以前の話 ~ちゃーちゃんという男の子の話~
ちゃーちゃんが旅に出て時間が経ちました。
ちゃーちゃんは、必死で全速力で三輪車をこいでいました。
体を前のめりにして
そんなちゃーちゃんの目には
道の土しか映っていませんでした。
だんだんとちゃーちゃんの気持ちは
最初のわくわく感より
重いものを背負っている気分になってきていました。
ちゃーちゃんの目に映っているものは
下を向いてずっと一人で遊んでいたときの同じでした。
ちゃーちゃんは三輪車を止めて
地面に足をついて周りを見回します。
今まで走っていた道のわきに
たくさんの花や木や草や石がありました。
ちゃーちゃんは、「うわぁ~」と言って目を輝かせます。
一目散にその木や花が咲いてる場所に駆け出します。
そして、たくさんの木や草に触れて
今までのことを話します。
いっぱい話して
これから行きたいと思っている場所に胸を膨らませます。
そして、そのことも話していて
ちゃーちゃんは、花や木は一緒に行けないけど
石をその場所に連れて行ってあげたいと思いました。
何個かの石を持って、三輪車に小さな荷台をつけて
そこに乗せ引いていくことしました。
それで、スピードが落ちるなんて思いもせず
みんなにもそんな場所を見せてあげたい
そんな気持ちで
また、三輪車をこぎ始めました。
今度は、顔をあげてまっすぐ前を見ながら
道全体を見渡せるようにして