デ・パルマフリークの為の映画②

1992年 監督/ ブライアン・デ・パルマ

『アンタッチャブル』で世界的大成功を収めたブライアン・デ・パルマが、『カジュアリティーズ』『虚栄のかがり火』というハリウッド大作を連続で撮っていた時、ああ…もうサスペンス映画は撮らなくなっちゃったんだなあ…と嘆き悲しんでいた1992年。まさかのサスペンス映画復帰に狂気しましたよ!しかも、相変わらずアルフレッド・ヒッチコック監督作品へのオマージュたっぷりの濃いヤツですよ!『サイコ』の二重人格をベースに、主演のジョン・リスゴーが4人の多重人格者を怪演しております!
もう全力で"デ・パルマおかえりー!!"

脚本の粗さは目立つものの、それを上回る"これぞデ・パルマ"的な目眩くショット、編集の連打にマジ打ちのめされます!コレはもう『ボディ・ダブル』に続くデ・パルマフリークの為の映画です!

キャストも、デ・パルマ作品出演歴のあるジョン・リスゴー(『愛のメモリー』『ミッドナイトクロス  』)スティーブン・バウアー(『スカーフェイス』)グレッグ・ヘンリー(『ボディ・ダブル』)らが帰ってきました!そして要はやっぱりこの方!音楽のピノ・ドナッジオ!!デ・パルマ作品は、ピノ・ドナッジオの音楽じゃなきゃイヤなんです!
役者が揃って第2回デ・パルマ祭りスタートです!!


【この映画の好きなとこ】

◾︎バレンタイン
バレンタインプレゼントにアラームをセットした時計を、元彼ジャックが泊まるホテルの引き出しに隠すジェニーがかわいい。
そーっと
気づいてね

◾︎あの日の病室
ジャックに恋心を抱いた医師時代のジェニー。ジャックの妻が末期癌で昏睡に陥っている時に2人はキスをするんだけど、その時昏睡から覚めたジャックの妻と目が合う!劇中最も衝撃的なシーン!
うしろ!!!!編集も凄ければ音楽もスゴい!

◾︎『サイコ』オマージュ
オマージュというか完全な再現ですね。違うのは、車に乗せ湖に沈めた死体が息を吹き返すところ!デ・パルマ流ですね。
夜が明けるサスペンス演出も効果的
ああ…

◾︎『殺しのドレス』オマージュ
自身の作品『殺しのドレス』の緊張感漲るシーンを再現!これファンには堪らないです!
こわい…

◾︎エレベーター
ジェニーが乗り込んだエレベーターに別人格となった夫カーターが!息詰まるスゴい演出。
夫だけど女性になってる…顔を隠してるとこがまた怖い
ゴクリ…

◾︎クライマックス
誘拐されたエミーを取り返しに、カーターの父ニックス博士を訪ねたジェニー。雷雨の中で迎える怒涛のクライマックス!
今助けるからね
ニックス博士の背後に忍び寄るマーゴ…こわい
ニックス博士の手からエミーが落下!
オーマイガーッ!!
下でキャッチしようと間合いを取るジャックの喉元に…

ここ『アンタッチャブル』の階段落ちを彷彿させる最高の見せ場です!!是非本編で!

◾︎エピローグ
エミーを取り返したジェニーの笑顔で幕…としないのがデ・パルマ。
サスペンス映画ですけど、ブラックユーモアもたっぷりです!ブラックユーモア利かせるって珍しいなと思いつつも、ああ、デ・パルマの初期作品はわりとそんな味付け多かったなあと遠い目になりました。『ブルーマンハッタン』『悪魔のシスター』『ファントム・オブ・パラダイス』この辺りがそうでしたね。
小粒ながらも小技大技が炸裂する、デ・パルマファン感涙の作品です!作品としての質、完成度よりもとにかくエナジー溢れんばかりの映像の数々に酔いましょう!
新作『DOMINO(原題)』はどんなだろ。早く観たいなあ…

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