山頭火の「行乞記」昭和7年ー1/12 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

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弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

一月廿日

 曇、唐津市街行乞、宿は同前。

宇佐-25


九時過ぎから三時頃まで行乞、

今日の行乞は気分も所得もよかつた、

しみ/″\仏陀の慈蔭を思ふ。


こゝの名物の一つとして松露饅頭といふのがある、

名物にうまいものなしといふが、

うまさうに見える(食べないから)、

そしてその本家とか元祖とかいふのが方々にある。


小鰯を買つて一杯やつた、

文字通り一杯だけ、昨夜の今夜だから。

 

・けふのおひるは水ばかり
・山へ空へ摩訶般若波羅密多心経

 

晩食後、同宿の鍋屋さんに誘はれて、唐津座へ行く、

最初の市議選挙演説会である、

私が政談演説といふものを聴いたのは、

これが最初だといつてもよからう、何しろ物好きには違ひない、

五銭の下足料を払つて十一時過ぎまで謹聴したのだから。
 

一月廿一日

 曇、いよ/\雨が近いことを思はせる。


貯へを持たないルンペンだから、ぢつとしてはゐられない、

九時半から三時半まで行乞。
近松寺に参拝した、

巣林子に由緒あることはいふまでもない、

その墓域がある、

記念堂の計画もある、

小笠原家の菩提所でもある、

また曽呂利新左衛門が築造したといふ舞鶴園がある、

こぢんまりとした気持のよいお庭だつた。


今日は市議選挙の日、

そして第六十議会解散の日、市街至るところ号外の鈴が響く。


唐津といふ街は狭くて長い街だ。
おいしい夕飯だつた、ヌタがおいしかつた、

酒のおいしさは書き添へるまでもあるまい。


この宿はしづかできれいであかるくていゝ、

おそくまで読書した、

久しぶりにおちついて読んだ訳である。


毎日、彼等から幾度か不快を与へられる、

恐らくは私も同時に彼等に不快を与へるのだらう――

それは何故か――

彼等の生活に矛盾があるやうに、

私の生活に矛盾があるからだ、

 

私としては、当面の私としては、

供養を受ける資格なくして供養を受ける、

 

これが第一の矛盾だ!

酒は涙か溜息か、

たしかに溜息だよ。

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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