森の中にちいさな命が灯りました。
小さなちいさなかわいい芽。
まだ柔らかくてしなやかな一本の木が生まれました。
ぼくは大きくなったらどんな木になるのかな。
大人たちのようにりっぱな木になれるのかな。
ぼくはなんの木なんだろう。
モミの木かな。
カエデかな。
賢い樫の木かしら。
そう小さな木は考えていました。
来る春も
来る夏も
行く秋も
行く冬も
いつもいつも考えていました。
だけど何度の春がきても
何度の夏が来ても
秋が何度めぐっても
冬が何度別れを告げても
小さな木は小さな木のままでした。
小さな木は悲しくなりました。
小さな木はもう一生小さな木のままなんだと思ったのです。
小さな木の小さな泣き声は広いひろい森中に木魂しました。
ある晩のこと
空の窓からまぁるいお月さまが小さな木をのぞき込んでいました。
そしていいました。
キミはどんな木になりたいのかい?
なんでも知っている森の賢者のような木かい?
遊び疲れた森の仲間をそっと木蔭で抱きしめてあげたいの?
それともいつも泣いている泣き虫さんの木になりたいのかな?
キミはどんな木になりたいの?
ボクは・・・。
ボクは・・・。
ボクはあったかい、やさしい木になりたいんだ。
みんながボクを見て夢や希望を話してくれるような。
みんなと一緒に歌をうたうたのしい木になりたいんだ。
お月さまは楽しげに笑いました。
ねぇ。
気づいてるかい?
キミはなんの木かい?
気づいてるかい?
キミの体をちゃんと見てごらん。
ちゃんと見てごらんよ。
小さな木がふと見ると
ちいさな木の周りには無数に光る
光の珠が実っていました。
それはキラキラと輝いていました。
さわってみるとほんわりとあったかいぬくもりでした。
キミはこれからね。
ここにやってきた人たちに
出会った人たちに
その実をひとつずつ渡すんだよ。
どの実が誰の実なのか
それはキミにならわかるよ。
そしてどの実が必要なのかはやってきた人がちゃぁんと知っている。
キミは手渡すだけでいいんだ。
キミは夢の木だよ。
みんなの夢が実となってキミに宿るんだ。
いろんな夢の実を大事に守っておあげ。
旅人は必ずその実を受け取りに来るから。
それまでキミが守っておあげ。
夢が夢で終わらないように。
1/23(月) 16:39
新月を迎えます
☆
今日は新月だな・・・って思ったらふと思い出して
去年描いた記事を再アップしました。
天の木ってあると思う?
そこにはみんなの夢がいっぱいなってるの。
あなたがふと思うと、天の木はすぐに実をつける。
たわわに実ってあなたがもぎに来るのを待ってるの。
万有引力の法則で落ちてくるのをじっと待つのもいいし、
さんぽがてらもぎに行ってもいいし、
こりすみたくよじよじ木に登ってもぐもぐ食べてもいい。
あなたが思っただけで、
天の木にはあなたの夢の実がなるんだよ。
ほんとだよ。