山頭火の「行乞記」昭和6年ー1/7 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
日本百観音などを参拝の後
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弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

 一月八日 

朝のうちはうらゝかな晴れだつたが、午後は曇つた。
宇佐-25
今朝は嫌な事と嬉しい事とがあつた、

その二つを相殺しても、

まだまだ嬉しさが余りあつた、――

といふのは、

起きてすぐ前の畠に尿して道を横ぎらうとするところへ、

まご/″\走る自動車がやつてきた、

彼は巡査だつた、

私が尿したのを見たのだらう、

そして恐らくは自分のまご/″\を隠すためだらう、

そこへ小便してはいかんぢやないか、

といひ捨てゝいつた、

私は無論何とも答へなかつた、

そして彼の没常識を憐んだ、

私などはなるたけ小言をいひたくないのに、

彼はなるたけ小言がいひたいのだ、

とうてい部長にもなれない彼だ、

なぜ彼等はあんなにこせ/\するのだらう、――

 

嬉しい事といふのは、

郷里の妹からたよりがあつたのだ、

ゲルトも送つてくれたし、着物も送つてくれた、

私はさつそくその着物をつけて、

そのゲルトで買物しい/\歩いた、

あゝ何といふ肉縁のあたゝかさだらう!


米を買つた、一升拾六銭だ、

米はほんたうに安い、安すぎる、

粒々辛苦、

そして損々不足などゝ考へざるをえないではないか。
どうも通信費には困る、

毎日葉書の五六枚、

手紙の二三本書かないことはない、

今日は葉書六枚、手紙三本書いた。

 

・送つてくれたあたゝかさを着て出る(妹に)
 吹いても吹いても飴が売れない鮮人の笛かよ
・向きあつて知るも知らぬも濁酒
を飲む(居酒屋にて)
    □
 かきおきかいておいてさうして(述懐)


 一月九日 雨、曇、晴、曇、雨。

起きると、

そのまゝで木炭と豆腐とを買ひに行く、

久しぶりに豆腐を味はつた、

やつぱり豆腐はうまい。


あんまり憂欝だから二三杯ひつかける、

その元気で、

彼女を訪ねて炬燵を借りる、

酒くさいといつて叱られた。
帰家穏坐とはいへないが、たしかに帰庵閑坐だ。
昨夜も今夜も鶏が鳴きだすまで寝なかつた、

寝られなかつた。

 お正月の母子でうたうてくる
 また降りだしてひとりである
 ほころびを縫ふほどにしぐれる
・縫うてくれるものがないほころび縫つてゐる

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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