ヒット作には続編がつきものです。前作のヒットを受けて製作された続編は、それなりの興行的成功が見込まれるものの、映画ファンから問われるのは作品の質です。
最低でも前作同様、あわよくばそれ以上のクオリティを求められるのは当然のこと。続編に対する観客の期待値が膨れ上がるほど、製作陣にかかる重圧・重責もその分大きくのしかかります。
しかも、それは進むべく道標も無い手探り状態での製作。例え本気で取り掛かった作品であっても、クオリティや評価が裏目に出てしまうのはよくあること。
世の中に続編作は数あれど、最も難しいのが初めての続編=パート2なのです。
ここではそんな逆境をものともせずに劇的成功を納め、且つ第1作を超えてしまった傑作パート2(で、尚且つボクが好きな作品のみです!)を紹介したいと思います!
ただし、例によってボクの独断と偏見によるリストアップです。「なんでこれが前作超えなんだよ」とか「何言ってんだコイツ」と思う方もいらっしゃるかもしれません!冷ややかな目でお付き合い頂ければ幸いです!
【史上最強のパート2作品】
※作品の年代順に記載
フレンチ・コネクション2
1975年 監督/ ジョン・フランケンハイマー
言葉の通じないフランスで孤軍奮闘するドイル刑事が魅力的。麻薬漬けの瀕死状態に陥ったり、寂しさからバーテンと酒を酌み交わす様など、刑事の悲哀も描いた。犯人を走り追いかける様を延々と映し続ける演出は当時斬新で、その後、北野武監督作品『その男、凶暴につき』などに影響を与えた。重量感溢れる活劇を観ればフランケンハイマー監督が撮った価値が十分に感じられる筈。『ブラックサンデー』と並ぶフランケンハイマー監督の代表作。
ゾンビ
1978年 監督/ ジョージ・A・ロメロ
(1968年)。
ホラー映画ファンのみならず、世界中の映画ファンから愛され続けているロメロ監督の最高傑作。ゾンビ、ホラー、アクション、そして社会派作品など多様性のジャンル映画でもあり、様々なオールタイムベストランキングでも上位にランキングされる事が多い。本作の大ヒットによって様々なゾンビ映画が今日まで量産され続けている。これほど息の長いホラーキャラクターは前代未聞。
スター・ウォーズ/ 帝国の逆襲
1980年 監督/ アーヴィン・カーシュナー
SF映画は苦手ながらも、本作のビジュアルと波乱万丈のドラマにはシビれずにいられない。重量級の迫力で迫るAT-AT戦、クラッシュするC-3PO、カーボン冷凍されるハン・ソロなど、興奮と衝撃のビジュアルが連続するが、なんと言ってもラストのダースベイダー戦は、映画史上最も衝撃的なクライマックスとして永遠に記憶される。
13日の金曜日 PART2
1981年 監督/ スティーヴ・マイナー
トム・サヴィーニの革新的な特殊メイクには遠く及ばないが、本作から登場するジェイソンの存在感とマイナー監督の演出力でグイグイ見せる。どこかファンタスティックな魅力を感じさせる夜の森には胸が躍る。これこそが第1作に勝る最大の理由と捉えている。
サイコ2
1983年 監督/ リチャード・フランクリン
ヒッチコック監督の伝説的名作にスプラッター要素を加味した現代風『サイコ』。徐々に狂っていくノーマンの恐ろしさを描く演出力と、おどろおどろしい館の見事な撮影はもっと評価されるべき。またヒッチコック的演出も随所に見られ、オリジナルへのリスペクトも忘れていない。そして、何より本作にはメグ・ティリーがいる!
