その花が咲く木を
人はなんと呼ぶのでしょうか
たとえその名を呼ばれることがなくても
たとえその花を喜ぶ人がなくても
その木はいつの日も一本の木で
その木はどの春も花をつけます
その木がなんと呼ばれる木なのか
月は知りませんが
月はその木を毎夜訪ね
春になると花を愛でるのです
どこにいてもあなたはあなたで
たとえ名がなくたってあなたはあなた。
あなたはただそこに咲いていて。
あなたはただそこに生きている。
そしてそれを愛しいと見つめているだれかがいる。
あなたの木陰でやすらぐ誰かがいる。
あなたの花を楽しみにしている誰かがいる。
あなたを生かす絶え間ない力が満ちている。