~クム~ | おはなしてーこのお話

おはなしてーこのお話

ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

何かを唱え、手を当てられ


すーっと深い、深い場所へと意識が向かっていく


このところ眠れず、体調も悪く、

仕事も私生活も何か淀んだようになっていた

そんなことが気になり、今日は、思い切って治療を受けに来ていた。


そんな意識の深い場所で、もう一人の自分と出会う。

「前のやり方に戻らないからだ」というもう一人の自分。

前のやり方って、この仕事を始めたころのやり方のことを言っているのか?


そう思ったとたん

「違う、お前がもっともっと昔に、記憶のない自分がやっていたころのやり方だ。」


何を言っているのかわからない・・・。


そうすると、目の前にすーと風景が現れ

一人の若い男性が、がっしりとした体格の男性に何かを教えてもらっている。

様々なものを使い、横にした女性を治療しているような感じに見える。


そして、その若い男性は自分だと思い、がっしりとした男性が自分の師匠だと感じた。

横たわる女性は、師匠のパートナーだと思った。


若い男性は、自然を愛していた。

そして、師匠となる男性は、自然の神に敬意を払い、力を借り儀式をし、治療をしていた。

その敬意と力を借りるという姿は、周りの人にも同じようにされていた。

その姿に感銘し、彼は師匠に弟子入りをお願いし、やっと許された。


そして、さまざまなことを教えてもらい、さまざまなことをやっていた。

彼は、その毎日が充実していた。幸せだった。


そして、数年たったある日、国を治める者が異教を信じ

今ある神々を否定し、信じることをやめるようにと弾圧した。

人々は混乱した、師匠のもとにもそういった人たちがやってきた。


そんな人たちに「大丈夫だから、受け入れればいいと」言った。

その姿を見て、その若い男性は、師匠の言っていることがわからなかった。

そして、絶望のようなものを感じた。

そんな絶望を毎日のように見せられ、

若い男性は、ここにはもういられないと思った。


そして、師匠にそのことを話す。

師匠は「神は一つなんだよ」とだけ言った。

若い男性にはそれが理解できなかった。

そして、彼は出て行ってしまった。

その後の彼は、何にも感動できず、充実感も幸せも感じない人生を送った。


そんな風景を見さされ、治療を受けていた男性は、胸が苦しくなり泣いていた。


そんな泣いている男性に、もう一人の自分が

「もう一度、このころのやり方に戻るんだよ。

 この若い男性の想いを自分が遂げるんだよ」と言った。


「でも、教えてくる人がいない、あの頃の師匠はいないじゃないか!?

 また、師匠を探さなくてはいけない所から始めるのか?」

気が遠くなる気持ちで聞いた。


「すぐそばにいるじゃないか!!」ともう一人の自分が言う。

治療を受けている男性は、今、治療してくれている、男性のことを言っていると思った。


そして、「でも、彼にも彼のやりたいことがあるだろうし、

      突然こんな話をしたら驚くはずだ。」

もう一人の自分が答える。

「大丈夫だ、彼もそれを遂げるためにこうして出会っているんだから・・」と言う。


「なら、前の師匠は私にとってどういう存在だったんだ?」と聞くと

もう一人の自分が、

「それは、お前をここにやってこさせるための大天使、

 そのつながりを持たせるためのものだったんだよ。」と答えた。


治療を受けていた男性は、半信半疑ながら受け入れつつあった。

しかし、昔の自分の師匠の気持ちが理解できないということが気になっていた。


それを察したように、もう一人の自分が言う

「その異教の者の最初の想いは、体を離れ自由となり

 いくつかの想いと交わり、また、この世にあらわれた。

 それが、お前の昔の師匠なのだよ。

 だから、それを受け入れた。神は一つだと言ったのだよ。」


そして、続けた…

「あの時、お前はそれを理解できなかった。

 理解できないということを師匠に言わず、

 しっかりと話もせず出て行ってしまった。

 師匠の気持ちも考えずにな・・・

 今度は、しっかりと話をしないといけない。

 だから、しっかりと話せ、今、あったことをな・・・」と言う。


そして、遠くから聞こえてきた唱えるような声とともに

深い深い意識から、現実にと意識が戻った。


そして、治療していた男性が「いかがでしたか?」と尋ねた。

治療を受けていた男性は、ゆっくりと今あったことを話し始めた。