あさぎり夕先生のBL小説。

私立大学2年生の相川碧は、大学から近い都心のカリスマ編集長・立脇秀青の自宅に押しかけ居候。というのも碧は、秀青と三鷹の実家が隣同士。幼少期に交わした結婚の約束を、20歳になるまで信じていたから。

へ~、そんなに長いあいだ仲のいいお隣さん同士だったのか…と思ったら、秀青はもう33歳。碧が5歳のときに大学に進学したから、13個上ってことになる。うーむ、進学してから帰ってこない隣のお兄ちゃんと、5歳時に戯れにした結婚の約束を20歳まで覚えてて、じっさい20歳になったら同居しろと半ば強引に押しかけてくるって、秀青にしてみたらただのサイコパスじゃ…笑。

と、そこはご都合主義の定石として、世界は無条件に主人公を好きになるのであり、疑問を差し挟む余地はないのです。あと、ほっといても勝手に夢見て勝手に傷ついて勝手に修復して勝手に結ばれるのです。未知の世界に放り出されない、という絶大な安心感を持ってページをめくることができる。ビバ・ご都合主義!

しかしあさぎり先生もあとがきで書いてらしたけど、この主人公の碧、ものすご~く能動的に動くんですよね。少女マンガ的お約束を引き継いだタイプのBL小説の主人公としては、もうちょっとこう、受け身なのになぜか世界に愛さちゃって愛されちゃって、でも本人は無自覚、ぐらいのほうが好みかな~。
●あさぎり夕先生の本(隠居の本棚より)


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