源氏物語(二十三)初音 あらすじ

 

 新年を迎え、六条院の人々はうららかな新春を過ごしていた。明石(あかし)(きみ)から、明石の姫君へ新春の祝いの手紙が届き、光源氏は幼い姫君に直接返事を書かせるのであった。

 源氏は六条院の女性たちを訪ねる。花散里(はなちるさと)は、姿は衰えたものの穏やかな気質は変わらない。(たま)(かずら)は今を盛りの美しさである。明石の君の娘を思う心と聡明な美しさに惹かれて、源氏は新春の第一夜をここで過ごす。翌朝、源氏は懸命に紫の上の機嫌を取るのであった。

 二条の東の院で末摘(すえつむ)(はな)の気の毒な様子に源氏は嘆息する。一方、空蟬(うつせみ)は尼らしくつつましやかに暮らしていた。(おとこ)踏歌(とうか)という男性の歌や舞が六条院で行われ、源氏は夕霧(ゆうぎり)の歌声のよさを褒め、親らしく喜んだ。

 

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ひきつづき『源氏物語』を。

 

第二十三帖「初音(はつね)」は、新春の豪華絢爛な光源氏たちの暮らしぶりが描かれた華やかな帖です。

 

あらすじと試聴は、こちらをどうぞ↓


http://www.digigi.jp/bin/showprod?a=66649&c=2048

 

 

以下の文章を朗読しているのですが、それがしっかりと描かれている絵がありました。 

 

 


 姫君のいる座敷のほうへ行ってみると、童女や下仕えの女が前の山の小松を抜いて遊んでいた。そうした若い女たちは新春の喜びに満ちたらったふうであった。北の御殿(おとど)からいろいろときれいな体裁に作られた菓子の髭籠(ひげかご)と、料理の破子(わりご)詰めなどがここへ贈られてきた。よい形をした五葉の枝に作り物の鶯(うぐいす)が止まらせてあって、それに手紙が付けられてある。

 

 

 

 

 

本当に描写どおりなので、とてもおもしろく、この絵を見ました。

 

 

「北の御殿(おとど)」とは明石の君のことで、光源氏と紫の上のもとで育てられている娘・明石の姫君に新春の贈り物を届けたのです。

 

 

会えない娘を思い、せいいっぱい心を尽くして、手紙にもうぐいすの作り物を添えたりして・・・母親の思いの深さがうかがえます。

 

 

 このうぐいすに着目して、与謝野晶子はこの帖の冒頭の歌を詠んでいます。

 

 

若やかに うぐひすぞ 啼く 初春(はつはる)の 衣(きぬ)くばられし 一人のやうに  晶子

 

 

 新春に鳴くうぐいすの声は若々しく晴れやかで、光源氏から新春の衣装を賜った女性たちのように、このうぐいすにも美しい衣装が授けられたよう・・・まさに「初音」という巻名にふさわしい歌だと思います。

 

 

 そうそう、前回から登場した玉鬘(たまかずら)は六条院の西の対に住み、すっかりなじんで暮らしています。華やかで派手な美人である玉鬘に、光源氏はこれから煩悶していくことになるのです。

 

 

華やかな貴族の暮らしにひたりたいときは、第二十三帖「初音」がおすすめです。

 

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与謝野晶子訳『源氏物語』 全五十四帖  

朗読:岡崎弥保

 

 

 

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