衝撃!!マジ衝撃!!
1967年 監督/ ジャン=ピエール・メルヴィル
この作品レビューを投稿していいのか…。興奮しすぎている今、何も書ける気がしないのです…けど書きます。
この映画のタイトルだけは知ってましたけど、妙にカッコつけたアラン・ドロンが、"己に酔いまくったハードボイルド映画でしょ?"くらいにしか思ってなくて、たぶん一生観ないだろうと思ってた作品なんです(ハードボイルド苦手だし)。しかも、タイトルの『サムライ』ってなんだよ!?サムライの事分かってんのかよ(と、サムライをよく分かってないボクが言います)とかちょっと小馬鹿にしていたのですが…
いや、神レベルですごかったです
まず、この映像の美しさは尋常じゃないですよね?コレ1967年の作品ですよ?DVD化にあたってリマスター、リストアしたってレベルじゃなく、この時代にこれだけ綺麗に撮れる技術とか撮影機材とかってあるの?
撮影したのはアンリ・ドカエという方。ググってみたら、『死刑台のエレベーター』『太陽がいっぱい』の撮影監督ですか!これには納得!ブルーを基調にしたものすごく美しい映像がマジ圧巻です!今回レンタルDVDで観たけど、コレは是非Blu-rayで観直したい!買おうっと。
この作品、開巻からなんと9分間セリフがありません!人を映していないんじゃないんです!登場人物のやりとりがしっかりあります!で、物語もきちんと進んでいます!以後も状況説明のためのセリフはバッサバッサ削がれてますが、音楽が代わりに語ってくれます!そんな映像の面白さにグイグイひっぱられますよ!マジ圧巻!
主人公の殺し屋ジェフ・コステロを稀代のイケメン、アラン・ドロンが演じ、女性ピアニスト、ヴァレリーをカティ・ロシェ、運命に抗いジェフに寄り添う女ジャーヌを当時のアラン・ドロン夫人ナタリー・ドロンが演じ、シビれるドラマとシビれる映像の連打でボッコボコにされます
【この映画の好きなとこ】
◾︎オープニングタイトル
アパートの一室でタバコを燻らすジェフを延々と捉えただけの映像だけど、波音のように車が弾き奏でる雨音のリフレイン、小鳥の寂しげな鳴き声、そして突如めまいのように歪み始めるカメラワーク!!
◾︎ヴァレリー (カティ・ロシェ)
物語を、そして主人公ジェフをめっちゃ揺さぶるナイトクラブの女性ピアニスト。もう一目でスターオーラにやられます!
◾︎デキる飼い鳥
部屋に盗聴器を仕掛けられたジェフの部屋。異変を知らせるかのように泣き続ける小鳥に、何かを察知するジェフ!うまいなあ。
◾︎尾行
ジェフをマークする警察の尾行班。三者三様のキャラと連携プレーで、映画的ダイナミズムに溢れた名シークエンス!
◾︎ガレージの男との別れ
盗難車のナンバープレートを付け替えたり、拳銃などの備品を渡すジェフの協力者。"最後の仕事"と告げられたジェフが、ガレージの男を見返すその目に宿る仄かな慈しみにマジでグッときます!
◾︎フランスいちの別れ
ジェフに想いを寄せるジャーヌと"別れの言葉無き別れ"。最後であろうとお互いが察知、見つめ抱き合うシーンがもう凄いのなんのって!!
◾︎最後の仕事
三たび訪れたナイトクラブで迎える最後の仕事、そして幕引き。拳銃に込められた弾は誰を撃つのか…。
ストイックなまでの生き様と美学世界を創り出したのは、ジャン=ピエール・メルヴィル監督(脚本も書いてます)。罪を背負い生き抜いた男の終焉を描く"大"を1,000回くらいつけて呼びたい傑作です!
初見でしたが3日連続で計3回鑑賞しました!こんな凄い作品は、ボクの生涯ナンバーワン作品である北野武監督作品『ソナチネ』に匹敵するレベルです(『ソナチネ』は、一日に4回連続鑑賞した事が4回あり、これまでの鑑賞回数は100回を越えています ← 大好きアピール)
『サムライ』の余波
本作に影響を受けた作品は数知れぬようです
主な作品を以下にザッと挙げてみます!
(Wikipedia調べ)
ザ・ドライバー
1978年 ウォルター・ヒル監督
処刑遊戯
1979年 村川透監督
狼/ 男たちの挽歌・最終章
1989年 ジョン・ウー監督
ソナチネ
1993年 北野武監督
ゴースト・ドッグ
1999年 ジム・ジャームッシュ監督
ユー・シュート、アイ・シュート
2001年 パン・ホーチョン監督
ドライヴ
2011年 ニコラス・ウィンディング・レフン監督
映画以外では、沢田研二1978年のヒット曲『サムライ』作詞/ 阿久悠
こちらも本作品の影響をモロに受けて作られたそうです
サムライインスパイア作品こちらも