『しあわせは食べて寝て待て②』

水凪トリさんのマンガ、第二巻。第一巻が本当～～～に素晴らしくて、楽しみにしてたやつ！

難病にかかり、出世も結婚もマンション購入も諦めることになった麦巻サトコ38歳。仕事は体力的に週４のパートが限界、経済的事情で家賃の安い古い団地に引っ越し。向かいに住む大家さんと、同居人・司に薬膳を教わったりしながら、できない自分を受け入れていく…というお話。

今回のサトコはちょっとだけアクティブです。社員旅行で温泉に行ってみたり、副業にチャレンジしてみたり。そして感情のほうも、ガッカリしたりドン引きしたりキュンとしたり拒否したりと、リアクションがちゃんと正直になっていて（つまり、たぶん、心もちょっと元気になっていて）、うれしかった。で、このまま万事順調にいくかと思ったらそうは問屋が卸さない。だけど無理して元気にも、いい人にも、なろうとしない。そんなところも好きだな～。

いちおう、「薬膳」が大きなテーマではあるんだけど、作品中には薬膳懐疑派・否定派・あんまり気にしない派・いろんな人が出てくるからすごくフェアだし、「薬膳のための薬膳」みたいにしないところもよかった。「薬膳」だけを切り取ると、それこそ「所かまわずきゅうりを丸かじりするヘンな人」みたいなことになっちゃうんで（ちゃんと失敗するところも好きだけどさ、笑）。

健康とは、しあわせとは何か。「今だけココだけ自分だけ」で完結させるものではなく、時間と場所と人間関係の有機的なつながりのなかでとらえること。焦らず急がず、食べて寝て待つこと。そうして忘れた頃に、「自分が死んだら、なんて考えなくなったな」とふと思い当たる…そんな速さ（遅さ？）でやってくる何か、のことなかもしれない。

これは薬膳のことだけじゃない、人生についてのマンガ。