一月八日
朝のうちはうらゝかな晴れだつたが、午後は曇つた。
今朝は嫌な事と嬉しい事とがあつた、
その二つを相殺しても、
まだまだ嬉しさが余りあつた、――
といふのは、
起きてすぐ前の畠に尿して道を横ぎらうとするところへ、
まご/″\走る自動車がやつてきた、
彼は巡査だつた、
私が尿したのを見たのだらう、
そして恐らくは自分のまご/″\を隠すためだらう、
そこへ小便してはいかんぢやないか、
といひ捨てゝいつた、
私は無論何とも答へなかつた、
そして彼の没常識を憐んだ、
私などはなるたけ小言をいひたくないのに、
彼はなるたけ小言がいひたいのだ、
とうてい部長にもなれない彼だ、
なぜ彼等はあんなにこせ/\するのだらう、――
嬉しい事といふのは、
郷里の妹からたよりがあつたのだ、
ゲルトも送つてくれたし、着物も送つてくれた、
私はさつそくその着物をつけて、
そのゲルトで買物しい/\歩いた、
あゝ何といふ肉縁のあたゝかさだらう!
米を買つた、一升拾六銭だ、
米はほんたうに安い、安すぎる、
粒々辛苦、
そして損々不足などゝ考へざるをえないではないか。
どうも通信費には困る、
毎日葉書の五六枚、
手紙の二三本書かないことはない、
今日は葉書六枚、手紙三本書いた。
・送つてくれたあたゝかさを着て出る(妹に)
吹いても吹いても飴が売れない鮮人の笛かよ
・向きあつて知るも知らぬも濁酒を飲む(居酒屋にて)
□
かきおきかいておいてさうして(述懐)
一月九日 雨、曇、晴、曇、雨。
起きると、
そのまゝで木炭と豆腐とを買ひに行く、
久しぶりに豆腐を味はつた、
やつぱり豆腐はうまい。
あんまり憂欝だから二三杯ひつかける、
その元気で、
彼女を訪ねて炬燵を借りる、
酒くさいといつて叱られた。
帰家穏坐とはいへないが、たしかに帰庵閑坐だ。
昨夜も今夜も鶏が鳴きだすまで寝なかつた、
寝られなかつた。
お正月の母子でうたうてくる
また降りだしてひとりである
ほころびを縫ふほどにしぐれる
・縫うてくれるものがないほころび縫つてゐる
(青空文庫作成ファイル)より
(続きます)
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今日も命を授けていただきありがとう (^-^)
二度とない人生
だから 今日が大事、今日が大切
今日もいい日でありますように 【合掌】
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