霧のような雨が降り、少し煙る夜の雨の中
一人の男性が、ただ、ひたすら歩き続ける。
一軒の一度も行った事のない家の住人に
何かを伝えなければと、
ただ、ひたすらそこに向かって無言で歩き続ける。
その男性は、何かに突き動かされるように歩き始めていた。
それは誰かのためでも、自分のためでもない。
ただ、ただ、伝えなければという想いだけのために
そして、それは誰かに言われたものでも
何かを求め、何かに答えようとするものでもなく
ただ、自分の意思だけで、そこに向かうことを決め歩き続けている。