時に映画の悪役は、ヒーローが霞むほどの魅力を放つ事があります。いつの時代も、どんな作品も、映画を面白くするのは、実は悪役であったりもします。

悲劇から悪に転落した者。愛する者を守る為悪に身を染めた者。そして、生まれついての極悪人や悪魔、時には地球外生命体まで。

その意外な魅力が見えた時、また想像を超える極悪非道ぶりを見せつけられた時、我々観客はダークサイドに身を転じ、映画を楽しんだりするものです。

作品の印象を決定づけ、映画史に名を馳せた(というか完全なる偏見でボクの好きな)グレイトな悪役を紹介したいと思います!




【悪役ランキング TOP30】


◾︎30 赤兵衛  (内田裕也)

座頭市

ユニークな性分と破天荒ぶりで、映画を別次元に誘った。小判を持ち逃げする脱出劇と派手な最期は忘れられない。

日本映画界の宝だロケンロール!



◾︎29 マーラ・チェフィー (リンジー・ホーン)

光る眼

母親を睨みつける幼児期、少女期に見せる悪魔の笑顔。表情ひとつで人間心理を操り、全人類の大人を手玉に取る恐ろしさは『オーメン』のダミアン超え。

「私を裏切れないでしょ?お父さぁぁん」悪魔の微笑み
反乱軍リーダーを務める



◾︎28 伏見 (吉川晃司)

漂流街 THE BIOHAZARD CITY

このヤバい感じは内田裕也以来の胸騒ぎ。組事務所での瞬殺シーンで、吉川を好きにならない映画ファンはいない。

吉川晃司はもっとこの手の役をやって欲しい



◾︎27 ヒドゥン 

ヒドゥン 』

人間の体を次々に乗り換えるエイリアン。ハードロックとフェラーリ、そして人間の女性まで大好きという俗物性が愛しい。

大好きなハードロックで地球ごはん



◾︎26 

ファティマ・ブラッシュ (バーバラ・カレラ)

ネバーセイ・ネバーアゲイン

そのエキセントリックな性分で007シリーズファンから一目置かれている。女性回顧録のトップに、自分の名前を書かせようとするいじらしさは忘れられない。

フェロモンだけで人殺せそう
『カッコーの巣の上で』のラチェッド超えな恐怖看護婦


◾︎25位 秋山レイカ (石川梨華)

スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ

生意気で、高飛車で、可愛くて、そして切ない。本作をアイドル映画と思って観ていない人は、そこそこ人生損している。可憐、脅威、憂いを演じ分け、抜群の存在感を示したアイドル石川を女優として正統評価したい。

アイドル顔から死んだ魚の目まで!
クライマックスのコスチュームで爆アガリだ!



◾︎24 ベニー・ブランコ (ジョン・レグイザモ)

カリートの道

麻薬界のケチな成り上がり者。店の支払いを渋ったり、女を巡っての小競り合いを見せる小者ながら、本作で最も印象深い。

頼むからベニーのその後を撮ってくれ!



◾︎23 久松茂 (鶴見慎吾)

GONIN

少ない出番ながら鶴見のイメージを覆す役どころがハマり、そのインパクトは絶大。リアルな卑劣ヤクザ像がハマった。

座って喋んじゃねェ!!」の第一声にシビれます


◾︎22 伊達邦彦 (松田優作)

野獣死すべし

松田が創り上げた伊達邦彦像には、原作者大藪春彦が困惑したという逸話が残るだけあり、そのインパクトは絶大。列車シークエンスに松田の狂気が集約されている。

松田はこの長いシーンで一度もまばたきをしていない
観ているこちらの心臓にも悪いロシアンルーレット



◾︎21 間宮邦彦 (萩原聖人)

CURE

錯乱させられるのは刑事役の役所広司だけではない。観ている側も実は間宮に操られているのではないかと思わせられる。その不敵さは『羊たちの沈黙』のレクター博士を超えた。

知らぬうちに誰もが操られている!



◾︎20 

サイモングルーバー (ジェレミー・アイアンズ)

ダイ・ハード3 』

一作めの『ダイ・ハード』に出演した兄ハンス同様にインテリだが、現場の最前線で見せるタフネスが最大の魅力。

髪型、ファッション共にステキだ!



◾︎19 

フレディ・クルーガー (ロバート・イングランド)

エルム街の悪夢フレディの復讐

残虐性はシリーズを通してもこの第2作が突出している。鉄の爪がグローブではなく、指から生えたビジュアルも雰囲気。プールサイドでの大殺戮が真骨頂。

シリーズを通して最もダークなフレディ
主人公の体を乗っ取り現実空間に登場



◾︎18位 マディソン・リー  (デミ・ムーア)

チャーリーズ・エンジェル フルスロットル

本作を観た誰もが、エンジェルとして活躍するマディソンの姿を夢想したはず。それ程ムーアが創り上げたエンジェルOGは美しく、また危険な魅力に溢れていた。

その美しさには現役エンジェル3人も霞む??


