大きな木の扉が開く
その先は真っ暗な闇が広がる。
中へ足を踏み入れることをためらいながら、足を踏み入れる。
先へ進みながらも、
まだ、気持ちは前に進むことをためらっている。
石で出来たアーチの天井が続く
薄暗い長い廊下が目の前に現れる。
そこでやっと、
ここが中世の大きな城の中だということに気付く
そして、突然、中世の鎧を身にまとい、剣を持ち、背中のマントを翻し
その長い廊下を何かを目指し、走り続ける。
途中、広い美しい中庭が横にあることに気付くが
そんなことにも目もくれず、ただ、ひたすらに走り続ける
そして、どこまでも果てしなく続くような感じを受けながらも
走り続けていて、フッと思う。
自分は何を目指し、走り続けているのか?
自国の姫を助けに来たのだ。
だったら、その姫はどこにいるのだ?
いや、それ自体が本当なのだろうか?
そんなことを考え始め足を止める。
そして、気付く
この城に人の気配がまったくないことに
決して、荒れ果てた城ではないのに・・・
そんな疑問を感じた時
この城は、自分の城ではないか・・・と
旅をし続け、戦い続けている間
門を閉ざし、留守にしていた、我が城ではないか・・・と気付く
フッと息をつき、剣をおろし、鎧を脱ぐ
そして、途中見た美しい中庭へと足を踏み入れる
中央にある池には魚が泳ぎ
噴水はしぶきをまきながら水を高く押し上げ
周りには鳥や虫が飛び、木々や花が咲き続けている。
なんて気持ちのいいところなのだろう。
そして、ベンチに腰を下ろし、その風景の中に身をおく
少しの間そんな時を過ごし思う。
ここに居ればいいのだと
門を開け、ただ、ここに居て
この庭を愛する人たちに
この庭を楽しんでもらえればいいのだと
今まで門を閉ざし、この庭を愛する人たちの楽しみを奪っていたのだ。
これからは、門は昼も夜もなく、開け続けていよう。
そうすれば、この城は明るく光の指し続ける城になるのだと・・・