山頭火の「行乞記」昭和5年ー12/21 | 安 明高 の 生 活

安 明高 の 生 活

日頃の気になること と
坂村真民・種田山頭火さんなどの作品を掲載してます

御先祖の御加護に感謝をし
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弘法大師・法然上人・親鸞聖人などの魅力を紹介してます。

【南無大師遍照金剛】 * 7

十二月卅一日 曇つて寒い、暮れてからは雨になつた、

       今年もおしまひだ。
宇佐-25
嚢中に四銭しかない、

三銭で入浴、一銭でヒトモジ一把、

文字通りの無一物だ、

いかに私でも――

師走がない正月がない私でも困るので、

夕方、寥平さんを訪ね、

事情を明かして少し借りる、

いや大いに掠める、

寥平さんのすぐれた魂にうたれる。……


見切の白足袋一足十銭、

水仙一本弐銭、そして酒一升一円也、――

これで私の正月支度は出来た、

さあ正月よ、やつてこい!


人間は妙なもので、

酒を一杯飲ませて下さいとはいひにくいが、

煙草一服貸して下さいとはいひやすい、

餅を頂戴しませうとはいひやすけれど、

飯をよばれませうとはいひにくい、

思ふに、自分の身に即きすぎた物、

いひかへれば必要の度の強い物、

誰もが持たなくてはならない物は強請しにくいらしい。


風呂敷といふものは何と便利なものだらう、

大小自由だ、

大きいものも小さいものも一枚で包める、

とてもトランクやケースやバツグが及ばない、

たゞモダーンではない。


食べたい時に食べ、寝たい時に寝る、

私しやほんとに我がまゝ気まゝ。


偶然のない生活、

当然のみの生活、

必然の生活、

「あるべき」が「あらずにはゐられない」

となつた生活。


忙しい中の静けさ、

貧しい中の安らかさ、といつたやうなものを、

今日はしみ/″\感じたことである。


寥平さんのおかげで、

炊事具少々、端書六十枚、

其他こま/″\したものを買ふ、

お歳暮を持つて千体仏へ行く、

和尚さんもすぐれた魂で私を和げて下さつた。


あんまり気が沈むから二三杯ひつかける、

そして人が懐かしうなつて、街をぶらつき、

最後にSのところで夜明け近くまで話した

(今夜は商店はたいがい徹夜営業である)、

酔うて饒舌つて、年忘れしたが、

自分自身をも忘れてしまつた。……

 

葉ぼたん抜かれる今年も暮れる
今年も今夜かぎりの雨となり

それでは昭和五年よ、

一九三〇年よ、たいへんお世話になつた、

各地の知友福寿長久、

十方の施主災障消除、

諸縁吉祥ならんことを祈ります。

 

(青空文庫作成ファイル)より

 

(続きます)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  

 

今日も命を授けていただきありがとう (^-^)

二度とない人生

だから 今日が大事、今日が大切 

今日もいい日でありますように 【合掌】

 

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