に食事をする様がかわいい。いいものがたくさんある地球は最高だね!
◾︎交わす視線
同僚刑事のベック邸に招かれたギャラガー。ベックの娘ジュリエットと交わす視線に含みがあり過ぎる!初対面ながら驚きの表情で凝視するジュリエットと、慈しみの視線を送るギャラガー。一体2人の関係は!?
◾︎カーチェイス
夜の街を逃走するヒドゥンを追い詰めるギャラガー。意外と無茶するギャラガーと、ストリッパーの体を乗っ取ったヒドゥンとのチェイスが夜の街に映える。その疾走感!
警察署
警察官に乗り換えたヒドゥンが、署内でギャラガーらと対決。ヒドゥンの乱射で署内は蜂の巣状態に!武器の宝庫で水を得た魚のように暴れまくるヒドゥンの姿が痛快!
◾︎最期の対決
大統領候補議員に迫るヒドゥンを追うギャラガー。このシークエンスに限り、誰に乗り移ったかが示唆されていない為、俄然緊張感が高まるクライマックスとなった。
◾︎エピローグ
入院中のベックを見舞いに来た娘ジュリエットが、ギャラガーの時と同じ戸惑いの表情を見せる。これはつまり…?? 観客に解釈を委ねつつも、温かなエンディングに拍手!
ギャラガーの背景や、ジュリエットの意味深反応など、張るだけ張って回収されない伏線にめちゃめちゃソソられる怪作です。きっと誰もがこの物語の続きを観たくなる筈。そんな魅力が本作の半分を占めています。
そして、残り半分の魅力は、やはりヒドゥンにあります。これだけ個性的、且つ魅力的に描かれたエイリアンっていないでしょ?
本作のようなB級テイストって、実はかなりの腕が無いと撮れない作品だと思います。仕上がりがB級なのではなく、B級の題材をA級に仕上げる腕前があるってスゴいこと。ジョン・カーペンター、クエンティン・タランティーノなんかがその第一人者ですが、本作のショルダー監督もその筋の者だと思います。
『ヒドゥン』は、SFも、ホラーも、アクションも、刑事モノも好きじゃないって方でも、気軽にご覧頂ける万人向けの娯楽作品です。
秋の夜長に是非どうぞ!!




























