十二月卅一日
快晴、飯塚町行乞、往復四里、宿は同前。
昨日は寒かつたが今日は温かい、
一寒一温、
それが取りも直さず人生そのものだ。
行乞相も行乞果もあまりよくなかつた、
恥づべし/\。
昨夜は優遇されたので、つい飲み過ごしたから、
今夜は慎しんで、落ちついて読書した。
此宿は本当にいゝ、
かういふ宿で新年を迎へることが出来るのは有難い。
『年暮れぬ笠きて草鞋はきながら』まつたくその通りだ、
おだやかに沈みゆく太陽を見送りながら、
私は自然に合掌した、私の一生は終つたのだ、
さうだ来年からは
新らしい人間として新らしい生活を初めるのである。
ここに落ちついて夕顔や
・雨の二階の女の一人は口笛をふく
□
・ふるさとを去るけさの鬚を剃る
・ずんぶり浸るふる郷の温泉で
・星へおわかれの息を吐く
・どこやらで鴉なく道は遠い
・旅人は鴉に啼かれ
・旅は寒い生徒がお辞儀してくれる
・旅から旅へ山山の雪
・身にちかく山の鴉の来ては啼く
熊本県界
・こゝからは筑紫路の枯草山
自嘲
・うしろ姿のしぐれてゆくか
大宰府三句
しぐれて反橋二つ渡る
・右近の橘の実のしぐるゝや
・大樟も私も犬もしぐれつゝ
□
・ふるさと恋しいぬかるみをあるく
・街は師走の売りたい鯉を泳がせて
酒壺洞房
・幼い靨で話しかけるよ
□
・師走のゆきゝの知らない顔ばかり
・しぐれて犬はからだ舐めてゐる
□
・越えてゆく山また山は冬の山
・枯草に寝ころぶやからだ一つ
(青空文庫作成ファイル)より
(続きます)
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今日も命を授けていただきありがとう (^-^)
二度とない人生
だから 今日が大事、今日が大切
今日もいい日でありますように 【合掌】
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