●概要
・物流、発送対応、金融、販売、小売業の全てを網羅し、そのどれもが独立し、確固たる地位を確立している(確立しようとしている)。さらに他社のサービスまで請け負う恐ろしい企業だ。しかも利益は全て投資に回している。数年以内に日本の同業者は間違いなく淘汰される。消費者にとっては嬉しいが、日本はAmazonに侵食されて貧しい国になっていくのではないかと懸念される。
●詳細
Amazonを使い始めて10年ほど経つとが、ここまでの仕組みを持つ企業だとは思わなかった。
確かに、送料無料の仕組みや、定額で動画が見放題のサービスがどのように運営されているのか気にはなっていたがこの本を読んではっきりした。
独占禁止法に引っかからないのだろうかとも思うが、要は、物流倉庫に投資し、出店企業の物流の面倒も見ることにより、ライバル企業を淘汰して顧客を囲い込んでいるのである。ライバル企業の淘汰は出店企業の売れ筋商品をより安く提供することでも行なっているから徹底的である。
ただ、こう書いてしまうと悪い印象だが、消費者にとってはありがたいとしか言いようがない。何より安く商品が買えるのだから。日本の企業の場合、同じように最初は安くして囲い込みを行うサービスを行う企業もあるが、地方に住んでいるからか、品質の悪さが特に気になる。ソフトバンクやワイモバイルで携帯やWifiサービスをお得に契約したものの、繋がりが悪い。10年前にも同じようにソフトバンクを契約したが、ドコモに戻したが、最近になって、いいかげんよくなっているだろうと思って契約したが、最悪だ。楽天モバイルも気になっているが、同じだろうか。その点、Amazonの囲い込みは、利益を投じて行なっているとのことなので、この先も便利なサービスが安く利用できるのだろう。まぁソフトバンクと比較するのは違う気がするが、日本の大企業の多くがAmazonに淘汰されて、下請けの中小企業しか残っていかない未来が見えた気がする。
目から鱗の内容が満載だったので以下に主な内容を記載する。
<全体>
・新しい事業を立ち上げるときに、赤字覚悟で投資をいとわない
・トップが自らコントロールせずに現場に裁量を与えることで、事業部が本社の判断を仰がずに素早い意思決定ができる
・楽天の収入は場所貸し、Amazonの収入は自社商品の販売。楽天は価格が安くならないが、Amazonは物流網と倉庫を持っているので大量仕入れができるので価格が安くなる。
・Amazonに対抗できる企業はCCC。書店とカフェと家電を融合。CCCが経営するGINZA SIXでは日本刀や武士に関するコーナーがあり、スタバでコーヒーやアルコールを飲みながら書棚の本が読める。
・97年の上場以来、株主に配当を支払ったことがない
・ベゾスはキャッシュフロー経営を重視している。
いいキャッシュ・・・健全に売り上げが増えている、設備に投資したからキャッシュが減る。
悪いキャッシュ・・・借金をした結果キャッシュが増えている、売り上げが悪いからキャッシュが減っている。通常、貸借対照表(何に使ったか)、損益計算書(ある期間でどの程度儲かったか、損したか)は最終の金額だけ書くから、キャッシュの質がいいか悪いかわからないし、帳尻があっていればキャッシュの質が悪くても構わない。
・Amazonの売り上げの6割は小売、2割はマーケットプレイス手数料、AWS1割、会員費0.5割
・アマゾンエフェクト:アマゾンにより、企業の消滅、産業そのもの消滅、全く新しい産業の勃興(自社で物流を構築)
・空飛ぶ倉庫の構想(飛行船)。飛行船からドローンで各家庭に配達する仕組み。既に特許を出している。
<AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)>
・企業にサーバーを提供。自社でサーバーを調達すると、銀行の場合数千億円になる。AWSを使うことで、コンピューターの減価償却費や電力コスト、メンテナンスなどの人件費を抑えることができる。
・日常能力の倍以上のサーバーを持っているのでダウンすることがない。
・CIAが顧客。日本でも日立、キャノン、麒麟、ファーストリテイリング、三菱UFJ銀行などが導入。
・営業利益率がAmazonのサービスの中で最も高い。約25%(日本の上場企業は7%程度)
・クラウドの世界シェア35%2位のマイクロソフトは13%
・AWSに電力供給するために再生エネルギーに参入。
・クラウドサービスは熱量が高いため、寒冷地に建設される傾向
・1GB0.23ドル
・仮想通貨の需要増→売り買い等のデータが正しいか第三者が検証(マイニング)→膨大な電力必要→電力会社がマイニングを始めるかも
<FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)>
・2018年国内物流倉庫15箇所
・商品の保管、注文処理、出荷、決済、配送、返品対応まで全てアマゾンがまとめて代行してくれる。
・月額固定費がない。発生するのは、商品の面積や日数に応じた在庫管理手数料、配送代行手数料のみ。
・自分のページにプライムマークを表示できる。(当日・翌日に届くことを示すマーク)
・FBAを利用した約8割の店舗で売り上げが増えている。
・輸出したい国のFBAを利用することが可能。Amazonが全て代わりに輸出してくれる。欧州ではこれまでの購買データから予測し、商品を欧州7カ国・計29カ国の倉庫に自動的に分配する。
・Amazon以外のサイトで売れた場合も、出荷をAmazonが代行してくれる。
<マーケットプレイス>
・アマゾン以外の外部事業者が出品できるサービス。楽天と違うのは支払いがAmazon経由。消費者の購買情報を把握できるメリット。消費者は見ず知らずの企業にクレジット番号を知らせなくていい。
・アマゾンは購買情報により、売れ筋商品を自社で仕入れ、直販で取り扱いを始めることにより、どこよりも低価格で商品を提供できる。これをシステムで機械的に判断している。中小企業は採算度外視の価格設定にせざるを得ない。これによりライバルを潰していく。
<SWA(シッピングウィズアマゾン)>
・自社以外の配達サービスを提供。トラックの空きスペースに他社の荷物を積み込む
・日本で自前の物流を持たないのは、単価に比べて提供するサービスが高いから。そうでなければ自前化する
・ヤマトにとっては薄利多売事業。当日配送から撤退。
・倉庫内ではKIVAと言うロボットを活用。従業員が何時間もかけてやっていたピッキング作業を数分でやれるようになった。倉庫内はフリーロケーションシステムで、どの棚にどんな商品をおいてもいい。kivaが全てピッキングしてくれる。
・出版業界は通常、卸を通して仕入れることがルールになっているが、アマゾンは、在庫がなかった場合に、直接発注を始めた。2018年からは在庫あるなにに関わらず、新刊や雑誌を直接受け取る体制を強化した(中抜き)。出版社も在庫不足の期間を短くでき、機会損失を防げる。
・書店の取り分は販売額の2割。万引きロスが1.41%ある。書店の営業利益率は0.11%。ECサイトは書店の10倍利益を上げることができる。
<アマゾンレンディング>
・法人事業者向け融資サービス
・出品者に資金の貸付を行なっている。
・融資は決算書ではなく、マーケットプレイスを通してえたデータ分析に基づいている。
・融資の提案前に審査を終えている。
・融資を望んでいなくても自動的に通知がくる。
・申込後24時間以内に資金が借りられる。融資額は10万円〜5000万円。最大12ヶ月返済期間。
・金利は年率6〜17%と銀行より高いが面倒な手続きから解放されるため、借りる人が多い。
・倉庫の在庫を支払いまで差し押さえることができる。
<アマゾンゴー>
・カメラとセンサーを設置して支払いまで全自動にするシステム
・この仕組みをスーパーなどでライセンス販売することを視野に入れているはず
・近いうちにKIVAを利用して陳列も機械化されるかもしれない
・ゴーの客にウーバーのような配達をさせることも考えているかもしれない。
<その他>
・Amazonブックス(リアル店舗):レビュー評価4以上の本のみ取り扱い
・アマゾンフレッシュ:生鮮食品を最短4時間で届けてくれる。配送料1回500円。6000円以上の買い物で送料無料。年会費プライム会員はプラス月額500円。
・アマゾンファッション:2017年ナイキが直販を開始。ゾゾタウンは送料1律200円、アマゾンは2000円以上で無料。返送時の送料はアマゾンは30日以内は無料。ゾゾタウンは基本有料。
・プライムワードロープ(米国のみ):試着して気になる服以外はAmazon負担で返送できる。
・アマゾンフレックス:個人が荷物を配達する仕組み
・プライムマーク:過去30日以内の期日内配送率96%以上、追跡可能率94%以上、出荷前キャンセル率1%未満などを満たす場合に表示可能。
・アマゾンダッシュ:低関与商品(いつも買うもの)の囲い込み
・アマゾンプライム:ベゾスは2001年にコストコ創業者に会費制サービスについて教えを受けている。キャッシュフロー経営の一助になっている。年会費は安くして後から値上げする。アメリカ、イギリスは年会費12,000円ほど、日本は3900円。