今週は一般マンガの感想ウィークです。

よろしければお付き合いくださいm(_ _)m


中沢啓治さんの伝説的反戦マンガ。

戦争が終わった2年後、「戦後編」に突入。父と姉と弟を原爆によって殺された主人公の中原ゲン、持ち前の明るさでたくましく生きていく。んだけど、昭和天皇が広島にご行幸あそばすことになり、そしたらみんな、もう戦争責任とか忘れて日の丸ふって大歓迎。…いいの、これで!?自分は戦争で家族や友人を殺されまくった直後に、こんなふうに万歳できるだろうか。

しかしゲンは違う。「天皇は戦争をおこし日本中の街やこの広島や長崎をピカで焼け野原にし わしのとうちゃんや数えきれない人を殺し いまも苦しめている戦争の責任者じゃないか なんでありがたがって歓迎しないといけんのじゃ おかしいわい」すんごい素直な気持ち!こと戦争に関しては、この怒りをいつまでもしつこくしつこく覚えていて、忘れないことが再発防止にはいちばんよいのでは、という気がする。忘れてしまう方がどれだけラクかしれんけどさ。

ほんでまた、ゲンのお母さんがめっちゃいいこと言うんですよ。今こそ刺さるセリフの数々。
「また戦争をよろこぶ流れがおきてしまったらもうおそいのよ つぎつぎと治安維持法みたいな法律をつくられ完全ににげられないようにされ 人間がただの戦争する道具にされるんだから……」
「いつも戦争をおこそうとするくわだてをはやく見破って みんなで声を張り上げ反対してふせぐのよ 国のためだと言って戦争して かげでもうけるやつがいつもおるんじゃけえ」

なんか…「信じる」といえば聞こえはいいけど、それってあとから「だまされた!」と文句いっても遅い、ってことなのですよね。だから私は、何かを盲信することにブレーキがかかってしまうのです。あとから文句いうくらいなら、ぜんぶ自分で決めたいし、その責任も自分が負ったほうがマシだもん。

そして『はだしのゲン』を読むことの楽しみは、戦中戦後のディテールが細かいこと!

・広島には、アメリカが組織したABCC(原爆障害調査委員会)というのがあったが、行っても治療はいっさいしてくれない。血液やデータを取るだけ取って、受け取った紙には「標本」と書かれていた。
・川底の、死体の骨のあいだにたくさんエビがいる。死体の肉を食べて繁殖していた。
・原爆のとき、特に黒い衣服を着た人はヤケドがひどかった。ふくしゃ熱で服の柄が肉体に焼き付くほど焼けこげていた。爆心地に近い樹木の枝には爆風でふきとんだ死体が突き刺さっていた。
・戦後、キャノン機関(アメリカの特務機関)は日本人をスパイに仕立てるために誘拐して拷問していた。(昭和27年12月、鹿地事件)
・かぼちゃの種は、干して焼いて食べるとうまい。
・肥が緑色なのは、野菜ばっかり食べているから(あ、だから私はたまに…)
・原爆症で亡くなった人は、火葬すると骨が残らない。
・1950年、朝鮮戦争が勃発したときも、北九州では灯火管制・疎開・食糧の買いだめなど、戦時中と同じことが起きていた。
などなど。

ほんと、今こそみんな読んでほしい!ってもう読んでるか。まだの方はぜひ!

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