ヒッチコックへの敬愛も含めた、デ・パルマサスペンスの集大成的ハイテンション劇場!

1984年 監督/ ブライアン・デ・パルマ

ブライアン・デ・パルマという映画作家のフィルモグラフィを振り返ると、3割強がサスペンスジャンルで括られている事がわかります。サスペンス映画の父、アルフレッド・ヒッチコック監督を敬愛しているのだから当然なんですけど。

本作は、彼のキャリアに於いてサスペンス映画の最高峰と位置付けられる『殺しのドレス』『ミッドナイトクロス』を放ち、ハリウッド大作『スカーフェイス』を撮り終えた直後に、自身のプロデュース、脚本、演出で撮りあげたサスペンス映画です。
これまでにも、自身の作品で幾度となくオマージュを捧げて来たアルフレッド・ヒッチコック監督の傑作『裏窓』『めまい』をベースに、小さな話を渾身のデ・パルマ力で膨らませています!しかし、デ・パルマフリークであるボクでさえ一瞬躊躇してしまう、この独特で妙な味わいはなんだろう…。それまでのスタイルを進化させた、神々しいほどの変態劇場が繰り広げられているのです!!それまでのデ・パルマファンは付いてこれるのか!?
しかし、この感触『ファントム・オブ・パラダイス』寄りじゃないですかね?集大成ですもん、こういうのもアリでしょう!うん、アリでしょう!
ハジけたキャラクター多数!目眩くデ・パルマワールドを堪能しましょう!特に主人公ジェイク、まともなようでいちいち救いようのない変態ぶりを晒してます。ま、その辺も含め、まるっと愛してあげてくださいね!


【この映画の好きなとこ】

◾︎ヒッチコック作品への傾倒ぶり
本作のメインキャストに、ヒッチコック作品で有名な女優ティッピ・ヘドレンの娘、メラニー・グリフィスを起用するあたりもたまんないス。
しかもこんなカッコさせちゃう

◾︎尾行
美女グロリアを尾行するジェイク。相変わらずとことん尾け回します!デ・パルマのフェチぶりが画面から伝わります。
しかしジェイク尾行ヘタ…
近すぎるって
堂々と見すぎだって

◾︎ネイティブ・アメリカンの男
グロリアを付け狙う謎の男。見てくれがいいなあ!こういう謎めいたキャラがいると引き締まりますよねー。
この人が出てくるとワクワクします

◾︎トンネル
グロリアのバッグを奪ったネイティブ・アメリカンを追うジェイク!
颯爽と追うジェイク!がんばれ!
トンネルで追いつくも…あ!ボク閉所恐怖症だった!
ヒッチコック監督作品『めまい』へのオマージュでありながら、デ・パルマ独自の進化を見せたシーン

◾︎目撃
いつものように夜な夜なグロリアの部屋を覗くジェイク。しかし、なんとあのネイティブ・アメリカンが部屋に潜んでいるじゃないか!!緊迫感に満ちたデ・パルマのお家芸!
うしろ!うしろ!!

◾︎Relax   
ジェイクが訪れたポルノ男優オーディション会場を描いた80年代MTV風シークエンス。楽曲"Relax"FRANKIE GOES TO HOLLYWOODのメンバーが出演し唄います!この曲大好きなんすよ!


◾︎ジェイクの謎解き
"あのネイティブ・アメリカンは、役者仲間サムに雇われている"という仮説を立てたジェイクが警察に陰謀説を唱えるシーン。金を渡すサムの姿が、ネイティブ・アメリカンのサングラスに写り込むシーンがカコイイんだけど…実はこのシーン…。
絶対あなたも騙される

◾︎貯水池
クライマックスが貯水池ってのもデ・パルマらしくていいですね!いかにも胡散臭く怪しい雰囲気が最高です!
車に乗り込んだホリーに背後から迫る危機!
ホリーが生き埋めに!
うおーーーーーーーっっ!!

ひどい変態ぶりにポカンするか爆笑します!ツッコミどころも満載で、主人公ジェイクは紙一重のキャラクターを巧く演じてます(演技だよね?)
デ・パルマ作品の登場人物には、どうしてこうもラブリーメンが多いのだろうか。犯人捜し的な設定は、やや時代を感じさせるけど、なによりもお祭り感ある作品です!デ・パルマ祭りですよ!

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