◾︎17 中田勝久 (塩見三省)

アウトレイジ ビヨンド

北野武との怒号の応酬で一躍作品の顔となった。これぞヤクザという塩見の意外な凶悪顔に気づいた北野の面目躍如。

この方以上に浅く座る方を見たことがない



◾︎16 

ヒューゴ・ドラックス (マイケル・ロンズデール)

ムーンレイカー

すべての地上生物を抹殺し、地球再構築を目論む007シリーズ最強の誇大妄想狂。生真面目で神経質であるが故に、ボンドには終始イライラしている。

終始この表情が緩むことはない



◾︎15 

エレクトラ・キング  (ソフィー・マルソー)

ワールド・イズ・ノットイナフ

007シリーズにおいて、エレクトラほどボンドを精神的にいためつけた悪役はいない。ボンドの古傷を弄んだ稀代の悪女。

実はストックホルム症候群
一番の武器はウルウルな瞳ですけどね


◾︎14 上原 (北野武)

3-4x10

『ブルーベルベット』のフランク・ブースを彷彿させる理不尽で破天荒なキャラクターは、北野のダークサイドか。その存在感で作品の空気を完全に支配した。

数ある北野作品で一番の危険人物
渡嘉敷勝男とのコンビネーションが最高


◾︎13 エディ・クイスト (ロバート・ピカード)

ハウリング

狼への変身前でありながら、既に野生味に溢れている。ポルノショップ試写室でカレンに囁くシーンで、ホラー界のセックスシンボルに認定されていいかも知れない。

変身前でこれだけのインパクト



◾︎12 石原秀人 (加瀬亮)

アウトレイジ ビヨンド

前作『アウトレイジ 』でのクールなインテリヤクザから、キャンキャン吠えるスピッツ系ヤクザに転身。卑劣な手段で出世しイキがる様にゾクゾクさせられる。

くっそ生意気な面構え!サイコーだ!


◾︎11 マイケル・マイヤーズ 

ハロウィン

アイドル的人気を博す殺人鬼が溢れるホラー界で、スーパーナチュラルなその存在感は唯一無二。マスクの奥に潜む澱んだ瞳は決して光らない。マスクの中には死人がいるのではないかと思わせる



◾︎10 佐藤浩史 (松田優作)

ブラック・レイン

このハリウッド大作で誰よりも輝いた松田。その極悪非道な凶暴性とカリスマ性に誰もが酔いしれた。これが悪。

日本にこんな凄えヤツがいたんだ
『ダークナイト』のジョーカーに影響を与えたと密かに思っている


◾︎9 フランツ・サンチェス(ロバート・デヴィ)

消されたライセンス

007シリーズにおいて裏ボンドと呼べるダンディズムとカリスマ性を持つが、裏切り者に対する粛清は容赦無く残虐。

そしてボンドよりもオシャレだった


◾︎8 

ミランダ・フロスト (ロザムンド・パイク)

ダイ・アナザー・デイ

007シリーズ最大の悪女。その優れた知性、能力は、ボンドだけでなく国家すら欺く。歴代悪女でも異例と言う程多くの見せ場が作られた。

善と悪の顔がコロコロ変わる。騙されてもいい!



◾︎7 T-800 (アーノルド・シュワルツェネッガー)

ターミネーター

ターミネーターはこうあるべきと、いつまでも声を大にして言いたい。任務完了まで続くしつこさと恐怖は人類の脅威。この衝撃が体験できるのは『1』だけ。

ホントに怖かった『1』が恋しい
ここからもマジ怖かった



◾︎6位 ドクター・ノオ (ジョゼフ・ワイズマン)

ドクター・ノオ

のちに登場する007最大の敵、ブロフェルドの原型がドクター・ノオにある。洗練された物腰と冷酷さが混在する姿は人間離れしており、どこかSF的な魅力がある。

悪ボス像に与えた影響は大きく、もっと評価されるべき



◾︎5 エルダー・ギリヤーク  (内田裕也)

共犯者

触れるだけで相手を殺す事が出来る凄腕の殺し屋…というよりもはや死神。風貌といい、腕といい、その強烈な存在感で死の匂いを漂わせる事の出来る内田は凄い。

この姿ですよ!死神か宇宙人!マジカッコいい
弟役はジャニーズ大沢樹生だ!



◾︎4 THE THING

遊星からの物体X

見えない恐怖と、そのとんでもない正体で人類をパニックに陥れた。1982年の作品だが、人類は未だこのビジュアルを超える衝撃に遭遇していない。

どのモンスターにも名前がつけられる程の支持を得た
おそらく一番人気のスパイダーヘッド


◾︎3 チョップトップ (ビル・モーズリー)

悪魔のいけにえ2

その外見に劣らない賑やかな気性で、主役のレザーフェイスを押し退けた。どの場面もハイテンションで駆け抜け、ユーモアと非力なバイオレンスで作品を彩った。

MUSIC IS MY LIFE !!

ヒッピーファッションも最高だ!



◾︎2 スワン (ポール・ウィリアムズ)

ファントム・オブ・パラダイス

悪魔と契約を交わした音楽業界の怪物。度を超えたサディスティック描写が全編に迸る。関わる全ての者を裏切り、蝕む非道ぶりをウィリアムズが怪演。

この役の為に生まれて来たのかポール
さあサインしろ。さあ魂を売れ


◾︎1 奥田右京亮 (真田広之)

必殺恨み晴らします

悲劇から生まれた悪魔の奉行。封印されたミステリアスな過去を紐解く恐ろしさと、クライマックスでの豹変、華麗でダイナミックな殺陣は必殺シリーズの枠を超えた。

美貌、気品、豪腕、そして非道
小姓たちの悪魔ぶりも素晴らしかった


好きな映画のキャラクターを振り返ってみると、ヒーローよりも悪役の方が断然多いことに気づきました。行き着く先は棺桶と決まっている悪役たち。フィルムノワールでない限り主役になれない悪人たちですが、その分命を燃やし尽くす潔さが時に輝いて見えたりもするのです。
幅広く支持されている有名ヴィランの登場が少なく、「誰だよこいつ」「なんだこの記事」と思われた方すみません。死んでいった名も無き悪人の供養と思いお許しください。そして、紹介した悪役、作品に関心を寄せて頂ければ、地獄に堕ちたヤツらにとってこれ以上の喜びは無いと思います。