ランボー/ 怒りの脱出
1985年 監督/ ジョージ・P・コスマトス
シリーズの最高傑作に留まらず、世界のアクション映画TOP10にすら数えられるべき作品。前作同様に反戦映画だが、アクション描写を前面に押し出し、後に続くシリーズの方向性を決定づけた。毎回異なる舞台での戦いが描かれるシリーズだが、本作のベトナムが特に出色。ゲリラ戦の面白さ、シリーズのアイコニック兵器となるコンパウンドボウの活躍も鮮烈。陸、川、空まで、ランボーが通る道はすべて戦場になる。
エルム街の悪夢2 フレディの復讐
1985年 ジャック・ショルダー
夢から抜け出したフレディが、現実社会で暴れまくる設定が不評を買った続編。しかし、特殊メイクの素晴らしさや、悪夢描写がシリーズで群を抜いており、ショルダー監督の手腕に惚れずにいはられない。ホラー映画の定石を破り、高校生男子を付け狙うフレディも妙な味わい。悪夢空間の深いトリップを味わえるのはこの『2』だけ。
エイリアン2
1986年 監督/ ジェームズ・キャメロン
前作の厳かで神々しい世界を一変し、戦争アクション映画に転身させたキャメロン監督。大胆なその改革は『エイリアン』ファン、そしてすべての映画ファンに熱狂で迎えられた。エイリアンクイーンの神々しくも恐怖に満ちたビジュアルは、『ゴジラ』を彷彿とさせる美しさ。最も成功した続編として映画ファンの心と記憶に残る。
悪魔のいけにえ2
1986年 監督/ トビー・フーパー
トビー・フーパーが監督として続投した作品だが、前作の豪速球的恐怖を封印し、まさかのコメディホラーとして制作された。賛否は割れるが、サイケデリックな美術とハイテンションのスラップスティックバトルは最高の盛り上がりを見せた。前作でほとんど見られなかった血しぶきは、本作で鬱憤を晴らすかの様にぶちまけられた。そして一番ヤバかったデニス・ホッパーの快演は、ホラーファンの間では伝説として崇められている。
ハスラー2
1986年 監督/ マーティン・スコセッシ
スコセッシ監督はその長いキャリアにおいて、稀にらしからぬエンタメ作品を発表しているが、その中での最高傑作。スコセッシが描く世界観とポール・ニューマンの演技によって、25年もの空白が完璧に埋められているという事実には驚愕する。ニューマン演じるエディの掘り下げ方は見事と言う他に言葉が見つからない。トム・クルーズ人気も相まって日本ではビリヤードブームが巻き起こり、続々とプールバーがオープンした。この『2』を観てから『1』に遡るのも面白い。トムクル主演で絶対に『3』を作るべき!
プロジェクトA2 史上最大の標的
1987年 監督/ ジャッキー・チェン
隠し芸大会のような妙技が全編を占めており、まさに見せ場の連続。前作のような大技より小技の数で勝負する本作は、繰り返しの鑑賞に人を誘う力がある。海賊、汚職警官との三つ巴の戦いでクライマックスになだれ込むパワーは圧巻の一言。前作でハロルド・ロイド、本作でバスター・キートンへのオマージュを捧げたジャッキーの映画愛も確かに伝わった。
死霊のしたたり2
1989年 監督/ ブライアン・ユズナ
怪物の花嫁が登場するというホラー映画の伝統を踏襲しているのが嬉しい。オーソドックスな怪奇色も良いが、本作の魅力は、なんといってもスクリーミング・マッド・ジョージのイカれた造形の数々。千切れた指に目玉をつけて歩かせたり、人間の頭にコウモリの羽をつけて飛ばすなど一体誰が考えようか。
暴走特急
1995年 監督/ ジェフ・マーフィー
前作の戦艦から、舞台を特急列車に変えた意欲作。列車内外をフルに使い、アクション映画の面白さを徹底追求した。セガールのマーシャルアーツを主軸に、『マッドマックス2』のようなアクション世界を構築。コミック的な面白さはシュワルツェネッガー主演作品『コマンドー』に匹敵する。
奇跡の旅2
1996年 監督/ デヴィッド・エリス
都会に暮らす野良犬達との縄張り争いから、敵対する集団の雌犬との恋を描き、前作よりエンタメ性を増した。主役犬であるチャンスが、ますます暴走する迷惑犬として描かれるも愛さずにはいられない。これ以降、エンタメホラーに特化したデヴィッド・エリス監督のセンスとスピリットが宿った唯一のディズニー作品。
共犯者
1999年 監督/ きうち かずひろ
前作では『スカーフェイス』のトニー・モンタナ風だったカルロスが、8年間の投獄生活を終え、クールなギャングとして帰って来た。敵の殺し屋兄弟に内田裕也と大沢樹生が扮し、無国籍風アクション映画として作品を盛り上げた。また、小泉今日子扮する幸薄い女性キャラクターの覚醒は、解き放たれた開放感に満ちており感動的。現代最高のハードボイルドアクション映画の担い手であるきうちかずひろ監督は、日本映画界の宝であると断言する。
