鶴見済さんの新刊。

今回のテーマは人間関係、ということで、これまであまり書かれてこなかった鶴見さん自身の個人的な体験もまじえ、人間関係のしんどさと、それについてどう考えて、対処してきたか、が綴られる。

過激なことは一切書いてない、というか過激にしようとすればどんだけでもできるところを、絶対にそうしないし、難しい言葉を使わず、押しつけもせず、だからめっちゃ安心して読める本。最近、過激な言葉と書き方でぐいぐい押し付けてくる感じの文章が目に入ってくる(主にネット上で)のがけっこうストレス、っていうかあれは軽めの暴力だったんだなぁ。

「日本の殺人事件の半数は、家族の間で起きている」
「個体数がいっぱいになれば、子どもを産まないのもまた生き物の習性だったのだ」
「母と子の愛は、大昔からこんなふうに持ち上げられていたわけではない」
「世の中にある家族についての常識は、多分家族とうまくやっている人の目線でできているのだろう」

こういうのを、知識・考え方として持っているだけで、自分ではなく人間関係の常識のほうがいかにヘンだったか、というのがわかってホッとする人、たくさんいるんじゃないか。そしてこれがこの本の美点だけど、フツーの人間関係についていけない人に寄り添いながら、だからといって人間関係にフツーに恵まれてうまくいってる人を気まずくさせることもない。

「真の個人主義とは、すべての個人を尊重する主義のことを言う」という一文にハッとする。今この世界に足りないもの、本当のやさしさってこういうことなんじゃないかと。

そういえば、著者の鶴見さんとは、私がデビューする前から知り合いなんですが、こんなにフラットで話しやすい年上の男性っていないよな〜と会うたびに思ったし、その印象は今も一貫して変わらない。あれは「あなたを尊重してますよ」という基本的な姿勢があるからなのだなと、この本を読んで再確認したような気持ち。

そういう大人になりたいものです。


 

●鶴見済さんの本(隠居の本棚より)


0円で生きる


脱資本主義宣言 



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