~プア~ | おはなしてーこのお話

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ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

南の島にプアという名の21才になる女の子がいた。


プアの祖母は、その島に受け継がれる歌と踊りを伝承し

それを家系の中で選ばれたものだけに伝える者として長い間、踊り続けていた。


その家の血をひくものの中で、たった一人が選ばれる。

それを選ぶことも伝える者として、自分の踊りの真価を問われることになる。

そして、争いを避けるためにたった一人だけと決められている。

そして、その代行として二人の人が選ばれる。


プアは、小さい頃から当たり前に歌い踊り

それを楽しんでいた。


しかし、祖母が高齢になり、踊ることができなくなった、今

プアは心がしずんでしまい、踊ることもしていなかった。


プアは祖母が自分のことを後継者にと考えていることを知っていた。

祖母は、プアに踊りを厳しく、そして、優しく教えてくれていた。

そして、その中に伝えたい想いを感じていた。


だから、プアは悩んでいた。

それを伝えることが私にできるんだろうかと。

好きだけで踊っている自分に…


そんな悩みを抱えて毎日を過ごしていたある日、

プアは、いつも一人で踊りを練習していた場所に行った。

そこは、木々で囲まれその間からお日さまの差す気持ちのいい場所だった。


プアはそこで少しの間じっとしていた。

そして、いつも踊っていたことを思いだし、

また、同じように踊り、歌い始めた。

そして、いつの間にか夢中で踊っていた。


踊っている間中

「君の踊りを楽しむ姿に、何度喜びの声を上げ、

癒しの涙を流したことか、ありがとう」という声を聞いていた。


そして、プアは踊り終わると祖母のところにかけて行った。


そして、「おばちゃん…」と少し涙目になりながら祖母に声をかけた。

祖母は「お前の踊りをすればいいんだよ。

     私たちが伝えてきた想いそれはちゃんとお前の中にある。

     その想いにお前の想いをまたのせればいいんだよ。

     皆、そうして来たんだよ。私だってそうなんだよ。

     決して、ひとりで踊っているんじゃないんだ。

     お前が踊る姿に喜び癒される、それをお前は受取り、

     また、踊り重ね広げていくんだよ。

     お前の踊りを愛する気持ち、その姿が、皆に伝わっていくんだよ。

     私は、そんなお前の想いを感じるから、

     お前の手で伝えていってほしいと思っているんだよ。

     プア、悩むなら踊りなさい、歌いなさい。

     それがお前自身の本当の想いじゃないか」   


そんな祖母の話を聞き、プアは祖母に抱きついて泣いた。

大きな声で泣き続けた。