ハンニバル
2001年 監督/ リドリー・スコット
ハンニバルに恨みを抱く大富豪メイスンの復讐劇と、FBI捜査員クラリスとの疑似恋愛のようなストーリーが交錯。メイスンの千切れた顔、人喰い猪、脳味噌ソテーなどのゴアシーンも多いが、本作の監督はリドリー・スコット。どのシーンも詩的な美しさに満ちており、極上ミステリーに仕上げている。個人的には『太陽がいっぱい』の空気に共通するものを感じており、本作は既に名画の域にあると断言したい。
デッドコースター
2003年 監督/ デヴィッド・エリス
オープニングのハイウェイ地獄絵図が圧巻。このシークエンスだけでシリーズの最高傑作と断言出来る。他にもガラスでの人間プレスや、ワイヤーでの胴体切断など、インパクトの強い人体破壊シーンが連続する。『マトリックス リローデッド』で第二班監督を務めたデヴィッド・エリス監督作品だけあって、アクション性がシリーズ中もっとも高く、娯楽性にも秀でている。
スーパーマンⅡ リチャード・ドナーCUT版
2006年 監督/ リチャード・ドナー
先に公開された1980年のリチャード・レスター監督作品『スーパーマンⅡ 冒険篇』も素晴らしいが、より好きなのがドナー監督のディレクターズカット版。コミック調に描かれたクリプトン星三悪人との戦い、ロイスとの淡い恋のバランスが心地良く、色褪せないワクワク感には素直にひれ伏したい。
アウトレイジ ビヨンド
2012年 監督/ 北野武
前作のシニカルな笑いよりも、ならず者達の怒号と暴力を最大級に押し上げ、エンタメ性を増した続編。キャラクターの妙が際立ち、加瀬亮、塩見三省、西田敏行らが特に眩い魅力を放った。最高にキマったラストシーンには、誰もが本作の続きを観たくなる筈。北野作品エンタメ部門での最高傑作。
ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ
2018年 監督/ ステファノ・ソッリマ
前作の元検察官アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)を主役に据えて製作された続編。麻薬カルテル同士の抗争を誘発する作戦など、黒澤明監督作品『用心棒』がベースとなったか。やがて訪れる絶体絶命のピンチや、まさかの展開などサスペンス色も濃くなった。タフなデル・トロがピンチに陥る展開には心底肝を冷やす。
蜘蛛の巣を払う女
2018年 監督/ フェデ・アルバレス
前作のヤバい主人公リスベットのキャラクターが修正がされ、クールなアクションヒロインへと変貌を遂げた。作品もダークでヘビーな作風からスリラーアクションへとシフト。姉妹の確執と数奇な運命を描きつつ、アクション要素もたっぷりの見応え十分な作品になった。とりわけ、壊れた橋で再会する姉妹のシーンは身震いがする程素晴らしい。
クリード 炎の宿敵
2018年 監督/ スティーヴン・ケイプル・Jr
前作の続編でありながら、1985年製作の『ロッキー4 炎の友情』の後日譚でもある為、ドラゴとその息子が登場する。ロッキー戦で敗北を喫したドラゴのその後の運命が露呈され、作品に緊張感と悲壮感が生まれた。号泣必至の衝撃的結末は主役のクリードを完全に喰った。前作を観るのも大事だが、『ロッキー4 炎の友情』を観ずに本作を鑑賞しては絶対にいけない。
トップガン マーヴェリック
2022年 監督/ ジョセフ・コシンスキー
前作で色濃かった青春・恋愛色を排除(卒業というべき?)し、活劇要素を強化した。続編公開までの36年という長い月日が、第1作の『トップガン』から連れ添って来たファンには、マーヴェリック教官を古い友人と感じさせた筈。アクションビジュアルは実写に拘るトムクルの面目躍如と言える会心の出来栄え。前作に引き続き社会現象となる大ヒットを記録し、映画史上稀に見る続編の大成功例となった。その勢いは留まるところを知らず、現在2023年アカデミー賞作品賞にノミネートされている。受賞なるか!?
好きなパート2を駆け足で振り返りましたが、大ヒット作の続編製作に挑んだ製作陣を改めて讃えてあげたい気持ちでいっぱいです!
続編には映画ファンの夢と期待が詰まっています。まだ世の中には続編が製作されていない名作がたくさんあります。偉大なるチャレンジに想いを馳せ、期待に胸を躍らせながら新たなるパート2の登場を待ちたいですね!
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