~ 走りつづける ~ | おはなしてーこのお話

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ふっと生まれたお話や感じたことを書いてます。

彼は走り続ける。


彼の足を止めようと草木や蛇や想いに囚われないように

走り続ける。


彼の足を止めようと

目が開けられないほどの風や

焼け焦げるほどの太陽、

前が見えなくなるほどの雨のなか

ひと時も足を止めず走り続ける。


愛された記憶のない自分を、

愛した記憶のない自分を

せめて自分だけは愛してやろうと

彼は走り続ける。


何もない、何もできない自分をわかってやろうと

ただ、走り続ける。


こうすることしできない自分を抱えながら

ただ、走り続ける。